見出し画像

第150回MMS(2017/06/21対談)「撮影される方のなれそめを伺う中でその人自身に“そっか”という気付きが得られた瞬間にワクワクする」Socca Co.,Ltd 代表取締役 小畑あきらさん

●ご挨拶と出演者紹介

三木:マイクロモノづくりストリーミング記念すべき150回放送本日も始まりました。本日も司会は株式会社enmonoの三木でございます。本日は理念系映像集団の小畑さんと長さんに来ていただきまして、色々となれそめを伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

小畑:はい、ありがとうございます。


●自己紹介と株式会社理念系映像集団の紹介

三木:ちょっと簡単に自己紹介をしていただきたいと思います。

小畑:理念系映像集団というへんてこりんな名前の会社を経営しております小畑といいます。17期でお世話になりました。

三木:こちらが元々の会社のホームページ。

小畑:そうですね。写真屋さんです。

三木:ということで。あとは長さん。

長:株式会社理念系映像集団の長と申します。よろしくお願いします。

宇都宮:何年ぐらいお勤めですか?

長:こちらに来させていただいてからは4年です。社長とはもう8年ぐらい。

宇都宮:どういうお知り合いなんですか?

小畑:前職ですね。前の会社の社長だった時の従業員さん。前の会社は創業明治20年の老舗の写真館。そこの社長をしておりました。

三木:そちらの写真館はどういう写真を撮ってたんですか?

小畑:普通に記念写真ですね。お宮参りとか結婚式とか普通に皆さんがイメージされる写真館の経営をしてました。そこで彼女はカメラマンということで新卒から来てくれて、今の会社はそこを離れて作った会社で彼女も一緒に来てくれたということです。トータルだと8年くらい一緒に仕事をしてます。

三木:その前の会社から今の理念系映像集団に変わったきっかけは?

小畑:これは事業承継を失敗したというやつですね(笑)。大失敗しましたね。事業承継もしくは会社を売るとかその辺りに関しては非常に興味もありますしお世話のしがいがある男だと思います。失敗してるだけに(笑)。

宇都宮:事業承継でお悩みの方はご相談いただければ?

小畑:そうです。大失敗しましたから。

三木:変わってから何年ぐらいですか?

小畑:7期目か。

三木:7年前に会社が別の会社になっていって。

小畑:そうですね。全く離れてしまって継承も関係なく立ち上げたのが理念系映像集団です。

三木:その別れたきっかけがこの会社の考え方に影響してるんですか?

小畑:そうですね。名前が理念系映像集団という「お宮参り撮ってほしいんですけど」って言われて、電話出て「理念系映像集団です」でガチャって切られるので屋号がstudio Fitで、Fitはphilosophia imaging teamって理念系イメージ集団と一応なぞってるんですけど、ただ撮るんじゃなくて結婚式でいうと「何で結婚するの?」ということですね。たぶん世の中で写真屋さんにそんなこと聞かれるとびっくりすると思いますけど、僕らにしたら何で結婚するのか、結婚してどうなりたいのか、もっと前からいうと「どこで知り合ったんですか?」とか「どういう関係性?」とか、あとは例えば披露宴とかになると「どんな方が集まりますか?」とかお父さんとの関係性とかお母さんとの関係性、中には揉めておられるご家庭もあるでしょうし、離婚されてるとか色んなご事情を持っておられます。そういうことを知らずにキレイなものを撮るんじゃなくて、そういうことを全部知った上でお付き合いしていく、もしくは撮影の場にいてもらうと映ってくるものが違うという想いが社名になってる。

三木:前の会社で結婚写真を撮る時色々なれそめを聞いたりするのが今の理念系映像集団に引き継がれていると?

小畑:そういうことです。ただ撮るんじゃなくて、「何なの?」って(笑)。

宇都宮:「いかがなさいました?」

小畑:「いかがなさいました?」とか。例えばお客さんとホテルが何か意見の食い違いがあって揉めておられる時に「ややこしいお客さんです」という情報が先に入ってきちゃうので、僕らは「え~」とか思うんですけど、そういうお客さんに限って彼女たちが行ってくれると意外に仲良くなっちゃって、全然問題ないというのは何回もあります。

三木:対話の力ですか?

