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「不登校の話」シリーズ

23
全23回。不登校の話と銘打ってはいますが、大半は私の半生を追ったものとなっています。
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2018年6月の記事一覧

一ヶ月ちょっとの中学生活

<前回の話>

第一志望に落ち、引っ込みがつかなくなった私が結果的に入った私立中学校は、私の入学年度から共学になった「元女子校」でした。男子は私も含めた一年生のみで、二年生と三年生は全員女子です。上級生の彼女たちとは、制服のデザインも異なっていました。

入学して間もなく、小学校時代とは大きく変わった生活サイクルに、私はすぐさま音を上げるようになりました。

朝は早く、混雑した電車に揺られ、帰りも

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かたくなる

<前回の話>

学校へ行かなくなった最初の日のことなんですが、まったく覚えていません。「体調が悪い」といって休むことにしたのか、それともただなんとなく行かなかったのでしょうか。私自身を守るために、すっかり忘れてしまいました。

今まで書いてきたことは、当時の感情を、のちに言語化できたものを再構成しています。膨大な時間をかけて自分と向き合ってきたので「いま思うと、あの時はこうだったな」という輪郭が、

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VHS

<前回の話>

さまざまな人たちに盛大に迷惑をかけながら、私自身も含めた登場人物全員の「諦め」とともに不登校が安定期に入っていくと、有難いことに両親は私に対して、干渉や介入をしてくることがあまりなくなっていきました。

両親はもともと全然うるさくないタイプの人たちでしたが、突然このような事態に陥ってしまい、本当に大変だったと思います。20年前は今のように不登校がそこまで当たり前ではなく、インターネ

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犬の図鑑

<前回の話>

不登校中の生活でアニメを見る以外の時間ですが、犬の図鑑を読んでいました。これがいつから抱えていた思いだったのかはわかりませんが、私はずっと犬を飼いたかったのです。

幼少期から家では、金魚に始まり、熱帯魚、ハムスター、うさぎ、カメ、スッポンといった動物たちが、絶えることなく何かしらはいました。

友人宅から押し付けられるような形で一瞬だけ飼うことになったスッポンは、ある日愛着が芽生

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都落ち

<前回の話>

ある日、転校をすることになりました。

私はもう二度と学校へ行く気がないので「退学」をしたかったのですが、中学は義務教育なので退学することはできず、あくまで「転校」という手続きになります。

そのタイミングで、ちょうど我が家も引っ越しをすることになりました。当時の我が家は、いま考えると家賃の相当高い賃貸マンションに住んでいました。そして、高額な家賃を払えなくなったため、出ていくこと

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モップ

<前回の話>

転校の手続きや挨拶も兼ねて、母に連れられ、一度だけ引っ越し先の公立中学校へ行きました。ただし通う気はさらさら無いので、応接室で教頭先生あたりの人らと、ちょっとした面談みたいな感じだったと思います。

現在の私でしたら、こんな時でもそこそこ朗らかに対応できますが、当時の私は「かたくなる」一択です。この学校へ行ったのは、これが最初で最後になりました。

今でも履歴書などでは、この学校を

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