ローローの出エジプト日記⑦ - 五の災い(わざわい)
!أهلا أهلا
前回までのあらすじ:
単身エジプト留学に飛んできて、入国審査でおしんの質問をされ、空港を出るとタクシーがぶっこわれ、危うくロバに乗せられかかり、
ようやく到着したホテルでは、バクシーシバクシーシとやたらお金をせびられて...
「十の災い(とおのわざわい)」をご存知でしょうか。
十の災いとは、古代エジプトで奴隷状態にあったイスラエル人を救出するため、エジプトに対して神がもたらしたとされる十種類の災害のことです。
今でもこれに当てはまることが多いのが驚きで、
どういうことかというと、
1ナイル川の水を血に変える(7:14-25) ⇒
イスラム教の「犠牲祭」と呼ばれる日、たまたま赤く染まったナイル川を目撃しました。おそらく犠牲動物(羊、山羊など)が殺されていたところ、強い雨が降ったためでしょう。
なお、2012年頃から世界中の川が突然赤く染まる事件が増えています。(おそらく藻やプランクトンなどの微生物によるもの、化学物質流出の反応によるもの)
2蛙を放つ(8:1-15) ⇒
蛙を見た記憶はありませんが、"砂漠団地"時代、野犬はうようよいて、よく追いかけられました。
3ぶよを放つ(8:16-19)
4虻を放つ(8:20-32) ⇒
いっぱいいました。
5家畜に疫病を流行らせる(9:1-7) ⇒
エジプトでも鶏インフルエンザなど流行しました。
6腫れ物を生じさせる(9:8-12) ⇒
さそりに噛まれて腕が激しく腫れ上がったことがあります。
7雹を降らせる(9:13-35) ⇒
カムシーン(砂嵐)の季節には、いろいろなもの(砂以外に虫やゴミ)が舞っていました。
8蝗(いなご)を放つ(10:1-20)
9暗闇でエジプトを覆う(10:21-29) ⇒
停電がたびたびありました。
10長子を皆殺しにする(11章、12:29-33) ⇒
テロが多かったです。
この十の災いの中の四である、"虻を放つ(8:20-32)"をエジプトでまず私は経験しました。
どういうことかというと、、、⬇
まんが: けんいちパンダさん (←それにしても、登場人物のキャラの描き分けが天才😂👍)
(※注: ↑実際はピンク水玉パジャマではなく、『ジャージ着』でした)
この漫画のように、バクシーシホテルの部屋のベッドには南京虫とノミ、ダニだらけで、横たわるやいなやドバっと刺されました。
特に南京虫は痒い。しかも刺した箇所に芯?が残るので、何年経っても跡が消えませんでした。
エジプト人は宗教の教えで、真夏でも男女共に肌を布で隠していましたが、虫に刺された跡を隠す意味もあったんじゃないか、私は疑っています。
なお、南京虫、ノミ、ダニはいいホテルの部屋のベッドではまず刺されません。高級アパートも大丈夫です。問題は中級以下の宿やアパート...
その点、庶民的な宿やアパートでもまあまあ清潔な日本は、やっぱり素晴らしいと思います。
ちなみに、エジプトでは金鳥蚊取り線香、ダニアース、ゴキブリコンバット、ウナコーワA、ムヒなどが実に役立ちました。
これらを在エジプトの外国人やエジプト人に分けてあげると、とても感謝されました。エジプト製品とは効力がまるで違いましたから!
なんで『メイドインジャパン・害虫駆除製品輸出会社』を立ち上げなかったんだろう、私よ!
