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手塚治虫がスターウォーズに影響を受けて描いたSFマンガ「未来人カオス」

今回は宇宙を舞台に描かれる友情と裏切りの物語。
「未来人カオス」をお届けいたします。

本作は手塚治虫があの「スターウォーズ」に影響を受けて
書いたとされるSFファンタジーマンガであります。

あれもこれも詰め込みすぎて
しっちゃかめっちゃかになり散らかしたスペースオペラを
今回はご紹介していきますのでぜひ最後までご覧になってみてください。

それでは本編行ってみましょう

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本作は1978年4月から「週刊少年マガジン」にて連載された作品です。

あらすじは
幼い頃からの無二の親友、須波光二と大郷錠はともに合格率が低い難関の
銀河総合アカデミーの入学試験を控える学生でした

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そんなある時、大郷が怪しいやつらに誘拐され
「友人の須波を殺して欲しい。」
殺せばアカデミーに合格でき、
ゆくゆくは司法官にまで保障すると持ち掛けられるんです。

親友を殺せば出世は約束すると言われた大郷
悩んだ末になんと須波を殺害し出世の道を選ぶんですね

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しかし一命を取り留めてた須波は
10年の歳月の後、再起を図り復讐のため大郷のもとを訪れるんですが
大出世していた大郷にあっさり捕まり
奴隷たちが働く強制労働の星に永久追放されるんです。
そこで名付けられた名前こそが「カオス」

宇宙の果てまで飛ばされたカオスと
大出世を果たした大郷
かつての親友が今では天と地ほどの差が開いてしまった数奇な運命

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一体なぜ須波は殺されなければならなかったのか?
その秘密がラストに明らかになるのですが
ラストはマジで衝撃の展開が待ち受けています。

さぁ一体どんなラストになるのでしょうかというのが本編あらすじであります。


本作はあの有名映画『スターウォーズ』に刺激を受けて描かれた作品と言われております。
見れば分かりますが所々にスターウォーズの影響を見て取れSF好きの手塚先生でありますからこのスターウォーズの登場は相当な刺激だったんだなぁ
ということがヒシヒシと伝わってくる作品です。

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ストーリーもよく3巻にこんなにパンパンに詰まってんなと思えるくらい重厚であっちこっち話が進みスリリングと言っていいのか、とっ散らかっていると言ったらいいのか分かりませんがとにかく書きたいという意欲が剛腕でねじ伏せられているくらいの意欲作であります。


という訳ですべてを説明しているとこっちもとっ散らかるので
素っ裸で卵産み付けようとしてくるセクシー生物とか
スペースケモナー描写とかイマジネーション溢れる手塚ワールドの一端をご紹介したいところでありますが
紹介しているとキリがないので今回は断念ということで…

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本作のキモの部分
「友情と裏切り」にテーマを絞ってご紹介していきたいと思います。

冒頭からいきなり親友の裏切りから始まるように
この作品のテーマは、
宇宙を舞台に描かれる「友情と裏切り」の物語なんですね。

最悪、SFとか途中の物語なんかどうでもいいくらい最初と最後がキモの作品です。こんなこと言っちゃうと怒られるかな(笑)
はい、みなさんはちゃんと全部読んでくださいね。
あくまでも極論のご紹介という事でご理解くださいね。


…でこれをご紹介するにはラストのネタバレが必須になるのでネタバレしたくない方はここでご退席ください。


さて
冒頭から親友の裏切りに合い死ぬ寸前までいき復讐を誓うも
さらにボコボコにされめちゃくちゃ悲惨なカオスでしたが生き抜いていく中で多くの異星人たちの親友ができ友情、信頼を築いていくんですね

その一方で
地位も名声も手に入れた大郷錠の心境は誰も信じられない孤独に苛まれていくという真逆の人生を歩んでいくんです。

そして最後には
大郷錠がマフィアみたいなやつに捕まり殺されるんですね。
メッタメタに!