小畑:そうですね。ホテルの方はそれ以上クレームにならないように対応されるので硬直化されていくんです。でも彼女らに「いかがなさいました?」ということで行ってもらうと割と仲良くなって。

宇都宮:長さんも「いかがなさいましたか?」なんですか?長さんが対応していく時はまた違うんですか?

長:ちょっと違うかもしれないですね。私は新婦さんと歳が近いというのもあるので、割と友達に近い感じで聞いていったりします。「何でこの神社でするんですか?」とか、「何か決め手があるんですか?」とかそういうコミュニケーションを取ってできるだけ心の距離を近くにして、撮影当日の時は友達の結婚式にお祝いに来ているゲストのような気持ちで撮影させていただいてます。

宇都宮:何か違いますか?表情とか。

長:やっぱり違いますよね。カメラマンと新郎新婦さんではあるんですけど、でもそこの心の距離が少しでも近かったら撮れてくる表情は自然体になってきますし、緊張の度合いとか撮られてるなと気になることも減ってくると思うので、打ち合わせの時も撮影の時もお話とかお声掛けはさせていただいてます。

三木:その対話をするスキルはどこで身に付けられたんですか?

長:やっぱり撮影の現場が多いです。撮影している時に無言でただ撮り続けられるのと話し続けながら撮り続けられるのだったら心の負担が変わってくると思うんです。撮影の時はできるだけうるさいくらい喋ってます。例えば1回切って露出するんですけど、ここダメだと思っても「いいね、いいね」と言って撮り続けて(笑)。ここもうちょっと変えたいなという時は「OK、OK。すごい良かったですよ」と言ってまた次の場所に誘導するとか。

三木:なるほど。

宇都宮:それもノウハウをためていくというか経験しながら…?

長:そうですね。経験しながら自分の引き出しを増やしていくという感じです。あとは上手な方の写真を見たりとか、自分の好きなアーティストの方の写真集を見たりとかで勉強していく。自分も実際にそのイメージに近づけられたらいいなと思うので、カメラを持ってどこかふらりと行ってみるとか友達を撮影するとかして練習させてもらってます。

三木:そういう対話の現場を見てて、小畑さんはどういう感じに理解してるんですか?

小畑:もう放置ですね。

enmono:(笑)

小畑:写真も僕よりうまいので(笑)。さらっと彼女言ってますけどキレイに写すって難しいですよね。たぶん空間認識力と光の加減を見抜くという、ただし人物をどこに立たせたらどう引き立つかっていうのは回を重ねていってデータベースを持ってるんだと思うんです。僕は経営者ですから、写真撮るんですけどそこまでなかなか見抜けない。彼女はそういうところはパッと見抜いたりするので、サイトに載ってる写真とかもステキなのはほとんど彼女の写真でございますから、放置ですね(笑)。


●enmonoとの出会いとzenschool受講

三木:enmonoとの出会いに話を移していきたいと思うんですが、なぜいきなり写真屋さんが町工場の自社商品開発セミナーに来ることになったんですか?

宇都宮:そのなれそめを教えていただきたいです。

小畑:もうすごかったですね。

宇都宮:そこを具体的に聞きたいんですけど。

小畑:一瞬でしたね。各地でデジカメセミナーをしていて、写真が趣味の方がコンテストに出ようとか写真展やろうとかじゃなく、たぶん僕がやってるのはユニークだと思うんです。元はYahoo!さんのオフィシャルのデジカメの講師をしていて、ネットショップに自分たちの商品とかサービスを上げたいという人たちに対してセミナーの講師をやってくださいというオファーがあったので、Yahoo!さんはもう今はやってないですけどそれを各地でやってます。富山でもやってて僕が行くと受講してくれた人たちが「一杯飲もうぜ」って言って集まってくれるんです。その中にあの富山の美術館を作っちゃった梶川さんがいらっしゃいまして。

三木:あの有名人?