ちなみにエジプトでの
『ローローの五の災い』は、
1 泥棒とスリ
2 ぼったくり(特にタクシー運転手、光熱費取立訪問業者)
3 痴漢(警官も痴漢)
4南京虫、ノミ、ダニ、蚊
5テロ
実際、エジプトに住む外国人/日本人が集うと、話題に上がるのは上記の5つのトピックばかりでした。(あとは「○○さんがエジプト人と結婚したけど、二番目だった」とかいう一夫多妻系ゴシップ話)
ところで上記の『3 痴漢(警官も痴漢)』に関係する今年の5月9日付ニュースです:
カイロで2人の外国人女性観光客にセクハラをしつこく行ったという、13人の少年たち(13-15歳)が起訴されました。
逮捕は、エジプトのトップ観光名所の1つである有名なギザのピラミッド遺跡で、
外国人女性二人(国籍と人種は一切伏せられています) にしつこく絡む(ベタベタ触る)少年たちの姿を、近くにいたツアーガイドがスマホで撮影。
ビデオでは、少年たちが逃げようとする彼女たちを嘲笑しずっと追いかけ、途中、女性の一人が振り返り、少年を押しのけようと必死ですが、少年たちは全然止めません。
この外国人女性二人へのセクハラビデオがsnsで拡散されると、たちまち議論を呼びました。
少年たちは起訴後、少年裁判所で裁判にかけられる予定だそうです。
庶民の子供達なので、見せしめの意味もあって、何かしら必ず法的処罰くらうだろう、と私は思っています。
もともと、ギザのピラミッドは痴漢観光地または観光客ハラスメントで有名でした。
ピラミッドの中にも痴漢が出たし、痴漢じゃなくともみんなしつこく寄ってくる...
馬車の御者、ラクダ使い、バザール(土産店)の営業マンたちのめげない執拗な"キャッチ"。
エジプト人物売りなどの大胆でねちっこい"キャッチ"を経験していると、日本での路上キャッチなんてふっ...ひよっこみたいなもの...
それはともかくエジプトでのセクハラの問題は、かつては大きく取り扱われませんでした。
(90年代)私が何度も痴漢をとっ捕まえて警察署に引っ張って行っても、警官たちがタバコを吸いながらニヤニヤして
「まあまあ、いいじゃないか」。
このように、私に限らず女性によるセクハラ/痴漢被害の訴えは、全然真剣に取り合ってもらえませんでした。
ところがこの意識がガラリと変わったのは、2011年の『アラブの春』の時でした。
カイロの街中で、ホスニームバラク大統領打倒のスローガンを抱えた大規模な反政府抗議の最中に、大勢の女性が身体を触られ手探りされ、場合によっては殴打されたのです。
取材中の外国人女性ジャーナリストたちも被害に遭い、それらはカメラに撮影され世界中に配信されました。
これがきっかけで、エジプトにおけるセクハラ及び性的暴行の件は注目浴び、(おそらく)初めて真剣に議論されるようになりました。
現在、エジプト当局はセクシャルハラスメントに対する罰則を強化しており、最高5年の懲役で罰せるように法律を改変しました。
また観光大臣は、国内各地の観光地での (一部の)エジプト人男らによる外国人女性へのセクハラ、そして嫌がらせやアグレッシブな営業を撲滅に努力を惜しまないことを約束しました。
この記事を読んだ時、私はとても胸が熱くなりました。
「エジプト、ずいぶん進歩したじゃないの!エジプト凄い!見直した!!」
ところが...
ここでこの記事を投稿しようとしたそのちょっと後...
エジプトに行ってきた知り合いのイギリス人女性からメールが飛んできました。
彼女は家族でエジプト旅行をしたのですが
「クフ王ピラミッドの脇で、夫が隣にいるのに娘も私も痴漢に遭った!」。
!!!!!
痴漢撲滅までの道のりは長いですな、スフィンクスもア然でしょう。
漫画では、次は格安宿に移動です。はてさてどうなる!?インシャアラー!
つづく
おまけ: 最近飲んだこのエジプトワイン↓は意外と美味しくて驚きました。(コロナにかかっていないはずですが、私の味覚がおかしくなったのカナ...)
けんいちの幸い(さいわい)本↓
参照
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