それでとある教授に助けられ
この教授が、わしの素性を明かすかと言っていきなり顔を剥ぎだすんですね。映画のミッションインポッシブルのトムクル-ズの変身みたいに
マスクを剥ぎだすんです。

…で

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そこで現れた顔が宇宙なんです。宇宙。
顔が宇宙空間になっているんです。よくわかんないでしょ(笑)


あのね、

なんていうのかな…

宇宙なんです

…それでその正体を語りだすんですけど
そいつの主人、つまりこいつが「宇宙の創造主」なのでありますが
その宇宙の創造主が2人居てその2人の意見の喰い違いがおきて、
あるカケをすることになるんです。

それは「この世から友情は消せるだろうか?」


で、その実験のサンプルに選ばれたのがこの2人だったという訳

オチが
壮大な宇宙の創造主のゲームに巻き込まれていたっていう展開だったのですが元々スターウォーズ的な話かとおもいきや実は「友情」について描いていたスペース&ヒューマンドラマだったというどえらいオチをかましてきます。

今見るとそうでもないですけど、
このラストの展開はなかなかに刺激的です。
なんせマスクを剥いだら顔が宇宙ですから(笑)
そのファンタジーの中にあって
友情って何だろう
愛ってなんだろう。
あらゆるものが奪われていく中で
最終的には「信じる」というシンプルなテーマを筋として一本おいている辺りやはり少年誌を引っ張ってきた重鎮の子供たちへの思いを感じます。

ここから新たな展開が待っていると匂わせたところで
残念ながら本作はここで「第一部完」となり
未完のまま終了となってしまいました

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2人が最後に見せた抱き合うシーンなんかを見ると
この後の友情物語がどう発展してゆくのか
そして宇宙創造主との決着があったのか
否が応でも期待してしまうシーンでありましたが未完…

「あとがき」が残されていないのでおそらく先生の中で完結していない、
続きの構想があったと思われますがどのような結末を用意しておられたのか
ちょっと気になりますよね。

非常に残念であります。


気になるという点において…

最後にこれも手塚先生に聞いてみたい。(むしろこっちの方が気になる)

どうしても分からないところがあるんですが
それは主人公二人の名前の由来なんです。
「須波光二」「大郷錠」
手塚先生って大半の場合、ダジャレが多くその作品のテーマであったり
その時の流行であったり何か関連性をもったネーミングをするクセがあるんですけど今回はこれがイマイチ分からないんですよね。
(しょうもないネーミングの代表格 ↓)


今回ばかりは何から連想しているのか、
何の意味があるのか分からないんです。
「大郷錠」って「宍戸錠」?でも宍戸錠何の関係があるの?
もしかして前年の実写版「ブラックジャック」にムカついたから?
それにしても関連性が見いだせないんですよね。

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あとタイトルの「カオス」
これも作中で
「スナミコウジ?よびにくい名だな カオスという名にかえろっ」
といってカオスになるんですけど

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この「カオス」ってどっから来たん?
強引すぎません?
楽天時代の梨田監督のニックネーム「ナッシー」くらい違和感のある名前なんですけど(笑)

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すんなり
「お前カオスな」「オレ、カオス」
ってそんなすんなり受け入れます普通?

マグマ大使のカオスから来たのかな?
その相関性も分かんないし…このあたりのグダグダ加減とネーミングの由来がさっぱり分からないんです。
どなたか分かる方、おられましたらコメント欄にコメントお願いします。


という訳で「未来人カオス」お届けいたしました。
結構スキ嫌いの賛否の分かれる作品でありまして
その原因はこの詰め込み過ぎた内容によるところが大きいと思います。
手塚作品にはよくあることなんですが
少ないページ数にテーマがパンパンに詰まっているので
何がしたいのか訳分かんなくなってくる事が普通にあるんでね、今の読者が読むと混乱しちゃうかもしれませんがこれが手塚治虫であります
取っ散らかった手塚治虫もある種の手塚作品の醍醐味でありますので
機会があれば試して欲しいと思います。

では!

最後までご覧くださりありがとうございました。





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