犬の図鑑

<前回の話>

不登校中の生活でアニメを見る以外の時間ですが、犬の図鑑を読んでいました。これがいつから抱えていた思いだったのかはわかりませんが、私はずっと犬を飼いたかったのです。

幼少期から家では、金魚に始まり、熱帯魚、ハムスター、うさぎ、カメ、スッポンといった動物たちが、絶えることなく何かしらはいました。

友人宅から押し付けられるような形で一瞬だけ飼うことになったスッポンは、ある日愛着が芽生える間もなく父が持っていき、その後はどうやら鍋になったらしいと聞いています。(いま考えてみれば、小さい子どもがいる家庭にスッポンがいるのは危険ですしね)

ハムスターやうさぎも複数いましたし、可愛かったのですが、もっと心が通じ合いそうな犬や猫に、昔から強い憧れがありました。それまではずっと賃貸マンション住まいでしたので、鳴き声をあげる動物は飼えませんでした。

不登校になってから毎日あまりにやることがなく、それと同時に犬の飼いたさがあふれていて、自転車で少し行ったところにあるペットショップへ、衝動のままに週5ペースで通っていた時期がありました。この時だけは外出していましたね。「不登校=引きこもり」が固まりきる直前の、わずかな時期でした。

明らかに学校があるはずの平日昼間に連日やって来る子どもがいるのですから、お店側としてはかなり「案件」であったように思います。記憶には無いのですが、さすがにこの行動は誰かに止められたような気がします。

私の犬への欲求は、やはり図鑑と向き合う時間が中心になります。

当時私がメインで読んでいた犬の図鑑は、1995年に刊行されたものでした。あまりにもいつも読んでいたため、奥付までなんとなく覚えてしまっています。(それなのになぜだかタイトルは覚えていない)

メインの図鑑では、犬種が150種類程度、有名犬種はカラーで、マイナーなものはモノクロで、ほぼ全種類に写真が掲載されていました。他にも、図鑑というよりはガイドブック的なボリュームの本ばかりでしたが、複数冊あるものを繰り返し読んでいました。

一日中それらを見ていたおかげで、今でも犬を一目見れば犬種名がパッと出てくる能力を身につけました。東京では代々木公園を中心に、図鑑でしか見ることができないような犬がけっこう散歩しているので、大人になってあのあたりをうろうろすると知識が活かされるケースが少なからずあり、楽しいです。

後年知ったところによると、この13〜14歳くらいの時期が、学習した内容が最も記憶に定着するタイミングだそうです。学習記憶のボーナスタイムを、私はほとんど犬に捧げてしまったわけですね。

なお、読んでいた図鑑は1995年に刊行されたものなので、それ以降の20年あまりで誕生した最新犬種についてのデータが、私には一切ありません。

特にこれ以上覚える必要もないだろう…と思っていたのですが、あれから数多くの犬種が増えていることがわかったため、再び興味が出てきました。できれば当時と同じように、最新の図鑑を手元に置いて、少しずつアップデートできたらと考えています。

<次の話>

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