小畑:有名人。僕は存じ上げなかったんですね。ガイアの夜明けは見てました。「テレビに出てた人がいるぞ。これは名刺交換しておこう」ということで名刺交換させていただいて、

昨今Facebookとかありますからそこのご縁でいつもつながっているという状態になってました。暮れに京セラの稲盛和夫さんの撮影をさせてもらってるんですけど、

講演の撮影をしてたら稲盛さんが革新的なイノベーションを起こすにはどうしたらいいかという講演をされまして、僕はそれを記録係で撮ってたんですけど聞きながら「そうだな!その通りだな!」と。写真屋さんやカメラマンってたくさんいらっしゃいますし、皆さん同じサービスを提供されてて価格もコモディティ化してますから、ある種の限界というか、特に現場に入ってもらうと疲弊をしていく。業界という中で仕事をしていくと色んな疲弊するネタはいっぱいあっておもしろくない。だから何かしたいなとずっと思ってたんですけれども、たまたま稲盛さんという人が「何かやれ!」みたいなお話だったので、梶川さんにたった一言「突破口ほしいな~」と。

三木:その時は何かモヤモヤしてたんですね。

小畑:そうですね。「突破口がほしいな」この一言でしたね。何か知らないけど梶川さんが「じゃあつないであげるわ」と。その間にお二人が僕のパソコンの中にポンとあって、実はお二人のことは知らなかったわけではなかったんですけど、そういう風にして出会う予定はなかったわけです。

宇都宮:ハングアウトしてましたもんね?

小畑:はい。何か2月はダメだな~とか3月もダメとか。

三木:去年ぐらいでしたっけ?

宇都宮:去年の12月。17期がちょうど1月にありますよって。

小畑:そこだけポンと空いてたんです。「じゃあ来ますよね」みたいな。

宇都宮:そのために空けてたんですもんね。

小畑:何かそういう話になって、先ほども「zenschoolを体験できる」とか、「発表会を見に行きました」とか、「マイクロモノづくりの本を読んで興味がありました」とかっていうのも全く免疫なく、「突破口がほしい」という一言で20分くらいで行くことが決定したと。

宇都宮:ご縁ですからね。そんなもんだと思いますよ。

小畑:そういう出会いでしたね。

宇都宮:考えに考えて吟味した人はだいたい受けない感じ。論理的に考えるとzenschoolを受講しなくてもいいにどうしても行き着くんですよ。数字としての効果がないので。

小畑:そうかもしれないですね。


●zenschoolで得られたことと“そっか”について

三木:そこで生み出されたモノがこちら。

小畑:はい。なれそめです。

三木:これはどういうサービスなんでしょうか?

小畑:ワクワクトレジャーハンティングで僕は一体何にワクワクするのかということをやって出てきたのが“そっか”という。

三木:“そっか”

小畑:なので社名も変わる予定です。

三木:何という社名になるんですか?

小畑:株式会社SOCCAになると思います。

例えばさっきのブライダルも全く一緒だと思うんです。「何で写真撮るの?」とか何か気づいてもらう。みんなが撮るから写真撮るとなってくると、「じゃあどこか安いところないかな」となるわけですけど、僕が考えてるのは彼女に撮ってほしいという方をもっと増やしていきたい。だからお客さんと喋ってるうちに「あ、そっか。写真って良いよね」っていうのが出てきたらいいなと思うし、僕も色々お世話していく中で人と雑談してると相手の頭の中に“そっか”って出た瞬間が異様にワクワクして。

三木:それって僕らと同じですね。

小畑:だからこちらから何か言うんじゃなくて、何か雑談していて…

三木:会話の中から自分で気づいてもらう。

小畑:そうですね。何かを気づかれて“そっか”ってなった瞬間って非常にワクワクするという感じです。

三木:ここのなれそめは僕らとの対話の中でどの辺で“そっか”になったんですか?

