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「マイクロモノづくりはじめよう」出版記念イベントレポート(2013/4/26)

「ワクワク!」で生み出されたプロダクトは作家自分自身。

 4月26日(金)の夜、enmono初の著書である、『「マイクロモノづくりはじめよう」~「やりたい! 」をビジネスにする産業論~』の出版記念イベントを行った。

この本のプロデューサーである米田さん、そして、この本に登場していただいた、根津さん、八木さん、藤沢さん、村井さんの5名と、三木、宇都宮がパネルディスカッションするという内容で行わせていただいた。

会場は、サイバーエージェント・ベンチャーズさまのご協力で「BASE CAMP」を利用させていただいた。とてもオープンマインドで雰囲気の良いスペースで、この場の雰囲気もイベントを盛り上げる要因であった。

我々が準備していると、根津さんがやってきて、zecOOの模型を配置し始めた。模型でもそのワクワクオーラがビンビンに伝わってくる。最高!

他の登壇者も集まり、アジェンダのシェアをする。もう皆さんワクワクオーラが出まくってるww。会場にも人が集まる前に集合写真を、本日のカメラマン、ランナベさんに撮っていただく。

さて、イベントが始まり、最初に残念なお知らせが……
「中二病最高だぜ!」

 かつてワクワクしていた頃の象徴としての、「中二病」という言葉をキーワードにその当時のワクワクを取り戻せ!という三木からの檄である。誰もが持っていたワクワクを取り戻すことをこのイベントを通じて感じ取って貰いたい。

 さて、このあとマイクロモノづくりについて簡単な説明をしてから、各登壇者の自己紹介が始まる。


​トップバッターは、米田さん

現代アートという表現に習って、現代編集者と名乗っている。自著「僕らの時代のライフデザイン」のことや、ご自身の「NOMAD TOKYO」という活動について熱く語っていただいた。

米田さんは、1年間、家やオフィス、家財道具を持たずに旅しながら暮らす生活実験プロジェクト「ノマド・トーキョー」を行い、そこで出会った多くのライフデザイナーたちの働き方・暮らし方から見えてきた「ライフデザイン」という発想について述べている。我々enmonoもその中に取り上げていただいている。


次は、BSIZEの八木さん

 八木さんは、本にも取り上げさせていただいたように、一人家電メーカーということでメディアに注目されている。企画設計試作などは一人で行なっているが、実のところ製造は町工場にお願いしているのである。一人家電メーカーを実現するためには仲間が必要との主張はとても参考になる意見かと思う。マイクロモノづくりにおいては仲間の存在は欠かせないと思う。しかし仲間を作るためには自らがビジョンを示し共感してもらう必要があるというのが八木さんの考えであり、とても共感する部分である。
 八木さんは、学生時代よりメーカーになることを夢見て、デザインを独学し、電気設計、機械設計など、学生時代~会社員時代を通じて勉強してきた。そして自分一人でデザインLEDであるSTROKEを開発した。会社のコンセプトは「真・善・美」でありそのコンセプトから生み出されたSTROKEは日本のGood Design章、ドイツのRead Dot design章を受賞し、今最も注目されている日本のワクワクMAKERSの一人である。

デザインLED STROKE


続いてznug designの根津さん

根津さんは、お会いした当初からその凄まじいワクワクをパワーで当社の経営理念である「ワクワクするモノづくりで世の中を元気にする」という経営理念に多大なる影響を与えた方である。

 その根津さんからは、ご自身の活動を報告いただいた。まず、現在被災地の子どもたちに元気をあたえるために、「ミニ四駆工作教室」を定期的に被災地で開催、子どもたちが自由な発想でオリジナルのミニ四駆を創りあげてもらうことで、子どもたちのワクワクを引き出し、モノづくりの面白さとモノを大切にする心を育んでもらっていると報告をしていただいた。

 その後、ご自身のトヨタ自動車でのご活動、独立後のご活動を報告いただいた。そして、ご自身のプロジェクトである電動バイクのzecOOの話に話が及んだ。このzecOOはご自身でデザインをしたバイクをデザインだけではなく現実化をさせたいということで、町工場と連携してパーツを製作、それを協力してくれるバイクショップと連携して組み上げて実際の電動バイクzecOOとして世の中に生み出した。

 その後zecOOはドバイで開かれた展示会で1000万円で王族の方に販売することに成功した。単純に自分が作りたいものをつくり、世界の何処かにそれを買って貰える人を探す。そんな新しいモノづくりのビジネスの形があると非常に共感を覚えた、まさにマイクロモノづくりである。

