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小説、のようなもの

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物語になりきれない物語たち
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#短編小説

僕と彼女と小さなウソ

「浮気のラインって、どこからだと思う?」 そんな風に彼女が聞いてきたので、僕は少し考えて…

oil
12日前
34

さよならの5分前

恋人と別れる時って、中々気が滅入るものだ。 振る時も、振られる時も。 そんなことを考えな…

oil
6か月前
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言えなかった気持ちは、ため息に変わって消えた。

「何飲む?」 僕がそう聞くと、彼女は食い気味に答えた。 「ビール!」 その勢いに、思わず…

oil
1年前
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君のいない毎日

仕事帰り、よくコンビニに立ち寄る。 ここで雑誌を立ち読みして、明日の朝食を買って帰る。そ…

oil
1年前
36

僕と君はカタラーナとブリュレのようで

「カタラーナとブリュレって、何が違うか知ってる?」 彼女にそう聞かれた時、僕は少し考える…

oil
1年前
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【短編小説】さよなら純真

「こんなことなら、最初から好きにならなきゃ良かった」 「それ言うの、今日だけで何回目よ」…

oil
1年前
25

【短編小説風】ミニマリスト

最近、ミニマリストという言葉を知った。 大量生産・大量消費の現代社会において、必要最低限なものだけを揃えるライフスタイルを送る人を指す言葉。 自分が所有する物を厳選することで、生活が豊かになるという。 試しに、部屋にある余計なものを捨ててみた。 狭いと感じていた部屋にゆとりのある空間が生まれ、景観が美しくなった。 こうなると、今度はクローゼットの中も気になってくる。 社会人となると土日しか私服を着る機会はないし、ある程度数を残せば充分だろう。 そう考えた僕は、余計な服

【短編小説】友達に追加しました

僕には、一人も友達がいない。 通っている高校でも同級生とほとんど話したことがない。 昔か…

oil
2年前
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【短編小説】人生ログアウト

友達との会話に詰まると、インスタを開く。 ここ数年はそれが当たり前になってきた。 このカ…

oil
2年前
48

【短編小説】3月20日

ずるずるずる。 朝のラーメンは沁みる。 隣を見ると、海斗のラーメンはもう残り半分ほどにな…

oil
2年前
19

どうせなら命張って生きないとな

24歳の頃、中学と高校が一緒だった同級生が亡くなった。 今からもう7年前の出来事だ。 彼は高…

oil
2年前
41

ストーリー・オブ・ファーストキス

「まだ着かないの?海」 こういう時は、大体言い出しっぺが一番最初にボヤき始めるものだ。 …

oil
2年前
30

笛の音が聞こえたら、どこでも飛んでいくから

実家の僕の部屋には、木で出来た笛が置いてある。 吹くと、フクロウの鳴き声に似た音を奏でる…

oil
2年前
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【短編小説風】追いコンって、追い出したくないからやるんだろ

「誠二、来るの遅い!」 扉を開けると、いつもの2人が待っていた。 健人と亮太。僕が大学で所属している広告研究部の同期だ。 「悪い悪い」 くすんだカーペット、劣化したモルタル壁、所々ビニールが剥がれているベンチ。 年季が入った部室は、味があるを超えてボロボロの域に入っている。 「さっさと決めちゃおうぜ」 健人はそう言いながらホワイトボードを運んできた。 これももうボロボロだ。 今日、同期で集まったのは先輩の追いコンの準備。 3人で企画会議だ。 「ダンス案はどうだ。