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【手塚治虫漫画全集】全巻紹介 第9弾!240巻~250巻編

手塚治虫と言えば
ギネスブックにも載るほど膨大な数の作品を残している作家であります。
だから「名前は知っているけど何を読んでいいのか分からない」と言う方も多いと思いますし、ファンの方でも全部読んでいる方は少ないと思います。
そこでこの【note】では講談社発行の手塚治虫漫画全集をベースに
手塚作品をガイド的に紹介しています。

手塚治虫漫画全集は全400巻あり、今回はその第9弾!

240巻~250巻までのご紹介となります。
それでは本編をお楽しみください。


「鉄腕アトム」


1952年作
手塚治虫と言えば「鉄腕アトム」
おそらくJAPANで最も代表的なキャラクターではないでしょうか。
言わずと知れた日本を代表するマンガですね。

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手塚先生も
「アトムはボクの分身」と語るように自他ともに認める代表作であります。

マンガを読んだことなくても
アトムは知っているという方は多いんじゃないでしょうか。
それはとにかくいろんなタイアップというか
マスコットキャラに選ばれているのが多いからと言えます。
銀行、鉄道、など様々な企業のイメージキャラになっていますし
学校関係のものもありますね
東京電機大学開校100周年記念のイメージキャラクターに起用されたり
スポーツですと
ラグビーワールドカップ2015に出場するラグビー日本代表の
応援キャラクターに起用されたり
プロ野球球団では過去に現ヤクルトスワローズの前身サンケイ球団がマスコットキャラにしていました。
2020東京オリンピックの公式ライセンスキャラクターにもなっています
認知度もブランド力も他の追随を許さないくらい圧倒的に親しまれているキャラですね。

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過去には明治製菓のマーブルチョコレートに入っている応募券を送ると
アトムシールをプレゼントというキャンペーンを行ったところ、
担当郵便局の能力がパンクした逸話も。

その他、ゲーム、音楽、映画、ミュージカルなど
マンガの枠を越え、世代を越えた国民的なキャラクターであると言えるでしょう。

おそらくここまで多種多様にタイアップやイメージキャラクターとして採用されたキャラクターはないんじゃないでしょうか。一説によると日本漫画のメディアミックスの先駆けと言われています。

じゃあマンガの方はどうなんだい?
読んだことない。
もしくはじっくり読んだことないという方もおられると思います。

そこで発行部数を見てみますと累計1億部を超えていて
歴代マンガ発行部数の9位になっているんですね。

1位はワンピースの4億5000万部です。
これはもはやとんでもない記録なんですけど
1冊あたりの発行部数を見てみますとランキングが変わります。

1冊あたりとは発行部数を巻数で割ったものです。
これをすると1冊あたり何冊売れているかという指標になるので
純粋に巻数が多いから発行部数が多いランキングではなくなります。


すると
1位はドラゴンボール595万部(すごいですねDB)

2位がワンピース484万部(やっぱりすごい)

3位が鉄腕アトム476万部なんですね。

歴代で3位ですよ。

若い方に知って欲しいのは
あのワンピースやDBに匹敵するマンガってことです。
読んでみたいと思いませんか?
昔のマンガとはいえ、いかにズバ抜けた存在であったかが分かると思います。


そして手塚先生のスゴさは鳥山先生や尾田先生は
この代表作のみなんですが(鳥山先生はドクタースランプもありますが)
手塚先生はこれがほんの一部ってことです。

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ちなみにブラックジャックは4500万部と言われ
他の作品は計測できていないようですが
ジャングル大帝、火の鳥、ブッダ、など累計でいくと
とんでもない数になりそうです。


計測不能の作家さんでいえば
藤子F不二雄先生、横山光輝先生、
あたりも相当な数になってくるんじゃないですかね。

まぁこの数字というのはひとつの参考程度にして
歴代に名を連ねる作品として「鉄腕アトム」を読んだ事が無い方。
またはちょっとだけしか読んだ事がない方
今一度日本を代表するマンガ
手に取ってみるのも良いのではないでしょうか。