電動バイクzecOO


続いて株式会社ニットーの藤沢さん登場

町工場として初めて、クラウドファンドを使った自社製品開発に成功された藤沢社長にご登壇をいただいた。

 藤沢さんは、最初作業着だったがおもむろに上着を脱ぐと、ブルース・リーのTシャツに変身。いきなりそのワクワクパワーを放出し始めた。

 藤沢さんと当社の出会いは、藤沢さんの強烈な眼光を放つTrick Coverのビデオであったということをご紹介いただいた。その後、ご自身の株式会社ニットーの工場の紹介。

 そして、ご自身が自ら企画し、設計・製造に関わった「iPhone Trick Cover」資金調達とマーケティングのツールとして町工場として初めてクラウドファンドを用い、開発資金を集めると同時に、販路を構築に成功したことをご説明いただいた。町工場としてクラウドファンドを初めて使ったことに関する期待やその効果を説明いただいた。

 藤沢さんからのお話では、自社製品を作ってゆく中で、いかに自分がワクワクしてモノづくりに励んで来れたのかということを中心に話をしてもらった。

iPhone Trick Cover for iPhone5


そして、最後に五光発條株式会社村井さんの登壇

 村井さんは、「バネ屋」としてどうやってモノづくりに携わってきたのかということをお話しされた。村井さんは他の登壇者があまりにもパワフルなので、何故自分がここにいるのかわからないというやや控えめな表現をしながら、自己紹介を行った。

 マイクロモノづくり経営革新講座に参加したところから、今回のイベントに参加するということになった経緯を説明。

 自社がバネ屋であることを説明しながら、どういう経緯で「SpLink」という自社製品を生み出したのかを説明された。enmonoと出会ったことで、自分の「ワクワク」に気が付き、自分が心からやりたいモノづくりとして、「ブロック製作」と自社のバネの技術をかけあわせることで、バネによる新感覚のブロックを生み出せるのではないかということを思いついたということである。そして「SpLink」というワクワクで世界を繋ぐ金属バネブロックを発表した。

 プレゼンテーションに不具合があったものの、その後自ら作ってきた「昇龍」を披露し、その完成度の高さからプレゼンテーションとのあまりの違いに会場にどよめきが走った。

バネブロック SPLINKで製作された 六角形ブロックと「昇竜」(しょうりゅう)


マイクロモノづくりの生み出すプロダクトはその人自身を反映している。

 さて、今回登壇いただいた、「マイクロモノづくり」実践者が生み出したプロダクトを並べてみて気がついたことがある。それは、これらのマイクロモノづくりプロダクトは、それらを生み出したマイクロモノづくり作家たちの性格や雰囲気をそのまま受け継いでいるということである。

 今回ご登壇をいただいた、八木さん、根津さん、藤沢さん、村井さんを以前からもよく知っているし、その性格や立ち振舞などもよく理解しているつもりである。その登壇をいただいた彼ら自身が、マイクロモノづくりとして生み出した製品そのものなのだということである。

 その大きな理由は、自らの心に浮かんだものを、ほとんど一人で情熱をかけて企画、設計、製造することで、生み出したプロダクトにマイクロモノづくり作家の方々の性質が反映されるということだろうと思う。

 大企業が生み出したものであれば、数十人、数百人が製品の企画、開発、販売に携わっている、しかしながらマイクロモノづくりの場合はぼぼ1社で、場合によっては一人で企画、デザイン、開発、マーケティング、販売をおこなうものである。従ってほぼ自動的にその作家本人の性格が正確に反映されるものになるのである。 

 そんな、ワクワクのマイクロモノづくり作家たちと、実際にワクワクするプロダクトが集まったイベントは、単なる出版記念イベントを超えて、このイベントに参加した人々に「中二病」を蔓延させる役割をはたしたようだ。

 実際にイベント会場には、かなりの「ワクワク」エネルギーを感じたし、後日、本イベントに参加した方の何人かからは、「実際に自分もなにか作ってみたい」という声が上がっている。

 今後も、「マイクロモノづくり」をキーワードにヒトとヒトのご縁を大切にしてマイクロモノづくりを生み出して行きたいと強く感じられるイベントになった。感謝である。

文責:三木・宇都宮


イベントスライドショー


Amazon「マイクロモノづくりはじめよう」


マイクロモノづくりを学び実践するための学校


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