百鬼夜行 vol.7 開催レポート
- はじめに.
2023年6月17日(土)-18日(日)、『ZENKI 百鬼夜行 vol.7』を開催いたしました。参加者並びにスポンサーの皆さま、本当にありがとうございました。
今回の舞台は、日本が世界に誇る信仰の地『熊野古道』。
古の空気を肌で感じ、それをみんなで共有する。今回もとても興味深い旅路となりました。
2日間の記録を書き留めたいと思いますので、宜しければご一読ください!
- 百鬼夜行 vol.7 備忘録.
◉ 旅のしおりはこちら
◉ 熊野古道
熊野は、川や滝、巨岩などに神が宿るとして崇める「自然崇拝」を起源としています。そして、その自然崇拝に根ざした「神道」、大陸から伝来した「仏教」、さらに山岳信仰が密接に結びつき、日本ならではの、多様な信仰の形が育まれてきました。詳しくは、こちらの記事にまとめていますので、ぜひあわせてご一読ください。
熊野には「熊野三山」と呼ばれる3つの大社があります。この3つの大社へお参りするための道を「熊野古道」と呼びます。
今回の百鬼夜行では、この「熊野三山」を巡っていきます。
◉ 山伏そば 拝庵
なんと熊野には、山伏の方がやられているお蕎麦屋さんがあるんです。
「山伏」とは、山に神を見出し、山中で修行をする修験者のことを言います。このお蕎麦屋さん、かねてから訪れたいと思っていたのですが、「日本の歴史に想いを馳せ、学びを得る」という百鬼夜行のコンセプトにぴったり…!
ということで、さっそく問い合わせてみたところ、運良く予約することができまして、今回の旅は「山伏そば」からスタートです。
国道から一本脇道に入り、「本当に道合ってる?」と不安になるくらい、ぐねぐねの細い坂道を登っていくこと数分。「山伏そば 拝庵」はひっそりと営業をしていました。ここは奥熊野の地。お店のすぐ裏には、熊野古道が通っています。
今回も、初めましての方々がいらっしゃったので、まずは自己紹介&他己紹介から。そして、熊野までの道中話で盛り上がります。
一段落したところで、お待ちかねのお料理が…!一気にお腹が空きます!
お料理はどれも素材の持ち味を感じられて、店主のお人柄が表れているような優しいお味でした。
腹ごしらえが済み、大満足でお店を出ようとしたところ、店主の山伏・中根さんが、なんと法螺貝(ほらがい)の貝吹きでお見送りをしてくださいました。
中根さん曰く、山伏の仕事(修行)はたくさんあるけれど、「一番大事な仕事は、奥さんを大事にすること」だそう。素敵すぎます。
◉ 熊野本宮大社
熊野三山のうち、最初に向かったのが「熊野本宮大社」です。
熊野古道には、紀伊路、中辺路、大辺路、小辺路、伊勢路などいくつかのルートがあります。その中でも多くの人々が辿った「中辺路」を歩くと、厳しい道のりを終え、最初にたどり着くのが熊野本宮大社だと言われます。
難行苦行の末に本宮大社にたどり着いた、古の人々の心境に想いを馳せる…えも言われぬ感情が湧き上がりました。
◉ 熊野速玉大社
次に向かったのが「熊野速玉大社」。こちらも熊野三山のひとつです。
本宮大社とは趣の異なる、朱色の社殿が特徴です。
梅雨の合間のお天気に恵まれて、朱色の社殿が青空に映え、とても素敵な雰囲気でした。神職の方も大変親切で、速玉大社にまつわるお話を色々と教えてくださり、とても良い体験となりました。
◉ 夜の部
実はこの日、歩いているだけで汗が噴き出すほどの夏日。
体がビールを求めている…!お店に行くまで我慢できず、コンビニで仕入れたフライングビールで乾杯!
念願のビールで一息ついたところで、お店に移動し、夜の部スタートです!
お店を出た後は、宿のお部屋でしっぽり二次会も。
皆いい感じに仕上がり、和歌山のディープな夜が更けていきました。
◉ 2日目は、神倉神社からスタート
翌日は、朝7時半から行動開始。
というのも、この日最初の目的地である、熊野三山の元宮「神倉神社」は、なんと500段以上(!)の石段を登らないと辿り着けない場所なのです。まだ涼しいうちに踏破したい!ということで、早起きしてさっそく神倉神社に向かいます。
神倉神社は、日本の原始信仰・自然崇拝の形を現代に残す、特徴的な場所です。御神体の巨大なゴトビキ岩は、社殿ができるずっと以前から、信仰の対象として人々を惹きつけてきました。
何千年も前から、変わらずそこに鎮座しているゴトビキ岩と、それを目指す人々の歴史。思いを馳せると、ロマンが溢れます。
◉ 熊野那智大社
次に向かったのは、熊野三山の最後の一つ「熊野那智大社」。
有名な「那智の滝」がある場所です。
そして今日2回目の関門。
大門坂駐車場から2km弱、石畳の道を歩いて那智大社まで向かいます。
歩くこと30分弱。疲労困憊の末、やっと辿り着きました。
一通り参拝が済んだら、さらに歩いて「那智の滝」へ向かいます。
那智の滝自体は、那智大社の境内からも見えるのですが、やはり近くで見る滝の迫力は満点。正直、那智大社に辿り着いた時点で困憊(こんぱい)していたのですが、「頑張って行ってよかった」と心から思える素晴らしさでした。
熊野那智大社は、熊野三山の他2社と異なり、那智の滝を神聖視した原始信仰が起源です。山中に突如現れる華麗で荘厳な滝。ここに「神が宿る」と考えた、古の人々の心情がわかるような気がしました。
◉ 紀伊勝浦でまぐろランチ
那智大社から車で約15分。
旅の最後は、紀伊勝浦エリアに場所を移してランチです。
たくさん歩いた後の食事は沁みる…!
今回の旅の思い出話に花を咲かせながら、和歌山ならでは、まぐろをお腹いっぱいいただきました。
- おわりに.
港の市場を散策して、これにて『百鬼夜行 vol.7』は終了です。
今回の熊野の旅では、古の人々に思いを馳せるタイミングが多々ありました。大自然の中に身を置くと、私たちの祖先が、「大いなる自然の中にこそ神は存在し、脅威も恵みもあわせ与える厳しくも温かい存在」と考えたことは、自然の成り行きであり、とても納得がいくことのように感じました。
そして、熊野古道という苦行難行の道のりを通じて、自然だけでなく自分自身と向き合う。おこがましいかもしれませんが、熊野を目指した人々が感じた悟りのプロセスの片鱗を、ほんの少しだけ垣間見たような気がしました。
そして、今回の熊野回で、今年の百鬼夜行はちょうど折り返しとなりました。過去7回開催してきましたが、毎回雰囲気が異なり、毎回違う学びがあります。そして、参加者の皆さんが毎回楽しんでくださっている(と思いたい)ことが、何よりの喜びです。
これまでの百鬼夜行を通して得た学び、経験、感覚は、他には変え難い価値があると考えています。この経験値を、さらに飛躍させていきたいと思います。
次回は、2023年7月15-16日の日程で、福岡「宗像大社」「太宰府天満宮」を訪れる予定です。ご興味ある方はぜひご連絡ください!