相談の森でたくさん笑って3回泣いた日
「あーあ、なんか面白いこと無いかな~」
20年前、20歳前後の私は、とにかく悩みまくっていた。
深夜の街を車で走り、私と友人は24時間営業している遊技場にやってきて朝まで悩みから逃げるように、忘れるように遊んでいた。
とにかく将来とかが、よくわからなくてじっとしていると夜の闇に引き込まれて、もう朝がこないみたいで。
漠然としたモヤモヤ。悩み。
あの時の友人のただ聴いてくれてゲラゲラ笑って。
悩みなんて、解決しなくていいんだよ。
その一言に救われた。
「生きていればいいことあるかな」
「うん、きっとあるよ。生きていれば」
明け方の光がとにかく眩しくて、朝が無事にきたことを私は安心していた。
悩みって生きている以上は、きっと誰にでもあってコンプレックスもきっとあって。
どこかで折り合いをつけて生きていくのだけれども、ふいに心の奥底に閉じ込めて鍵までかけたはずなのに心を不安のモヤモヤで覆ってしまう日もある。
そんな時は誰かに不安を吐き出して、遊んだり、ゆっくりと休むことで私は救われた。
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相談の森の中で、バチバチと燃えるたき火をただ見つめて。
「それでこんな事があって私は悩んでいるんだけど」
なんて、燃え殻さんに相談できたらどんなに素晴らしいだろう。
「わかるよ。うん、わかる。僕の場合はね…」
燃え殻さんが相談者の話を聴いて、燃え殻さん自身の話をエッセイのように語ってくれたり、真剣に悩みを受け止めて回答してくれたり。
私はこの相談の森でたくさん笑って、そして3回泣いた。
泣いた箇所はよく覚えている。
たくさん笑って、そして泣ける。
そんな感情を揺さぶられるものが私は大好きだ。
だけど、安心して欲しい。
相談の森も燃え殻さんも、とてもやさしい。
燃え殻さんのすっと心に入ってくる言葉の表現が私を笑わせてそして涙が自然と溢れる。
この本は全体的に凄くやさしい。安心する。
本の持つやさしいイメージを凄く引き出しているのが久保田寛子さんの絵。
凄くやさしいタッチの絵。
相談者は相談の森にやってきた動物としてデザインされていて、凄く可愛い。
本の中にも挿し絵としてのイラストが多くかかれていてこの本が持つ独特のやさしさを凄く引き立たせている。
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この本の著者である燃え殻さんの紹介を記載しておく。
燃え殻
1973年生まれ。都内の美術制作会社に勤務する会社員でありながら、作家、コラムニストとして活躍。
ウェブサイト『cakes』で連載した初の小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』が2017年に新潮社より書籍化され、ベストセラーに。電子文芸誌『yomyom』(新潮社)で「これはただの夏」を連載中
(※相談の森より抜粋)
相談の森は【朝までこの森の中に】としてタイトルがつけられた章の燃え殻さんの告白からはじまる。
この相談の森にまとめられている相談はウェブサイト文春オンラインにて「燃え殻さんに聞いてみた」のコーナーのもの。
この連載時の原稿に大幅に加筆修正をして発売したのが、相談の森である。
【朝までこの森の中に】のページで燃え殻さんが相談のスタンスを紹介してくれている。
いきなり泣いてしまったポイントを抜粋して紹介したい。
僕は日々、いろいろな判断が遅い上に、間違いがちだと注意されるほうだし、人生の大きな後悔も一つや二つじゃない。そんな人間が、他人の相談に答えるのはいくらなんでもおこがましい気がする。だからせめて、相談の森に、朝が来るまで一緒にいることにした。
かならず夜が来るように、かならず朝はやって来るから。
これを書いている今も私は泣いている。
やさしさがダイレクトに伝わる素敵な言葉と文体。
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相談の森に掲載されている相談はQ61まである。
だけど、その全てがさっと入ってくる。スラスラと読める。
61個の悩みを読みながら、自分だったらどう回答するだろうかと一度考えて、
燃え殻さんの回答を読むのがまた楽しい。
まずもって回答の深さと面白さに、自分が考えていたものと天地の開きがある。
センス。言葉と多角的な深さのバランス。
61個の悩みの中に読んでいる読者に近い悩みもあるかもしれない。
私もこの本に掲載されている中に似たような悩みがあって自分ごととして回答を読んで救われた思いだった。
やっぱり生きていれば、その時々で様々な悩みが出てきて、でも悩みながらまた人生を生きていくのだと思う。
仕事と家庭と育児で限界になっていた時があった。
もう全てが灰色で色彩を失って絶望な気持ちの時に、家内が私に一言を言ってくれた。
私が人生で本当に感謝している一言。
今でも忘れない一言。
Q61の本の最後に書かれている燃え殻さんの回答と同じ一言。
このワンフレーズの回答だけ改行されていて一言で本は終わる。
相談の森が読者のみんなに伝えていきたい、そんな一言だと私は強く感じた。
この一言は購入して確認して欲しい。
私も人生であの時を思い出して大切にしているメッセージ。
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幸いにして今の私は心も体も健康は保たれているが、いつまた不健康になってしまうかもわからない。
人生は浮き沈みの連続だから。
そんな時は、この本を開いて相談の森にいる動物達や燃え殻さんに会いにいこう。
かならず夜が来るように、かならず朝はやって来るから。
この本、相談の森はこちらからたっぷり29ページ試し読みができます。↓↓↓
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