小畑:企業さんの映像を撮るのが僕は今後主体になっていく。彼女は撮影という部分が主になってくる。でもやること一緒だと思うんですけど、ただ社長さんとかにインタビューする時でも当たり前のことを聞くんじゃなくて、「何でそう思ったんですか?」とか、何かそれに答えを返して「それはそう思う人は少ないんじゃないですか」「どこから来るんでしょう?」と2回か3回ぐらいキューを投げると、今までの固定化してた「そういうこと聞かれたらこう答えよう」って言ってたのが段々なくなっていって、「あ、そっか」っていうのが出てくる。僕たちはそういうものがほしいんです。もうすでにどこかの取材とかで言っていることをもう一度取得して再提出しても何もおもしろくないでしょ。だから極端に言えば「何でその仕事をしてるの?」「何がしたいの?」ということです。映像作ってる若いのはそれがしたいことだと思うんですけど、「何で映像がいるんですか?」「その映像を誰に見せたいんですか?」「何を期待してるんですか?」「どうなりたいんですか?」というところです。だから「いかがなさいました?」っていうお医者さんみたいなことですね。

宇都宮:それって昔からそういうスタイルなんですか?

小畑:やってました。無意識ですよね。ただ「手法としてそういうやり方ありますよ」ってテレビで池上彰さんが言ってたので、それを聞いた時に…

宇都宮:インタビューの仕方みたいな?

小畑:インタビューの仕方です。池上彰さんが言ってたのは「相手のアンサーに対してキューを出さないといけない」と。「あ、俺やってるな」と思って。だからぼーっとやってたのが段々明確になってきて、zenschool来て明確どころか「これや!!」みたいな(笑)。

enmono:(笑)

小畑:そこで「あ、そっか」だと。

宇都宮:小畑さんの中に“そっか”があった?

小畑:そうです。「あ、そこだ!」みたいな。だから僕ら撮影を目的にしてしまってて、自分が一番ワクワクしているのはどこかというと「そこだ!」と。ここの人は一体何者で何をしようとしていて、でもそれは聞けば言うんですけど、「じゃあ何で?」と。例えば「うまいこといかない」という一言を言ったとしたら「何でですか?」というと、大概理由を言うわけです。その次キューを出してあげると、やってない自分を発見したりとかただの言い訳で…

三木:そういえばこういうことやってなかったなみたいな?

小畑:そうです。だから相手の“そっか”へ導き出すまでの雑談のネタがいっぱいあるのでたぶん話はなんとかなると思います。

PR



●なれそめ庵とSOCCAについて

三木:なれそめ庵とSOCCAについて深く聞きたいんですが、具体的にどういうサービスになっていくんですか?この辺は中小企業の方ですか?

小畑:そうですね。色んな人とのコミュニケーションを作ることやみんなをつないでいくというのは割と好きなので、色んな方に来ていただいて。

三木:“ヲバタのお節介夜話”ってどういうものですか?

小畑:これはまずゲストの人に誰か来ていただいて、その人はどんな仕事をやってるのかと僕が雑談の中で色々深掘りしていって、それを一つのメディアという形で上げていく。その会はその後はもうオープンな場としてみんなで飲む飲み会。

ずっと昔デジタルハリウッドにお世話になってた時に、デジホリックという異業種交流会をやってたんですけど、その時やってた参加費用がいらない、ドタキャン・アポなし参加OK、遅刻・早退OKというやり方をやってます。これをやると結構来られるんです。参加と言ってなくてもひょっと入ってきたり。皆さんに色々会話をしてもらって、僕はあまりしないです。冒頭で喋る感じ。その中で僕らが考えてることみたいなのが映像として残っていく、もしくはみんなに感じてもらう。なかなか写真屋さんや映像屋さんって何考えてるのかっていうのを営業しようと思っても、皆さんの中の「写真屋、映像屋というのはこういうものだ」というイメージが強いと思うんです。でも僕たちは全然違うことをやりたいと思ってるんですけど、そんなことをやってる人があまりいらっしゃらないので、だから説明のしようがないんです。コンサルになると思うんですけど。

三木:コンサルという言葉が好きじゃない?

