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労働災害というものを経験した話

皆さん「労働災害」もしくは「労災」と聞いて、
その言葉にはどういうイメージを持ってるだろうか?

「いやー工場勤務の人とかかなり怖い体験談とか聞くよね」とか
「現場猫とかから学びを得ておけばあんなことには……」とか
そんな具合だろうか?

大きなケガというのは、職場への影響なんてもはや些細なもので、
家族への大きな影響を与えてしまうものである。
大きな負担を強いることになってしまったり、
ましてや自分がいなくなってしまった場合の家族への影響は……

という導入をしておいて、今回の話は、
クソしょうもないことで怪我してクソめんどくさかったって話です。
ライトに読んでいってください。


さかのぼること3か月前、
その日は地味に仕事が立て込んでいた。
職場では基本的には事務仕事ではあるが、
その日は職場の水道設備の点検があり、その面倒を見る仕事が入っていた。
とはいえ自分がやることといっても、完了した確認と、ポンプ設備の入った小屋の戸締りぐらい。点検の結果も大きな問題はなかった。

ただ問題は、その後本社に打合せに行かなければならないことだった。
本社での打合せは午後3時半、現在時刻は午後2時50分を指している。
移動時間は道が混んでたら車で30分かかる場所にある。
うーんこれは少し危ない時間だな……

そんなことを考えなら、事務所まで小走りで向かっていった。
会社内部の打合せで、事情を話せば多少の遅れは融通が利く。
というかそもそも大抵の場合間に合うだろう。

まあ一応出かける前に打合せ先に電話だけ入れておくかとか考えながら、
最短距離で事務所に向かうために花壇を飛び越えた。

いや、正確には ”飛び越えようとした。”

左足に「ゴンッ」と音がしそうな鈍い衝撃が走る。
飛び越えるための踏み切り位置が近すぎて脛が花壇とぶつかったようだ。
不幸中の幸い、近すぎたせいかバランスを崩すことなく転ぶようなことはなかった。
さらに、花壇の角にぶつけたものの、ズボンには一切のほつれすらない。
なんならこの時は「セーフ!らっきー!」とすら思っていた。

痛いながらも、小指をタンスにぶつけた時もこんなもんやろと思いながら引き続き小走りで事務所に向かっていく。

そんなこんなで少し遅れるかもという電話を打合せ相手にして、一安心したときにふと冷静になる。
「いやあんな角にぶつけて本当に足は大丈夫なのか?」

恐る恐るズボンをめくると、そこは血の池地獄が広がっていた。
足だけ別府に観光にいったのか?

さて、「ここでタイトル回収か~病院編やな~」
と思い読み進めてたかもしれないが、残念ながら筆者は一般的な感覚が欠落しているらしい。
「うわーやっぱかー 血ぃ拭いてはよ打合せいかなかんなー」

うーん、馬鹿。

いや、実際のところその時すでに痛みはほとんどなく、ズボンは無傷。
割と血に耐性があったものだからそのうち止まるだろという感覚だった。
特に打合せが大事だと焦っていたわけではない。
そっちの理由の方が社会人っぽいからそっちであって欲しかった。
現実は非情だ。

とりあえず職場にあったガーゼを半ば勝手に拝借し、
打合せに向かっていった。


特に問題なく打合せは終わり、事務所に戻るころには午後5時
とりあえず一度傷を確認してみると、まだ血は止まっていない。
止まるのおっせぇなぁと思いながら、
少し書類仕事も積まれていたこともあり、気にせず残業を軽くして、家に着くころには午後8時過ぎとなっていた。

怪我から5時間がたったわけだが、血が止まっていない。
うーん、これは流石にか?と思いながら、ようやく傷口をちゃんと洗い流して怪我と向き合ってみる。

そして初めてわかった事実がある。肉がえぐれていたのだ。
深さは1~2mmほどある。え?これで痛みほぼないことある???

