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#1 高卒2年目Jリーガー(19)に、大学生(19)がインタビューしてみた。

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輝かしい表舞台に隠れた現実。

フットボールを愛する人間に「あなたにとって年末年始の風物詩とは?」と調査を行えば、99.999%の人間が全国高校サッカー選手権と答えるだろう。いや、それは単にサッカーバカである私の主観だ。いつの日か、正確な世論を調査するために街頭インタビューでもしてみたい。

話を戻すが、近年高校サッカーは普段サッカーを観ない人の間でも注目度を増している。実際にTikTok等のSNSでは、選手権の一場面が切り取られて凄まじい勢いで拡散されていた。その中で第100回全国高校サッカー選手権が開催された今年、話題の中心に存在したのはやはり青森山田。決勝の大津戦でも4-0という圧倒的な力の差を見せつけて優勝を果たした。この結果を見て「あの子たちは違う、別格なのだな」と多くの人が思ったはずだ。

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しかしここで一度立ち止まってほしい。

果たしてあの集団の中で何人がプロになれるのか?

正解は2人。FC東京内定・松木玖生、町田ゼルビア内定・宇野禅斗のみ。

大卒でプロへの道を切り開く選手が出てくる可能性も残されているとはいえ、高体連の頂点に立ったとしても2人しか高卒でプロになれないのだ。
よく育成年代の指導者が「プロは狭き門」と選手に言い聞かせるものだが、それは言葉で表しきれない程に残酷で厳しい。
とある記事で、サッカーをしている高校生の中でプロになれるのは1000人に1人だという情報も目にした。

冷静にこの事実を確認した上で、Jリーガーとはいったい何者なのか?

私のような平々凡々なアマチュア選手の視点から見れば、どのカテゴリーであったとしても彼らは’’バケモン’’だと思う。

’’バケモン’’に話を聞いてみた。

少々前置きが長くなったが、そんな’’バケモン’’とお話をする機会を設けて頂いたのが本記事作成に至ったきっかけである。

今回のインタビューに快く応じてくれた、彼の名は松井治輝。

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©FC.IMABARI

兵庫県西宮市出身。
高いサッカーIQと豊富な運動量を武器にするボランチ。第99回全国高校サッカー選手権に出場。神戸弘陵高校のベスト16進出に大きく貢献し、2021年よりFC今治に入団。昨季、2試合に出場した19歳は来季も契約を更新し、更なる飛躍が期待される。

ちなみに筆者である私は、静岡県の高校にサッカー留学をする以前まで彼と同じく兵庫県でプレーしており、その当時に何度か対戦。

そのようなご縁で今回のインタビューが実現した。

同じ19歳。しかし彼はJリーガーで、片や私はサッカーライターを志すただの大学生。
言うまでもないが、あまりにも過ごしている環境がかけ離れている。
そのため、彼の頭の中はどのような思想が渦巻いているのか、という好奇心に駆られてしまったのだ。

この1年プロの世界で彼は何を感じ、2年目を迎えた今、何を思うのか。

大学生ならではの視点で、掘り下げていきたい。

ブレない、ただそれだけ。

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©ゲキサカ

4歳からサッカーを始めた松井選手。小学校入学と同時にクラブチームに入団し、’’なんだかんだスタメンに名を連ねる選手’’として活躍し、中学校時代はJクラブの下部組織のセレクションに不合格だったこともあり、小学校時代と同じクラブのジュニアユースでプレー。全国的にはもちろん、県内でも無名の選手だった。

その後は中学時代から目標としていた神戸弘陵高校に入学。
プロになるくらいだし3年間レギュラーだったのでは?と想像する方もいるかもしれないが、現実はそこまで甘くない。
周りの同学年の選手が活躍する中、ベンチを温めるもどかしい時間を過ごした。
本格的にレギュラーの座を掴みとったのは高3の春。
中には、既に高卒ルーキーの入団リリースがされているクラブもあり、高卒プロのかすかな希望をインターハイに託すこととなったのだ。

しかし、その時期は某ウイルス感染拡大の影響をもろに受けており、スカウトにアピールするための最大のチャンスとなるインターハイが中止に。
これはプロを目指す選手達にとって大きな打撃だったに違いないが、そんな状況に立たされても彼は一切変わらない。
当時の彼の頭の中には、大卒でプロになるというプランもあり、それを遂行するだけだと未曽有の出来事にも屈しなかった。
現実を素直に受け入れ、関西の大学へ一般受験するという道を模索していたという。

しかし、状況が一転したのは高3の夏。
練習試合の会場にあるJクラブのスカウトが足を運んでおり、声を掛けられる。
そのクラブこそ、岡田武史さんが代表取締会長を務めるJ3の『FC今治』。
大学に一般受験しようとしていた高校生が、一気に高卒プロへの道を切り開いた瞬間だった。
喜びよりも断然驚きの方が大きかった、と本人が1番予測をしていなかったらしい。
そこから段階を踏んだ後に正式オファーを受け、翌年チームに入団。