小畑:そうですね。コンサルもしくはコーチングとか色んな…

三木:横文字は好きじゃない。

小畑:似てるんでしょうけど、僕らが考えてるのは全然違う。その中でなれそめというのはとにかく「何で結婚するんですか?」とかそういうところから始まってるので、例えば2代目さんだったら「何で継いだか?」、本当は何かやりたいことがあったんじゃないかとか、でも継ぐというのはご自身の意思ですから、「継いでどうですか?」ということです。「なぜ」「なぜ」「なぜ」っていう、だから「いかがなさいましたか?」というわけです。

三木:これはなれそめというのは企業の場合は社長さんとそのお仕事のなれそめということですね?

小畑:そうですね。創業されたんでしたら、「何でそういう仕事を選択されたのか?」。前職でそういう会社に勤められてたのかもしれないし、継がれたのであれば「継いでなかったら何やってました?」「それがどうなって継ぐことになって、継いだことによって何が起こりましたか?」「どういう状況ですか?」とかなれそめですよね。コンサルだとほとんど経営者の人に対してされる場合が多いと思うんですけど、僕の場合はそこで働いている方となってくると、今度は社長と従業員さんのなれそめです。

三木:社長と奥さんとか。

小畑:そうそう。奥さんも大事です。お取引先もそうかもしれないし、関係性ですよね。当たり前にみんな従業員さんがいたり奥さんがいたり取引先があったりと思ってますけど、絶対なれそめというかそもそも何かがあるはずですよね。そういうところをヒアリングしていく。そうすると皆さんよくあるのが当たり前になってしまっていて、例えば技術にしてもお取引先にしても人間関係にしても当たり前になってしまって見えていない。すごく良いものを持っているのに実はご自身気づいていない。業界の中にいるので良さがあまり分かっていない。従業員さんすごく良い人たちがいるのに当たり前になってしまっている。僕らはそういう映像化していく時にその辺を「かっこいいよな~」という一つの見方ですね。「かっこいいよな」って彼女の感性だと思います。工場とか行って汚いとかきついとか厳しいとか危険とかっていう話はすぐ出るんですけど、彼女らがレンズを向けると働くおっさんかっこいいんですよね。そういう写真はかっこよくなりますから、そういうものをお見せすると「あ、かっこいいじゃない」みたいな、そういうものを僕らは今までやってきたと思うので。

三木:対話をしながら“そっか”に気づいてもらい、その記録として映像とか写真とかにしていくというサービス?

小畑:そういう感じです。だからたぶん世の中のカメラマンとか映像やってる人は同じことをやっていると思うんですけど、たぶん僕みたいに何となくやっているのが今回僕たちははっきりしたんです。

三木:意識的に、意図的に。

小畑:それとヒアリング能力というか雑談力というのもあるんだというのが、意外にzenschool来てはっきりしました。自分では自分の能力って言っちゃうと「何調子こいてるんだ、こいつ」と思われそうですけど、自分にはそういうヒアリングの力がある、もしくは雑談で何かを引き出してあげる力があるっていうのに自分で気がつく、それは大きかったです。

三木:そうですよね。その目覚めた瞬間を僕は目撃しましたからね。小畑さんの中に“そっか”が出た。それって結局なれそめって前やってたことですけど、「結婚写真の時にやってたことですよね?」みたいな。

小畑:そうですね。「どこで出会われましたか?」「どういう所行きましたか?」「思い出の場所何かありますか?」とか色々聞きながら喋りながらやってくれてるので、まさになれそめですよね。「そうだな!」と。そこにワクワクすると。


●中小企業での活動について

三木:今色んな中小企業さんに神出鬼没で日本中を回られてるじゃないですか?これは何か目的があるんですか?

