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第59回MMS(2013/7/5対談)「メイカーズのたの秘密基地を町工場に!」株式会社関東精密  杉田勇さん

本記事は2013年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

特殊な事業継承の町工場二代目

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宇都宮:まず、杉田さんの自己紹介、関東精密さんの紹介をお願いします。

杉田さん:株式会社関東精密の杉田と申します。社名のとおり、関東にある精密機械加工の会社です。

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名前は大きいですが、規模は小ぢんまりとしています。お客様は車、食品、衛生面、半導体関係など多岐にわたり、主に部品加工をやっています。

宇都宮:(創業から)何年くらいになるのですか?

杉田さん:40年です。代表を継いだのは、6年前です。

宇都宮:二代目ですか?

杉田さん:はい。特殊な二代目です。

宇都宮:特殊と言うと?

杉田さん:先代と工場長がやっていた会社なんですけれど、先代とは血縁関係がありません。工場長とは、前の会社で知り合いました。その工場長に「一緒にやらないか」と、ひっぱられまして。先代と工場長の後に会社を継いでくれないか、と。それが、工場長が会社を継ぐ時になって、辞めちゃったんですよ。継ぐ気持ちはあったのですが、その時は唐突に来ました。僕が株を買い取るというかたちでお金をお支払いして、継がせていただきました。個人M&Aみたいなものですね。先に代表になって、会社が借金して、借金したものを僕が借金して、それを先代にお支払いしていました。先代には今も、「あんたに継いでもらってよかった」と言ってもらえています。

宇都宮:会社を継ぐって、大変ですね。

杉田さん:起業するよりは、楽でした。継いだ時はリーマン・ショック前で、たくさん仕事があり、気楽な気持ちもあったんです。設備もある状態で引き継ぎましたし、先代の借入金がゼロだったのです。でも、リーマン・ショック後は仕事がなく、売上は急激に下がりました。運転資金もなくなり、銀行から借増してなんとか持ちこたえると、今度は忙しくなって。新しい機械と場所を、同時に導入しました。

宇都宮:かなり投資をされたのでは?

杉田さん:リーマン・ショック時の借金とは違い、前向きな借金でした。それから

は、売上も上がってきました。

宇都宮:ここ最近はどうですか?

杉田さん:キャッシュがまわらなくなっています。おかげさまで、仕事はいただいていますが、それ以上に足りない設備が出てきたり、工具を買ったりしているからです。

宇都宮:仕事の幅が広がって、設備が必要になったということですか?

杉田さん:そうですね。会社を継ぐ前、取引先は一社でした。一社依存は怖いと感じ、取引先を増やしていきました。商談会に参加したり、横浜青年経営者会などの会で、繋がりを増やしたり太くしています。その横浜青年経営者会の先輩である(ニットーの)藤澤さんから、enmonoさんの講座について教えていただきました。

宇都宮:売上は増えてきたのに、なぜ、マイクロモノづくり経営革新講座(現在のzenschool)を受けられたのですか?

杉田さん:以前、自社商品を作ったことがあるのですが、お蔵入りになってしまいました。販路など、わからないことが多かったのです。「これを世に出したい」という思いが、なかったのかも知れません。受講して、根本的な進め方が違うと実感しました。お蔵入りした企画も、いずれ練り直そうと考えています。

宇都宮:場所を変えまして、ここが秘密基地「メタルDIY」ですね。これは、講座のどのあたりで、閃いたのですか?

facebookページ
金属加工のDIYができる秘密基地!『メタルDIY(メタルディーアイワイ)』

杉田さん:中~後半です。自社の設備でできるもので、得意とするものは何か、ずっと考えていました。DIYの好きな方々は、木工はできても、金属加工となると一気にハードルが高くなるんです。それで、アマチュアの方に金属加工を教えながら、誰でも金属加工のDIYを楽しめる場所があったらいいな、と思ったのです。

宇都宮:杉田さんの持っているノウハウで、時々、アドバイスをしてくれるんですね。講座で、「玄人には弱いけれど、素人には強い」というような話になりましたよね。職人さんだと、アマチュアの方に説明するのは苦手な人が多い。杉田さんは得意で、それが価値になると気づいたんですよね。

杉田さん:そうですね。ちょうど場所もあって、本当にタイミングが良かったという気がします。このスペースは、事務所にするために空けていたんです。

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宇都宮:場所が調整できたので、「初期費用もあまりかからないから、やってみましょうか」と話が進みましたね。「デザインや内装などの費用は、zenmonoのサイトで資金調達をしましょう」と。「メタルDIY」が、どういう場所になったらいいなと思いますか?

杉田さん:コワーキングスペースの金属版のような、お互いの考えなどをシェアできるような場となったらいいなと思っています。コミュニティの場所となれば、その中で新たなモノが生まれるんじゃないか、という期待もあります。

宇都宮:機械を使うのは、危険な面もありますが。

杉田さん:その点は、(利用者に)講習を受けてもらうだとか、誰かについてもらうだとか、模索しながら進めています。

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宇都宮:安全第一ですから。アマチュアの方も、そういう気持ちで利用してもらわないと困りますね。でも、危険だからこそ、杉田さんというプロがついていることは、ひとつの売りになります。「メタルDIY」で加工できない場合は、見積して注文を受けたり、そういう関係性も生まれたらいいですね。ところで、本業が忙しいなか、自社商品開発の時間をどう捻出しているのですか。飲み会を減らすとか、家族との時間を減らすとか?

杉田さん:それは減らせないですね。だから、亀の歩みなんですよね。

宇都宮:でも、辞めようとは思ったことはないんですよね。その点が、以前やられていた自社商品開発と違うのでは?

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杉田さん:はい。モチベーションが全然違いますし、成り立てば、事業の柱のひとつとなればいいなと思っています。

宇都宮:最後に、杉田さんが考える日本のモノづくりの未来について、教えてください。

杉田さん:大企業、中企業、小企業、零細企業というピラミッドが崩壊しつつある、と実感しています。自社商品開発やメイカーズがブームになっていますが、未来のモノづくりは自力でやっていかないといけないのでは、と思います。大手企業に頼らず自力で飯の種を作ったり、何かアクションを起こさなければ、生き残れない。海外で活躍されている中小企業の方も、いらっしゃいます。そういう企業がいっぱい増えればいいですよね。

宇都宮:そういう企業同士が繋がって、また、盛り上がっていけたらいいですね。ありがとうございました。

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対談動画

クラウドファンディングプロジェクト

2013/8/28(水)より、zenmonoで杉田さんのプロジェクトがスタートしました。
ぜひ応援のほどよろしくお願いします。

完成イメージ

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