当時を振り返って、「いずれプロに行きたい気持ちは強かったが、高卒プロへのこだわりが人一倍強かったわけではなかった。ただ、その方が周りの人や事象に流されないしブレない。自分の信念を貫き通した結果だと思う。」と本人は語る。

最終的に、目標地点へ辿り着ければ問題ない。
様々なキャリアプランを設計し、とにかく自分を高めることに集中したからこそ、彼はプロの世界に入れたのだな、とインタビューを行いながら感じた。
仮に大学へ進学していたとしても、最終的な結果は同じだったはずだ。

日々、学び続ける。

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©FC.IMABARI

プロに入って最初に感じたことは、プレースピードの速さ、またインテンシティの高さだったそうだ。
はじめはそれらのスピード面、戦術理解に苦労したものの、現在は適応してきており、シーズン終盤には少しずつゲームに絡めるように。
ピッチ外では、年上の選手からプロとしての生活習慣や人生観について学ぶことも多い。
昨季まで所属した橋本英郎選手をはじめ、経験豊富な先輩の方々と共にプレーすることへの充実感を噛みしめているようだった。

今後の大きな課題はフィジカル面の強化。
まだまだ強靭な肉体を持ち合わせる選手には太刀打ちできないと自己分析をしていた。

今季、混戦が予想されるJ3で昇格を目標として掲げて戦うFC今治。

まずはその1ピースとして、スタメンに定着することを直近の目標として力強く語ってくれた。

将来的な目標はJ1でのプレー。
チームにこだわりは無いと語っていたが、兵庫県のサッカー小僧であれば、ヴィッセル神戸に入団してノエスタでプレーすることを一度は夢見るはずだ。

これは余談になるが、私は小学生の頃「ヴィッセルのエースナンバー・13番を着けて活躍する!」と高らかに宣言していた。
しかし、皮肉にも昨季からヴィッセルの13番は空き番となっている。
これを受けて「大卒でまだ望みはあるな」と友人に話したが、全くしっくりきていなかったようなので、この話はこれにて成仏させたい。

「関西人なのにつまらない」というクレームは一切受け付けておりませんのでご注意を。

プロを目指すサッカー少年へ。

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©FC.IMABARI

ここまでの話の流れで、彼は元々突出した能力の持ち主ではないことが分かったはずだ。
高3の夏にFC今治から声を掛けられるまで、Jクラブは愚か、強豪大学からの誘いもない普通の高校生だったのだから。
だからこそ、気になって問いかけてみた。

「プロになるために大切にしていたことは?」

言ってはみたものの、それは口先だけの言葉では表せるものではない。
愚問だな、と感じた私は即座に質問を撤回しようとした。

だが、強いて言うのならば...と彼が語ってくれたのは「スタメンやベンチのような目先の結果に左右されずに、野心を持って信念を貫くこと。まずはサッカーを楽しまないと成長は無いから。」ということ。

スタメンやベンチ、チームメイトや指導者。
選手を取り巻く環境は様々で、それによってキャリアが良くも悪くも変わることがある。
ただ一つ言い切れるのは、どのような環境の中に置かれたとしても揺るがない強靭なメンタルが必要だということ。
周りに言いたいことがあったとしてもやるべきことは変わらない。
その矢印を自分自身に向けない限り、改善の余地は無いのだ。

それに加えて、純粋にサッカーを楽しむこと
年代が上がるにつれて誘惑が増えたり、挫折や理不尽な経験が多くなるが、それでもサッカーを楽しむ気持ちを常に忘れないことが重要だ。
楽しくないことを頑張るのは限界があるし、苦痛でしかないのだから。

ここまでが選手インタビューの内容となります。
松井治輝選手、ご協力ありがとうございました!
益々のご活躍を期待しております!

編集後記。

今回のインタビューに協力してくれた松井治輝選手。
ZOOMを通して初めて話しましたが、非常に柔らかい雰囲気を持ち合わせたナイスガイだと感じました。
しかしそれと同時に、会話を続けていく中で、その胸中に燃え滾る想いも垣間見えたことから、最前線で戦う人間は常に『野心』を持っているのだなということも再認識させられました。

話が少し逸れますが『野心』は人生において、最も必要なものだと私は思います。

その野心の矛先が、彼にとっては「プロとして成り上がること」であり、私にとっては「日本中のフットボールファンにエンタメを届けること」なのです。

ただ、現時点で彼の熱量に私は全く及んでいないと感じましたし、とても刺激を受けました。
立っているステージは違えど、彼には負けていられません。

今年の4月で私は大学2年生になり、6月には遂に成人を迎えます。
社会に出るまでのタイムリミットは3年。
学業・部活・遊びに加えて、目標を実現するための取り組み、やりたいことを挙げ始めたら正直キリがありません。
頑張る場面と息を抜く場面のバランスを保つ、ということを意識しながら、貴重な時間を無駄にしないよう、今年一年を過ごしていきます。

引き続き、スポーツライターという目標に向かって努力を続けますので、応援の程よろしくお願い致します。



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