小畑:具体的には、例えば社内でデジカメセミナーとか、単にコンサルティング、色々お話聞いてお支払していただく場合もありますし、何よりも写真とか映像を最終的に納品ができるコンサルティングっていうのはまずないと思うんです。皆さんの意識としては写真は写真屋に頼めばいい、映像を撮るんだったら映像屋に頼めばいい、何か要望を言ったらいいという感覚ですよね。でも僕らにしたらそれで本当に集客、売上、リピート、リクルートにつながるならいいですけど、本気でつなげたかったら映像って情報発信できるツールですからちゃんとそこはヒアリングをしてその社長が目指しているものを映像化していく。たぶん皆さんそういうことができるということにあまり気づいていない。

三木:経営者ですか?

小畑:経営者ですね。従業員さんもそうです。たぶん写真撮られるとかになったら、特に職人さんとかだったらあまり好きな人いないと思うんですよ。

三木:撮られるのがですか?

小畑:そうです。でも彼女らが行って、そういう対話の中でその工場に僕たちが居ていい状態になった時に何かポーズをつけるんではなくていつも通り働いてるんです。

三木:完全に自然体になった時に何かが立ち現れるというか…

小畑:そうです。そうすると従業員さんも彼女らの写真を見て「あ、俺らってかっこいいな」と思ってくれる。僕らは撮影でみんなを巻き込んじゃうので、そうするとホームページができたら皆さんもそれを見て「あ、俺写ってるな。かっこいいな。」ってそういう会話が生まれるというのは経営者の方からフィードバックいただいてるので、そういうことが起こせるということを知らない人が多いです。

三木:小畑さんにお願いすると単にかっこいい写真とか映像が作れるんじゃなくて、会社として一体感が出るみたいな?

小畑:そうです。だから経営者の人だけに注目していくのと違って、結果的にチームビルディングですね。

三木:チームビルディングですよね。映像をツールとして使ってって感じですね。

小畑:そうですね。だからそれが外向けにも使えるし社内でも使えます。つまり昨今のYouTubeとかに上げてしまえば公開になりますから、経営していく場合に映像を使うっていうのはコミットメントだと思うんです。つまりそういうかっこいい技術を持ってる従業員さんたち、設備、社長の考え、全部そういうものを僕らがヒアリングして取得して編纂したものを載っけてしまうと全公開ですから、そうすると…

三木:変なことできないというか、その映像の約束したことを下回るクオリティのことはできなくなるということですね。

小畑:その通りですね。だから僕はすごくコミットメントになると思ってるので、僕らがヒアリングして、社長が現状じゃなくてどこか目指しているところへ、従業員さんもレベルアップしたいとか何かあると思うんです。顧客先を広げたいのか新規の得意先を探しているのかもしくは生産性を上げたいのか、何か課題を持っていて、それに対してのコミットができるようなものというのを作って差し上げる。

三木:なるほど。ようやく何か見えてきました。

小畑:ようやく見えてきました?だからこれぐらい喋らないと分からないんです。今あちこち行って何かこいつらやりそうだなという匂いを発してるんですね。

宇都宮:自分自身のなれそめの映像が必要なんじゃないですか?

小畑:そうなんです。

宇都宮:人のを聞き出すんだけど、小畑さん自身を聞き出してもらえるような人がいるといいですよね。

小畑:良いこと言っていただきました。実はそれが今回なれそめ庵をニューヨークでやろうと。

このニューヨークにKatsu Kawasaki(カツカワサキ:河崎克彦さん)という経営者を訪ねるんですけど、実はうちのお客さんで今言ったようなことを非常に理解していただいている方なんです。「小畑さんを僕がインタビューしてあげます」という約束をしてたんですが、なかなか行くタイミングがなくて、今回「そうだ!ニューヨークへ行ったらいいんだ!」と。zenschoolすごいんですよね。全部つなげてしまいますよね。

宇都宮:そんなつもりはないんだけど。

三木:何人行くんですか?

