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手塚漫画史上最強の萌えキャラ爆誕!

今回は手塚漫画史上最も可愛いキャラと言われている「ユニコ」をご紹介します。


「ユニコ」と言えばもうコレ。
1に可愛い、2に可愛い、3.4.がなくて5に死ぬほど可愛い
というとんでもなく化け物じみた可愛さを誇る手塚キャラ屈指の萌えキャラであります。

そんな「ユニコ」とはどんな作品なのか
今回はみっちりご紹介いたしますので
ぜひ最後までご覧になってみてください。

それでは本編いってみましょう。
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まずは本編の簡単なあらすじを追っていきましょう。

ギリシャ神話に出てくる伝説の一角獣「ユニコーン」の
子どもであるユニコ、その存在があまりにも人々に幸せにしすぎるがために
女神の嫉妬を買い
忘却の彼方へと捨てられてしまうという凄まじいお話であります。

キャラクターは死ぬほど可愛いんですけど
あらすじは理不尽極まりない個人的な感情で世界の果てに飛ばされるという
猛烈に悲惨な運命をしょい込むというある意味で手塚治虫らしさが爆裂したストーリーになっております(笑)

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そもそも
『鉄腕アトム』『リボンの騎士』のサファイア、
『ジャングル大帝』のレオみたいに可愛いけど非情な過去や運命を背負ったキャラ設定はもはや手塚節ともいえる御家芸ですからね。
でもその中にあってもこのユニコは個人的に見ても可哀そうなキャラの筆頭に挙げたくなるくらい可哀そうなんです。
そんなあらすじをもうちょっと踏み込んでみましょう。


事の発端は
美の女神・ビーナスがものすごい焼きもちやきで、
人間のプシケが自分より美しく人気がある事を妬んでいたんですね。
(ちなみにプシケのものと届くファンレターは一日に2万通(笑))
…でそのプシケの美しさの秘密が、彼女が飼っているユニコーンの子どもであるユニコが原因であるという事を知って、猛烈に嫉妬します。

…そしてゼフィルスに、ユニコの全ての記憶を失わせたまま
遠い所へ捨ててくるように命じるんです

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無情にも時の流れの彼方へ飛ばされたユニコは
アメリカ先住民の世界、中世ヨーロッパの城、近代ヨーロッパの森、
妖精の国、ロシア帝国などなど......。
あらゆる時代のあらゆる場所を彷徨うことになるんですが…
その天性の幸せオーラで出会う人々を幸せにしていきます。

しかし幸せになるたびに次のところに飛ばされるんで
お友達ができないんですよ。


しかも飛ばされる度にすべての記憶を失われるので
出会いや体験した出来事すら覚えていないという無常さ…。

どうですかこの哀愁漂う切なさ
幸せになった喜びを享受できないんですよ。
めちゃめちゃ可哀いそすぎだと思いません?

それでもゆく先々で人々に愛されながら出会った人々を幸せにしてゆき
そしてまた飛ばされてゆくという
超猛烈に健気なユニコの姿がもう愛おしいくらいにたまんないわけですよ。

まさに手塚作品屈指の萌えキャラファンタジック作品であります。


そんな本作は1976年11月あのキティちゃんでおなじみのサンリオが発行していた少女雑誌「リリカ」に連載された作品であります。

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「リリカ」は海外版をつくる計画もあったために、
横書きで左綴じという、日本では珍しい体裁の雑誌でありました。

しかも連載開始当初はオールカラーで
さらにコマの外枠をはみ出してページの端いっぱいまで絵が続く
裁ち切りを、全ページにわたって採用するという、
ぶっちゃけ非常に読みづらい作品となっております(笑)

まぁ慣れればそんなもんなんですけど初見はマジでビビリます
なにこれ?どっちから読むの?
あれ?このコマ割りはみ出してるけど印刷ミス?みたいなね(笑)。

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これは海外版を意識した仕様になっていたためで
左綴じで且つ豪華なオールカラーでもあり、しかも裁ち切りまで描いているという、当時としては画期的かつ、ものすごく手間のかかる作業だったので普通ならこんな面倒な連載は受けないと思います。

しかも
ユニコ連載時、手塚先生は
「ブラックジャック」「三つ目がとおる」「火の鳥」「ブッダ」「MW」などを同時連載しており、これだけ多忙にも関わらずこんなにも面倒臭いユニコの連載を受けるわけないんですよ。


で・も・…

手塚治虫という天才は受けちゃうんですよね(笑)
もう笑っちゃいますよね。普通はあり得ないですよほんと。

じゃあなんでこんな面倒な作品を受けたのかっていうと
これはもう、単純に描きたかったからですよね。


当時「リリカ」には人気実力共に最前線の漫画家が参加しておりましたし
サンリオもアニメ制作へ非常に力を入れていた時期ですから
こんなワクワクするような大チャンス、
手塚先生なら内心きっとヨダレを垂らしながら受けていたと思いますよ(笑)