ここで自分も、
「う~ん、流石にか?」
と重い腰を上げて、夜間外来のある病院へ向かっていった。

正直向かっている途中でも、
「まあワセリン塗って帰されるまであるなぁ」とまだ思っている。
実際診察でも、
「とりあえず圧迫止血試してみますかぁ」
という感じの運びとなり、止血を試みる間に、念のためレントゲン撮ったり、貧血してないか採血したりなどで、「まあ古来より伝わる止血方法はやっとくべきだったかぁ」とか思いながら、のほほんと1時間ぐらい病院で待っていた。


まあ、こう記事にしているということはね、血は止まらなかったんですけどね、残念ながら。

「あー、止まりませんね。しゃーない縫いますか。」

とは言ってなかった気はするが、温度感としてはそんなもんで告げられる。
・・・マジ?そんな「軽くパーマあてる」ぐらいの感じで縫合って行われるものなの?
とはいいつつも、まあ外科医的にはそんなもんっちゃあそんな感覚なんだろうなぁというのはなんかの医療漫画で読んで予習ばっちりなので正直納得はあったし、午後9時を過ぎた状態の脳のクオリティでは受け入れる以外の何かまで考える余裕はなかった。
いや、ここら辺では
「これで脛に傷持つ男となってしまったよ…ごめんカーチャン…」とか考えてた気がする。つまり頭は働いていない。

しかしながら、この日の最痛ポイントは残念ながらここだ。
局所麻酔はかけるとはいえ、感覚が無になるわけではない。
というか局所麻酔の注射がまず痛い。
針を通されるたびに感じる痛みに歯を喰いしばりながら耐える。
湧き出る冷や汗。
終わる頃には今日一番の痛みにより左足を引きずりながら歩く、自他共に認めるだろう怪我人が完成していた。

翌朝、職場に
「すみません、足縫ったんで、経過観察として朝1回病院行ってから出社します。」
といったら、
「いや、流石に1日休め。」
と言われた。
ありがとうホワイトな職場。
なんならこれ書いてると謎の自分の社畜意識に関心してしまうので、普通の人は縫合した翌日は休暇を取るところから打診してみてください。

というわけで、縫合した傷を、昼の部の医者に一度見せて経過観察。
どうやら足の傷は血が溜まりやすいからどうしても血が止まりづらいらしく仕方ない部分もあるようだ。納得の理屈である。
そしてここで、元々市民病院で診察をしていたのだが、
「できるだけ地域病院と協力して医療してこうぜ制度」みたいなものにより、地元にある別の病院で残りは処置してもらう流れとなる。
「抜糸は10日後ぐらいにして貰ってください」と言われ、診察は終わりとなった。(←ここフラグ)(←ネタばれやめろ)(←荒らしはスルー)


そしてここで襲い掛かる、労災申請のための書類づくり。
これがあるから家で怪我したことにしたかったけど、縫合までされちゃあしょうがない。
(※注:労災を隠しは、仮にワセリン塗って終わりになっても違法性があるのでやめましょう。)
事故当時の状況や、診察を受けている病院など、作成する書類の枚数だけでも5枚ぐらいある。当たり前のように初めて作る書類なこともあり、なんだかんだ半日仕事だ。
そして、状況報告の稟議を回すたびに事故状況がしょうもなさすぎて鼻で笑われながら「へへっ^^;」と言い判子をもらっていく。
割とそこらへんは笑い話にさせてくれる職場だったからまだよかったが、殺伐とした職場だったら人事評価に影響しないか心配になる作業だ。


そして、そんな中、自分は大分県へ飛び立つ。
実は1か月前から、大学の時の友人一同と大分へ旅行に行く予定があった。
怪我をしたのは旅行3日前だ。
前世でまたオレ何かやっちゃいました?
大分といえば地獄巡りということも併せて、つまりそういうことなのかもしれない。召された時の暗喩。
というか大分といえば温泉ということもあり、基本温泉ありきのプランだったのだが、そこにきて縫合をしたのである。正直キャンセルすることも考えたが、キャンセル料とか考えるとちょっと流石にということで強行はした。ちなみに友人に怪我の話はもちろんしたが、旅行中馬鹿クソ歩くプランを気遣いなく強行された。気遣いのある男であってくれ、、、


さて、旅行は語り始めるとまた1記事となるのでこのぐらいとして、
そんなこんなで旅行も終わり、縫合から1週間がたとうとしていた。
そろそろ抜糸かと思い、病院へ向かう。