小畑:12人ぐらいで。

三木:すごい。

小畑:その時に僕と彼女がカメラを持ってそれで行ったら「何かイベントニューヨークでやったぜ!」みたいな、ギャラリーいなくても行けるよね…

宇都宮:なれそめ庵の実績として海外でやったという。

小畑:「ニューヨークでやったぞ!」って言ってイベントを作ったんです。速攻で梶川さんが「マジですか?」と打ってきたんです。「マジですよ」と言ったらそこから「行く」「行く」「行く」と今12名。

宇都宮:そんなに人が集まるとは思わないですよね。

小畑:すごいですね。

三木:12名の人は小畑さんがインタビューされてるのを周りから見てる感じなんですか?

小畑:一応12名集まるので、ちゃんとしたプログラムを考えまして、ニューヨークの皆さんとご相談して、日本からこういう人たちが行くので、あちらでの日系関係の経営者の人に集まってもらってそこで交流をするというのをまずは第一義にしようと。ひょっとしたらまたニューヨークで何かが起こるかもしれない。

三木:zenschoolを広めてきてください。ニューヨークで。

小畑:そうですね。いいかもしれないですね。


●写真や映像の役割と今後の方向性

小畑:おそらくこれだけ喋らないと僕がやりたいことって分からないんです。分かっていただける人は非常に分っていただけるんですけど、皆さん意識としては写真を写真屋さんに頼んでキレイなのが上がってきたり、映像はかっこいい今だったら4Kとかドローン飛ばしたとかCG使ったとか、高いよねとか…

宇都宮:言葉に引きずられますよね。常に持ってる概念だったり。

小畑:その通りですよね。

宇都宮:映像集団っていうと引きずられますもんね。社名がSOCCAになるっていう(笑)。

小畑:何のことか分かりません。説明できません(笑)。

宇都宮:説明するきっかけを。

小畑:そうです。だからすごいなという感じ。あちこち出没しているのはいわゆる種まき。今言った通りでそもそもないことをやろうとしてるのでまず言葉にできないんです。した時点ですでにあるものを先にみんなが認識してしまうので、コンサルと言った時点でもう僕らが目指してるものとは全く違うので表現できないんです。最近気がついたのは表現できないということは世の中にない可能性がある。

三木:それはzenschoolも同じなんです。

宇都宮:僕らも説明できないんです。それはたぶん経験されたと思うんですけど。大阪でzenschoolを説明しようとした人がいらっしゃったわけですよね。

小畑:無理ですね。

三木:「経営者向け○○セミナー」とか言うんですけど、そうでもないし「何なんですか?」みたいな。

小畑:そうですよね。だからzenschoolとか名前大事ですよね。うちもだからSOCCA、なれそめだとか、あとはキーワードとしては「いかがなさいましたか?」という。元々僕らは製造業の人からしたらすごく非効率な仕事の仕方を平気でやってしまう。

宇都宮:原価計算してないという。

小畑:そういうことです。たぶん僕らの仕事を特に製造業の社長さんが見たら「こいつらバカか」みたいに言われるわけですけど、僕ら暗黙知って言ってるんですけど、その会社の中にある言葉にできないサービスであったり技術であったりというのは、それを見える化するのが写真、見える化するのが動画の力だと僕らは思ってます。見えてるものをキレイに映したところで何の感動もないんですけど、隠れてるものを「何か可能性があるな」とか「ここはちょっと他と違うな」とか、暗黙知の見える化が写真とか映像の役割だと僕は思ってるんです。彼女はそれより深い写真がどうだっていうのを持ってる。だからここでバランスが取れて、今後はより深めていける。今まではごっちゃにやってしまっていて。

三木:いっぱいやってたのがちょっと絞ってきた?

