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黒い巨塔



8時30分。
今日も遅刻してしまった。
8時20分までに校門に入ればセーフなのだが超えてしまっている。
9時頃になれば校門に先生がいなくなるのでそっから入ろうかな、なんて思っていた。

お金もないので学校近くの池にパンを投げ、亀が争奪戦を繰り広げているのを見ながらぼーっと時間が経つのを待つ。

カモメみたいな鳥にかっぱえびせんを直接手からあげてるおじさんがよくいるのだが、今日はいないみたいだ。

そんな空虚な時間の中、見慣れないものを見つけた。

「あれ何だ?」

当時高校2年生、気になれば勝手に体が動く。
“ソレ”は真っ黒でなかなかの大きさだった。

近くに寄って木の棒で草をどかし、よく見てみる。

…これはどう考えてもディルドである。

大きさは腕くらいあり、かなりの大きさである。

キッショ!!!と思い自転車の置いてある場所まで戻ろうとしたが

(待てよ、コレを友達のカバンに忍ばせたらめちゃくちゃオモロいのでは)

高校生のクソみたいな発想である。

僕は持っていたコンビニの袋を使って“ソレ”を持ち、一応気を使って洗ってあげた。


時刻は9時5分、そろそろ学校に向かう。

今日は面白いことになりそうだ、なんて友達の反応を想像し、ニヤニヤ自転車を漕ぐ。

この先、学年全体を巻き込んだ大問題になるとは知らずに…。

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