医者「なんで今までこなかったんですか!?(キレ気味」←熱い伏線回収

いや、前の診察の言葉を真に受けただけだが???
どうやら、縫った後は1、2日おきぐらいには診察は受けるべきだという。
つまり旅行とかいってる場合ではなかったということだ(それはそう)
病院が変わっていることもあり、そこらへんが病院によるスタンスの違いなのか、前の医者が説明ヘタクソだったのか、自分に耳がついてなかったのかどれが原因かはわからなかったが、抜糸前に定期的に診察を受けるというのは言われてみれば「それはそう」としか言いようがない。
とはいえこちらは縫合ビギナーなのだ。初見殺しはやめてくれ。

抜糸はしてもらったものの、腫れがひかないのと、そもそも血が止まらないため、定期的な通院は続くこととなる。

そう、血が止まらないのだ。
抜糸というのは、治ったからするというわけではどうやら無いようだ。
エアプだから全然知らなかった。
どうやら中に細菌が入ったままになってしまった可能性があり、それが邪魔して怪我の治りが悪い(可能性がある)ようだ。

腫れの様子を見ながら、様子を見て、薬塗ってという生活が2週間ほど続くこととなる。この間も左足から血は流れっぱなしだ。
怪我の日から換算すると1カ月間だ。素直に長い。

診察を受け続ける中、シフトの関係で普段と違う先生の診察を受けることになる。前の診断や傷の状況を見ながら、躊躇いなくこう言った。
「うーん、埒あかないから、1回切って皮膚の下消毒しましょう。」
そして渡されたのは、手術の同意書だった。

え、もしかして手術ってマンスリークエストに入ってたか?
ちょっと多めの石配布してくれないと割に合わないんだが?

そして同意書にサインをして、、、、る最中に処置が始まる。
おいおいおいおいおい!!!!
まてまてまてまてまて!!!!
しかも局所麻酔の効きが悪く、切られている感覚をリアルに感じる。
ワイは、、、死ぬんか、、、?

術後、抗生剤を点滴されながら虚空を眺めつつ、
ようやく軽率な自分の行動に後悔していた。
花壇を乗り越えただけなのに……


そして、血が止まったのはその手術後の1カ月半後、
最初の怪我から2カ月半が経過してからのことだった。
もはやここまでくると、病院通いしなくなるのも寂しくなってくる。
病院に入り浸るジジババの気持ちも今ならよくわかる。

ちなみに労災予診察は、いったん全額支払いをすることとなっている。
怪我が治るまでの出費はちょうど10万円を超えたところだった。
労災の認定が下りたのが遅く、認定書が届いたのは怪我が完治してからだったため、これは1度は全額自分での支払いをした。
これが保険証を使えば3万円ほどとなることを考えると、日本の保険制度というもののありがたさを身をもって痛感するところだ。行政ありがとう。

ちなみに労災の認定が下りれば基本全額補填されるので、ありがとうなのではあるが、いかんせん書類がめんどくさい。
同じような書類をいくつも作るのは最早まだいいが、作る書類間での単語の表記揺れや、どのことを指してるのか不明な「指定医療機関」などの単語を使ってくるなど、ゴミみたいな書式の書類を山のように作る必要があった。自分の場合は書類作成に1日の業務時間分ぐらいはワケわかんなすぎてかかってしまった。やはり行政はクソ。


そんなこんなで、今回の怪我による通院を含めた業務の圧倒的な遅れからくる圧倒的な忙しさ二次被害が落ち着いてきたため、こうして記事にすることとなった。
終わってみれば、完全な自損事故で被害者自分のみのお話で、特に後遺症もないしで、笑い話が1個できたぐらいの話だ。
正確に言えばまだ怪我の場所が痕が残っているが、目立つ場所でもないし、なんならこれも話のネタにできるしで特に問題もない。
そういう意味ではやっぱりある意味運がよかったのだろう。

皆さんも、思わぬところでの怪我によって大変なことになるので、
普段の行動も危険が潜んでないか見つめ直してみてはいかがだろうか?
という無理矢理な教訓めいた文章で今回は〆させていただこうと思う。



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