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#創作小説
来たれ同朋、約束の地へ:SideB
「また、物好きなもんだな」
数ヶ月ぶりに取材依頼の電話を受けた。 しかも3泊するらしい。
取材ならせいぜい1泊、酷い時には日帰りだって珍しくない……ま、後から連泊キャンセルされるくらいは覚悟しておくか。
「おとまりのおきゃくさんがくるの?」
「そうだ」
「ふーん」
相変わらず、杏(あんず)の反応は薄い。それでも嫌がるような事は無くなったから、今はそれで良しとする。
「
来たれ同朋、約束の地へ:SideA
私の記憶にある あの場所は
灰色に霞んで薄暗く沈殿している
父の仕事の関係で2年だけ住んだ街
とりたてて楽しい思い出も無く
通った小学校でも友達らしい友達はいなかった
ただ 一人
夕方の 学校近くの公園で
必ず遊んでいた男の子
その子の事は たびたび思い出す
一緒に遊んだわけでもない
むしろその逆
一度だけ『遊ぼう』と声をかけた時
その子は怯えと怒りの混じったよう