現にユニコはその後、単行本化する前に
1981年には映画「ユニコ」が公開され
1983年にも「ユニコ魔法の島へ」が公開されております。

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「ユニコ魔法の島へ」に至ってはオリジナルストーリーの原案を手塚先生が直接手掛けるほどユニコにはひとかたならぬ思い入れを持っており
アニメ制作がしたくてしたくてたまらなかったんでしょうね。


もうアニメの事になると本当に人が変わるくらいド変態になってしまうのが手塚治虫という人物であります。

ちなみにリトルモア版『ユニコ』上巻には
手塚先生が「多忙にも関わらずフルカラー連載の仕事をなんの躊躇もなく引き受けてしまいました」と関係者が証言しておられますので(笑)
もう間違いなくヨダレ、だらだら状態だった事は確定ですね。

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そんな気合の入ったユニコ
その最大の特徴といえば…
なんといっても可愛い。可愛すぎです。
とても48歳のオッサンが描いたとは思えないほど可愛いデザインです。
(執筆時、手塚治虫48歳)

あらすじの悲惨な運命に健気に立ち向かう純真無垢な姿が
より可愛さを爆増させている要素でもありますが
それを抜きに考えてもこの可愛さはもはや異常レベルであります。


手塚作品って元々丸っこいタッチで可愛いキャラが多いんですが
手塚先生の少女漫画の多くが1950~1960年代に集中して描かれていることを考えると1976年時点でこのクオリティはもはや奇跡です。

漫画家さんって年齢を重ねるに連れてタッチって
どんどん上手になっていくし精密にリアルになっていくものなんですけど
晩年近くでこのタッチを描けるって本当に神がかってると思います。

しかもこの時、青年誌タッチ、大人向けタッチ、劇画タッチと
様々なタッチをかき分ける中でのこの丸っこいタッチですからね。

みてください。この可愛さ。信じられないですよね。
可愛さフェロモンが溢れ出ているというか乱れ散らかってますよね(笑)

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これぞまさに天才手塚治虫の真骨頂と言えますね。
自らを「ディズニー狂い」と称するほどディズニーに影響を受けたタッチと
サンリオっぽい要素をミックスさせた
いわば可愛いが詰まった奇跡の手塚タッチ、それがこのユニコであります。

だからねもうね可愛いに決まってるんです(笑)


手塚先生もこのユニコについてはこう語っておられます。

「リリカ」の連載がはじまって、ただひとつ困ったのは、ユニコがかわいらしすぎることでした。
今のマンガの主人公は、あるていど毒がないとおもしろくないのです。」(講談社刊 手塚治虫漫画全集『ユニコ』2巻 あとがきより抜粋)

このように
自身でも認めてしまうほど可愛いすぎるキャラなんであります(笑)
可愛さを超越した可愛さ、可愛さの向こう側、
もう安っぽい言葉しか出てこないんですけど
実はこのユニコの設定からして「愛」をテーマにした作品なので
誰からも愛されるような愛くるしいデザインになっているのだと思われます。

設定上ユニコは自分を愛してくれる人々に対して
不思議な能力が発動します。
ユニコは愛を受け取ることで愛をまき散らす魔法のような特性を持っており
その力を使って人々を幸せにしていくんです。

この愛することで愛情が膨らんでいくシステム
この設定が素晴らしいですよね。
これは決して妬みや嫉妬、憎悪では人は世の中は変えられないというメッセージに他なりません。

手塚先生は本作について
こう述べておられます。

「ユニコは誰からも愛されなければ自分の力も出せないか弱い動物なのだけれども、ひとたび愛されればすごい超能力を発揮して力を出すという
「愛することの強さ」みたいなものをテーマにしようと思ったのです。」


「愛」とは相手がいないと際立たない能力
「愛」とは他者がいることで成立するもの
だという
このシンプルながらとても力強いメッセージは、ユニコが単なる可愛いだけの漫画じゃないという凄みを感じさせてくれます。

幼年向け漫画でありながら大人にも強烈なメッセージを叩きこむ
ここら辺が手塚治虫が単なる変態ではなく真の天才と呼ばれる所以であり恐ろしさですよね。


どんな状況にあっても相手を思いやる心
「愛」こそが幸せを運んできてくれる源だと
気づかせてくれるこの漫画こそ、現代社会の人を叩くことが生きがいになっているかのような行き過ぎた誹謗中傷する世知辛い世の中に生きる人すべてに読んで欲しい作品だと思います。


決して愛する心を忘れない「愛と勇気の物語」ユニコ。
ぜひお手にとって読んでみてください。

こちらは完全オールカラーの超おすすめ版です!!!
そのデザイン、曲線美を見るだけでも一見の価値あり!


というわけで今回はユニコをお届けいたしました。
如何でしたでしょうか。
終始、可愛いばかりの説明であまり深く語ることができませんでしたが
少しでも本作の魅力を感じ取って頂ければ幸いです。
ストーリーだけでなく手塚治虫の描く曲線美
その洗練されたペンタッチも見どころでありますので
ぜひその美しさもご覧いただければと思います。


最後までご覧くださりありがとうございました。


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