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地方の不動産屋ではたらいてみて学んだこと

不動産業界はIT化が遅れていると言われます。

特に地方の不動産屋は、わんさか若手がいるわけでもなく、社員さんも40,50代以上のベテランの方々ばかり。

2年前、その会社に飛び込んだ私は、電話を連絡ノートで着信を残す文化や、回覧板が回ってきてハンコを押す、というシーンを目の当たりにして衝撃を受けました。

おそらく皆さんが思われる以上にアナログです。

しかし、今ではそれらの慣習が少しずつ生まれ変わってきました。

現場では日々いろんなことが起きるわけですが、今の環境に入って2年が経ちましたので、色々振り返りたいと思います。

はたらくとは何か?に改めて立ち返る

私は、30代になり、ようやく自分のちっぽけさに気づきました。

20代の時は周りの目ばかり気にしていたわけで、自分を格好良く見せたいという思いが強かった気がします。ベンチャーで働く自分の方が、イケイケな感じもするし。

しかし、結婚して子供もできて、起業して大いにコケちゃった私は、とあるご縁で地方の不動産屋に辿り着くことになります。

まあ色々あって、中々人生って思う通りにいかないものだと。生きていくって大変だな、と思ったわけです。

好きなことで生きていくっていうけれど、その好きというのは生半可な気持ちじゃダメなんだよね。そんなことにも気付かされます。

地方の不動産屋では、そんな自分のダメなところを、厳しくも愛のある叱咤激励を受けることで、上っ面を全て剥がされました。

地方の不動産屋をつくってきたのは、バブル期やリーマンショックを乗り越え、コロナを乗り越えてきた百戦錬磨の社長です。

例えば、挨拶や掃除とか、ものを大切にしなさい、とか、当たり前のことなんですが、特に人を見る不動産という商売だからこそ、基本にも厳しい。

この当たり前がいかに難しいか

みんな元気に笑顔で挨拶した方が良い、とわかっていても、それを毎日実践できる人は中々いません。掃除も、ビルのテナントに入っていれば、プロの方がやってくれます。

年齢を重ねていくごとに、自分を真正面から怒ってくれる人って少なくなっていくと思うのですが、そんな有り難みにも感謝するわけです。

決して華やかさはないですが、本当に自分にとって大切なことってなんだろうか、と改めて見つめ直すきっかけにもなりました。

競争力と変化の必要性

それはそうと、地方でそれなりにやっている会社というのは、誤解を恐れずにいえば競争力が低下していきます。

競争力がなくなると、変化の必要性に迫られるシーンが少なくなります。

賃料で売り上げは見込む事ができますし、マーケットサイズもそこまで大きくないため、大手も競合も参入しません。むしろどんどん撤退していっています。

無理してITツールを導入せずとも、今のままで回るのが現状です。利益も出ているし、ベテランの方も習慣を変えるのは嫌だ。

そんな思惑が渦巻く世界では、DXなるものは「何それ利益出るの?」「別に今やらなくてもいいんじゃね?」という議論になり、優先順位が下がっていくわけです。

私のように不動産業界の経験もないWEB畑のような人間が飛び込むのは、色々な軋轢を生みます。

長年続いてきた企業で培われた文化は大切ですが、世の中に合わせること、変化をしていくことも必要です。

地方の不動産屋は変われるか

ここを変えていけるのは「便利とわかってもらうための仕組みづくり」の積み重ねがあってこそ。

例えば、まず「LINE入れたらこんな便利になりますよ!」という提案よりも実際に入れてみて強制的に仕組みを作る

数十人分の初期設定などでパワーはかかりますが、そこまでしないと、人の新しいことに対するハードルは中々下がっていきません。

そして、誰かがやらないと前に進みません。

いざ入れてみると、あぁ、これ良いじゃんってなることもあります。

IT化が進まない街の不動産屋の姿とは「この作業無駄があるな」→「改善しよう」というサイクルが回っていないように感じます。

不動産というのは一発決まれば利益でかいし、やったね!の世界。細々した改善や共有という意識に目が届きにくいのです。過去の広告費やシステムを見直していく中で、その不合理さに驚くばかりでした。

それも最初の仕組みさえ整えてしまえば、便利になったり、経費の削減につながるのですが、そこまでが一苦労ですね。楽と分かっていても、変化をしたくないのが人間です。

いつの間にか私たちがキャッシュレスを使い始めた感覚と一緒です。

まずは無料で、手身近なところから、ちょっとしたツールを入れてみる。これをDXと呼ぶかどうかは別にして、この小さな繰り返しを行なっていくことで、変化に慣れてもらう。

そうして、企業の文化や習慣を変えていくこと。

それを積み重ねていくと、地方の不動産会社であっても、変わっていくことができます。

これからの地方の不動産屋に求められること

地方の不動産屋には、効率化できる点が多いです。

現場の膨大な紙の作業や、重複している作業、不必要なツール、それらの削減など、隠れたコストが大きすぎるからこそ、やる意味が出てくるのではないかと感じます。

古くて理解がないからIT化が進まない、と思う一方、一刀両断するのもよくないなと思います。

これまでその会社を作ってきた、地方の不動産屋の中で働く人たちは、地域をよく知り、地域に愛されて今を作ってきた人ばかり。そこに目が行きすぎて?効率化が後回しになってきた気がします。

現場の人たちは、何か変わることに抵抗と、少しの嬉しさを覚えているのです。新しく始めたSNSから反響があった、とかブログから反響があった契約書の作成が便利になったとか。

小さな喜びが現場であると、もっとやってみようとなります。

やったことがないから分からない。やってみたいけど怒られそう。そんな壁を、少しずつ壊して行けたら、大きな成果につながるのではないかと思う今日この頃です。

不動産業界のポテンシャルは大きい。しかし、一人では何もできない。

結局どこで何をしようが、全て自分発信で変えていけることはたくさんあります。それでも変わらなければ、次の道を探せば良いだけです。

いろんな人を巻き込むには、粘り強さと泥臭さと情熱。それこそが人を動かし、理解者を巻き込んでいく秘訣かなと思います。

外から見た地方の不動産屋はおそらく、ちょっと時代に合っていない。でも、小さな会社から、そして業界全体を変えていける可能性はまだまだありますので、私も頑張っていきたいと思います。

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