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はじめての声優学入門*8時限目「仮声帯の開閉は感情の起伏になるのじゃの巻」

やってきました8時限目の講義のお時間です!みんな楽しみにしてくれてましたかー??おー地鳴りのような歓声が聞こえる!と言う妄想は置いておいて、でもでも、記事に「スキ」つけてくれる方々ありがとう!そして、ありがとう!いやーやはり嬉しいものですね。今週も頑張りたいと思います!

今日のお話は声優を目指す人には絶対知っておいてもらいたい「基本の発声器官6種」名付けて「ネ申(ゴッド)シックス」の3種類目「仮声帯」です!
「仮声帯」と書いて「かせいたい」と読みます。
それでは今週もレッツラゴー!!


●仮声帯とは?
仮声帯は声帯の上方に位置する左右にある粘膜のヒダです。食べ物、飲み物を飲み込む時に内転して(閉まって)それらが気管へ侵入しないように入り口を閉じ気道を保護します。もしも仮声帯が閉じずに誤って食べ物、飲み物が入ってしまうと一度は経験あると思いますが「むせます」。更に年齢を重ね仮声帯や声帯を閉める筋力が落ち、誤飲時にそれらの気管で押し返す事ができずに通過してしまうと、肺に食べ物が到達してしまい肺炎を起こして亡くなるケースもある為、歳を重ねてからの嚥下時の筋肉に関しては重要な問題ともされています。


●仮声帯はどこか見てみよう

下記の図の矢印で示した声帯の上にある左右2対が「仮声帯」となります。

上から見た実際の仮声帯は
黄色の矢印で示した場所です、真ん中の白い物体は声帯です。

この仮声帯はどんな動きをするかと言いますと開いたり閉じたりします。
実際に良い仮声帯の動きの動画がYoutubeにありましたので引用させていただきます。観てみましょう。

このように
声帯が閉じているけど仮声帯が開いてる時は

こんな形です。

そして仮声帯が閉じると

こんな感じです。

次に下記の動画は僕が発声した仮声帯が開いている時と閉じ気味の時の音声と周波数になります。前半が比較的仮声帯が開いている発声、後半が仮声帯を比較的閉じている発声になります。

続きまして「おはようございます」を仮声帯を前半は比較的開き気味に発声、後半は比較的閉じ気味発声した動画です。
日常の会話スピードだと波形がわかりにくくなるのでゆっくり発声しています。

仮声帯が参加をした発声は強い声になっていると思います。
ホースの口を握ると水圧が強くなり水が強く出るように、声の空気圧が強くなり強い声になります。

ただしここで間違ってはいけない重要な点は「大きな声を出すために仮声帯を閉めればいい」と言うことではありません。あくまで「息を吐く圧力(呼気圧)」を強くすることで強い、大きい声にする事が大切です。正しく発声したその上で「仮声帯」には役割があるのです。

では仮声帯はどのような時に使っていくのでしょうか?


●仮声帯が参加する時
仮声帯は「感情」が高ぶる時には閉まり、感情が緩やかな時には開く傾向があります。そして感情には仕組みがあります。

●感情の仕組みって?
僕らのように「感情音声」を研究する人間や心理学に携わる人にはお馴染みの考え方で「ラッセルの感情円環モデル」と言うものがあります。
こちらです。

この図が表しているものを説明しましょう。
縦軸は上のベクトルへ行くほど「活性化」、下に行くほど「非活性化」となります。活性化とは、わかりやすく言えば感情のテンション感です。上にベクトルがいくほどテンションが高い、強い感情になり、下に行けば感情のテンション感は低くなります。そして左右のベクトルは右に行けばいくほど「快」、左に行けばいくほど「不快」を示します。

縦軸の活性化のベクトルが上に「活性化」の位置で横軸のベクトルが右の「快」の方法にいる感情の例を挙げると「喜び、興奮」などになります。逆に縦軸のベクトルはそのまま「活性化」をキープし横軸のベクトルが左側の「不快」にいくと「怒り、恐れ」などと言う感情になります。

今度は縦軸のベクトルを下方向「非活性化」として、横軸のベクトルが右の「快」にいる感情の例を挙げると「穏やか、くつろぎ」のようになります。
縦軸のベクトルを下方向にキープしたまま、横軸を左の「不快」の持っていくと「憂鬱、消沈、退屈」などの感情になります。

感情と人間の筋肉の関係性ですが、縦軸のベクトルが上の「活性化」へ行くほど人間の筋肉は緊張し、腹筋や発声器官にも力が入ります(力みます)。仮声帯も閉じる形になります。息も強く吐かれるため、声は「強く、大きく、高い」声になります。逆に縦軸のベクトルが下の「非活性化」へ向かうほど筋肉の緊張は緩み、発声器官の緊張も緩みます。仮声帯も開く傾向にあります。息は強く吐かなくなりますので音声は「弱く、小さく、低い」傾向になります。


●まとめ
このように仮声帯を閉じれば声は強く、大きくなる傾向はありますが、あくまで感情の大きさを表現するために使うと考えると良いと思います。

逆に言えば「仮声帯」は感情の表現をするのには非常に重要な役割をしていると言うことになります。細かな感情のニュアンスも仮声帯の柔軟なコントロールなしでは難しいのです。とても繊細、絶妙、心を打つ演技音声を出せる声優さんはひとつ、仮声帯の扱いがうまいとも言えると思います。

今回の内容はいかがでしたでしょうか?「ネ申(ゴッド)シックス」のひとつ「仮声帯」の知識を学んでいきました。是非声優を目指すみなさんは「仮声帯」のコントロールを磨いて頂きたいと思います!


それでは今回はこの辺で、次回の講義まで各自休憩くだされ。アディオスパンパミーヨ!


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