映画『ハッピー・オールド・イヤー』公開記念 リアル引っ越しドキュメント⑩「家族の歴史を一掃した結果、家族がバラバラになる」
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前回の記事はこちら☞ 連載⑨「思い出に浸るな」
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今回の表題「家族の歴史を一掃した結果、家族がバラバラになる」は、『ハッピー・オールド・イヤー』の主人公ジーンの友人で、内装の仕事をしているピンクが、ジーンの家に下見にやってきたときに言うセリフ。同居する母と兄にロクに相談もせず、家のリフォームを断行しようとするジーンへの警告、ともいうべき一言です。部屋のレイアウトを勝手に変えたり、思い出の品を無断で捨てたり、リフォームや引っ越しには、喧嘩の火種がそこらじゅうにあるのです。さて、会社の引っ越しでも同じようなことが起こり得るのでしょうか?
※主人公ジーンたちが暮らす家の1階の食卓。奥にギターが見えるのは、1階がかつて父が経営していた元音楽教室兼、楽器修理の店だったため。母さん、怒ってます。
ザジフィルムズでは、幸い今のところは「社員がバラバラになる」ような事態は生まれていません。映画ではジーンと母親が、ある“思い出のモノ”を巡って激しく対立することになりますが、ザジの社内には《捨てる / 捨てない》を巡って社長と社員、もしくは社員同士が揉めるような因縁の品はありませんでした。
それよりも問題なのは、そろそろ皆の引っ越し準備作業の疲れがピークに達してきているので、つまらないことで言い争いになることが多い、という事実。海外旅行を終えて帰る際、現地の空港の帰国便のゲート近くの免税店などで日本人の夫婦と思しき初老男女が、「〇〇さんへのお土産がまだなのよ。お父さん待っててよ!」、「もういい加減にしないか!」みたいな喧嘩をしているところを見かけたことはありませんか?楽しい旅が終わりに近づいて、滞在中の緊張と興奮による疲れがドッと出て、感情を制御することが出来なくなってしまうのでしょう。今のザジ社内はまさにそんな感じ。一足触発(笑)。
なぜこんなに疲れているのでしょう?それは引っ越し全体の経費を抑えるために出来る限り自分たちでやろうとしているから。メインの引っ越し作業はもちろん引っ越し業者さんにお願いするのですが、廃棄する物は基本的にすべて廃棄業者さんに頼まずに、自分たちで処分しています。今回初めて知りましたが、廃棄って予想以上にお金がかかります。全部業者さんに頼んだら、簡単に何十万にもなってしまいます。なので前々回書いた通り、不要になったオフィス家具はすべてネットのマッチングサイトで引き取ってもらって(15アイテム完遂!)、引き取り手のないパーテーションは大工仕事でバラし、断捨離作業で日々出るゴミは、すべて通常の地域の燃えるゴミ / 燃えないゴミ / 資源ゴミの指定日に大量に運び出しているので、毎日が重労働なのです。
そんな毎日を送っていて、昨夜は社内で小競り合いが勃発しました。ポスター類は折り目が入ってしまったら使い物にならなくなるので、引っ越し屋さんに任せずに社員が自家用車を出して自分たちで運ぶことになっていたのですが、「もうムリ…。それも引っ越し屋さんにやってもらいたい…。」ということになったのです。ポスターなら楽勝、と思うなかれ。同業者の方なら分かって頂けると思いますが、B全、B2、2サイズのポスター、過去、現在の何十本もの配給作品のポスターとなると相当な重さと量なのです。引っ越し屋さんが見積もりに来た時は、まだ皆元気だったので(笑)「これぐらいは自分たちで運べるよね」となっていたのです。「えぇぇ~、もう金額フィックスして前払いしてるんだよ~」。「社長、ケチり過ぎ~」。
※どこの引っ越し屋さんに頼んだか、バレバレ。「荷造りご無用」がキャッチコピーなのに、私たちは頑張り過ぎ(笑)。
…ということで、今朝引っ越し屋さんに電話して、ポスター類も全部運んでもらうことになりました。養生しておけば引っ越し屋さんに頼んでも大丈夫でしょう。予算オーバーですが、私だってもうこれ以上の力仕事はムリ。経費をケチるあまり、引っ越し後に社員が何人も退職することになったら大変です!
◆映画『ハッピー・オールド・イヤー』
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次回の記事はこちらから☞ 連載⑪「ゴミ箱はブラックホールなの。入れたものは消える」
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