20200103 無題

 篦棒に今更なのだけれど、「ブレイブ・ストーリー」を観た。
 宮部みゆき氏については小学生の時に「R.P.G.」を一読しただけで内容も覚えてないし、ウェブログでローグギャラクシーを酷評していたのを読み、共感したことくらいしか記憶にない。
 玉木宏がことあるごとに、「ふたつの塔で苦労も二倍だな」と愚痴を漏らすものだから、コンパチのグラディウスタワーをブチ切れそうになりながら進めたのを思い出して、またムカムカとしてきた。どれだけ渺茫としたステージを走らされてもいいが、あれだけは腹立たしかった。それでも、シームレスな戦闘は当時としては珍しくて、アクションはそこそこに爽快で戦闘中の武器切り替えによる戦略など、山盛りになったレベルファイブのやりたい(と思っていたであろう)ことは好意的に捉えられた。ただ、どれも中途半端なのか、間怠こくて退屈に終結してしまったのが少し残念だった。宮部みゆき氏の憤懣は概ねストーリーに向けられて、悶えていたようだけれど。僕はクソガキだったので、戦えればそれでよかったからあまり覚えていない。それも後半で畳み掛けるように崩れていくゲームバランスに飽き飽きして匙と一緒にコントローラーを投擲してしまったけれど。
 僕は松たか子が好きだったのだけれど、今まで何となく「ブレイブ・ストーリー」を忌避してしまっていた。しかし、松たか子をGoogleで画像検索して、モニターに大穴が穿たれるくらいに熱視線を送っていたところ、そんな薄っぺらな理由で逃げていいものか? と疑念が湧いたために、現実との対面をするべく観賞した。
 いろいろのことは放っぽり出しておいて、ワタルの成長はやっぱりグッとくるものがあった。僕は薄汚れの大人風情だから尚更に辛い。もっと若い時に観ておくべきだった。内容の良し悪しは関係ない。成長譚の視聴は義務教育に組み込むべきだ。何よりテーマソングが痛かった。最も多感な高校生時代をオルタナティブ・ロックに傾向し続けて、Number Girlとおかあさんといっしょだけを経典にしてきた僕は、J-POPを生緩いものだと、唾棄して然るべきだと思い込んできた。大人になる過程の中で邦楽の良さにはちゃんと気づけたのだけれど、これまでAqua Timezを終ぞ聴くことがなかった。それが今、初めて、しっかりと聴いた。流れているのではなく、能動的に聴いた。それが響く響く。伽藍堂の僕の体にぐさりぐさりと刺さる。歌詞なんか覚えちゃいないけれど、一寸でも気を抜いたら涙がちょちょ切れそうになった。
 胸に残るふっくらとした暖かな気持ちを振り払いたい。そんな時はメル・ギブソンが丁度いいかも知らない。

映画観ます。