小畑:そう。はっきりしてきた。

三木:“そっか”の方向に、それを取り出すためにグーッと絞ってきた。

小畑:そうそう。絞ってきた。

宇都宮:もう“そっかマスター”。

小畑:いいですね。“そっかマスター”。そういう感じです。


●「日本の○○の未来」に対する想いとzenschoolマスターについて

三木:ここで最後に皆さんにしている質問がありまして、「日本の○○の未来」ということで、○○はご自身で入れていただくんですけども、何か未来に想いがあれば一言いただきたいです。

小畑:日本の○○の未来。

三木:例えば日本の町工場の未来とか。

小畑:日本のカメラマンの未来ですね。僕も長さんというカメラマンがいてくれてるわけですけど、たくさんカメラマンの方いらっしゃると思うんです。もちろん腕もいるだろうし、経験もいるだろうし、それから何か賞を獲るようなセンスもいると思うんですけれども、「この人に撮ってほしい」って思ってもらえるようなカメラマンがもっと増えればいいなと思います。もちろんお金をもうけて食べていくために写真を撮ったり映像を撮ったりしてももちろん問題はないんですが、そういう見えやすいもので競争をするんじゃなくて、「何かこの人雰囲気がいいな」とか「もうこの人以外考えられないな」ぐらいのものになっていってほしい。

三木:そういう人たちを増やしていきたい?

小畑:そうですね。まずは僕らの中では彼女が、今までは理念系映像集団という中の人間だったんですけど、もっと個が立つ存在になっていってほしい。一番僕がやれるのがここにいる彼女、ここから「いいな」と思う人がいっぱい出てくれたらよりいいかなと。だから日本のカメラマンの意識がもっとこう…全員zenschool来いよ(笑)

宇都宮:そこですね。

小畑:全員zenschool。たぶん「そんなの言われなくてもやってるよ」っていうカメラマンは多いと思うんですけど、たぶんzenschoolに来たらもっとはっきりするような気がします。

三木:そういう中で、小畑さんはzenschoolマスターになるという道を選択されたそうですが。

小畑:はい。なんせ取り出されたモノがこのお節介なので。正直すごいなというのがあるので、これもzenschoolに行った時にお世話なのかお節介なのかという、言葉がどっちだというシーンもあったわけですけど、お世話というとちょっと上から目線、お節介つまり余計なことですよね。僕も受けてみないと分からないという(笑)このzenschoolを…

三木:さらに自分でも広めて、ご自身でそういうすごいカメラマンを生み出していきたいという。

小畑:そうですよね。カメラマンの人が来てくれたらうれしいです。

三木:カメラマンの方はぜひ小畑さん主催のzenschoolat京都になるか分からないですけども。

小畑:いいかもしれないですね。

宇都宮:デジカメセミナーがzenschoolに(笑)。

小畑:確かに。何でもいけると思います。ただ本当にお付き合いさせてもらってても、工場とかシステム設計とか技術者の人が多いですが、こういうカメラマンが来ても何かが起こってしまうという。

宇都宮:持ってるスキルがどう掛け合わさるかなので、スキルだけで勝負してるわけじゃないからたぶん個別化できるのかも。

三木:なるほど。心が全てを生み出してるから、スキルはもう皆さんお持ちなので、心が変わると例えばスキルが10だとして心がマイナスだったのがプラスになっただけで一気に何十倍にもなるわけです。

宇都宮:しかもオリジナリティがあるので、値段競争に入らない。

小畑:そこですね。そこも大事ですよね。これからの世界。

宇都宮:値段競争し出すと機械と勝負し始めるのでもう勝てないじゃないですか。

小畑:そうですよね。そういうことなので梶川さんの一言からこんなところまでいきました。

宇都宮:来年になったらもっととんでもないところへ(笑)。

小畑:そうですね。いきたいですね。

三木:ニューヨークでzenschoolを教えてらっしゃるかもしれないです。

小畑:いえいえ。おそらくニューヨークでデジカメセミナーはできるでしょう。

三木:なるほど。

小畑:でも宇都宮さんの一言がなかったら僕は気づきませんでした。「できるな!」と思って。私のデジカメセミナーも世界初ニューヨークからスタートです。

三木:今日は理念系映像集団の小畑さんと長さんに来ていただきました。どうもありがとうございます。

小畑:ありがとうございました。

長:ありがとうございました。


対談動画


小畑あきらさん



Socca Co.,Ltd WEBSITE


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?