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内容もですね
アトムが科学の子で正義の味方で
児童マンガの代表作のようなイメージがあろうかと思いますが実は
人間とロボットの間の差別が描かれていたり
かなり社会性が強い作品です。

人間にはどこかで「育ちが違うから」という潜在的差別があり
肌の色や出身地の違いで人を差別する思考があります。

ロボットであるアトムに対してもそのような目が向けられ
「人種差別」「民族差別」「宗教差別」「ロボット差別」という

人間対ロボットという目線で、差別が表現されています。

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単なる正義の味方というヒーロー像ではなく
人間とは人類とはどうあるべきかを人類ではない視点から
描かれた究極の作品であると言えます。


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大人になった今だからこそ見返してみると
新たな発見ができると思いますし
お子様には道徳的な意識や人を思いやる心を豊かにする情操教育の一環として手に取って家族で読んでみるのもよろしいかと思います。


「鉄腕アトム 別巻」


「ビッグX」

1963年作
ビッグXと呼ばれる巨大化したヒーローものなのですが
実はこれ…

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…ナチス・ドイツの秘密兵器なんですよ。

びっくりしませんか?
なかなか現代では取り扱えない設定ですよ。

第2次世界大戦中、ナチスが朝雲博士という日本人博士に作らせた
人間を巨大化させる新兵器なのです。
朝雲博士は戦争に利用されないようにわざと開発を遅らせたことでドイツ軍の手によって射殺されます。
死ぬ間際に自分の息子しげるに盲腸炎と偽って手術を施しこの“ビッグX”の秘密が書かれた金属板を埋め込んでいました

20年後の東京、手術によってしげるの体から取り出された金属板は
ナチスに奪われるんですけど、しげるの子、昭が取り戻し
ビッグXになり世界征服をもくろむナチスと戦うというものです。

設定は面白いですけど内容は単純です
ビッグXを取られたり取り返されたりツッコミどころ満載で
大きくなってドーン、バーンと破壊して終わりみたいなやつです。
個人的にはあんまり好きではない作品の部類に入ります。

でもアニメ化にもなっていますし雑誌の人気もトップだったので
それなりに人気もあった作品であります
先生自身もこの作品についてはあまり良い印象を持っておらず
このマンガも惰性で続けさせられたと語っています(笑)



「日本発狂」


1974年
死後の世界は一体どうなってるいるのか?
誰もが知りたい謎をテーマに描かれた青年マンガです。

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手塚流の死生観が炸裂するかと思いきや…
このテーマについては思いのほか苦戦したらしくこう漏らしています。

「死を扱うことは決して明るいものではありません。
描けば描くほど陰気なものになってしまいます。
思った通り暗い話になってしまいました」

さらにあとがきでは

「初めは明るくとぼけて書き出したつもりがしだいにジメジメした展開になり、これはいかんぞと思ったら後の祭りでした。もう支離滅裂、
訳の分からない結末となりました。もうめちゃくちゃです。」

と思わず笑っちゃうコメントを残しています。

猿も木から落ちる。弘法も筆の誤り
ある意味であとがきが一番面白かった作品かもしれません。
(怒られるかな)

手塚流の死の考え方、描き方に興味がある方はどうぞ。

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「ドン・ドラキュラ」


1979年作
吸血鬼親子が引き起こすコメディ作品でアニメ化もされた作品です

これは名作「ブラック・ジャック」が終わった後の作品で
次回作のことについて先生は
「よくマンガ家は一つヒットした主人公を作ると、
その二番煎じをほかの雑誌に載せたがるものですが…」

と語っており
本作ではあえてドタバタ喜劇で、主人公はお人好しのオッチョコチョイというブラックジャックの正反対のキャラクターを登場させました。

アニメ化もされたのですが

なんと放送されたのはたったの4回で、
「日本最短で打ち切りになったアニメ作品」という
不名誉な記録を作ってしまいます。

作品そのものは8話まで用意してあったそうですが
広告代理店が倒産したため急遽打ち切りになったそう。
ある意味伝説の手塚レアアニメになりました。

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それでは今回はここまでとなります。

次回第10弾はこちら



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