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東京のホテル宿泊記録(②KAIKA HOTEL)

本当は土日に1本ずつ書こうと思っていましたが、昨日は気が乗らなかったので、1日遅れ。まあ、自分の中の決まりでしかないので、そのへんは柔軟にやっていこうと思います。ここに貯めていきます。

さて、今回は2軒目。浅草にあるKAIKA HOTELにオープン初日の7/15に宿泊してきました。企画・運営はマンションやオフィスのリノベーションを得意とするリビタ。リビタはSHARE HOTELSというブランド名でこのKAIKA HOTELも含めて、全国に8軒のホテルを運営しています。

「アートストレージとホテルが融合した」とあるとおり、このホテルのテーマはアート×ホテルです。1階には一般にも公開されているギャラリー、地下1階には宿泊者専用のギャラリーとアートストレージ(保管庫)が設けられており、期間ごとに異なる作品が展示されるようです。

テーマやコンセプト・施設概要等はホテルの公式HPや各種ニュースリリースに譲り、また、アート×ホテルというテーマについて私が考えることは次回のエッセイパートで書くこととし、今回は建築のデザイン的な視点からホテルのレビューをしていきます。

まずは外観から見ていきます。

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オフィスのような配置の窓が見えますが、元々リビタの親会社である京王電鉄の倉庫をホテルにリノベーションしており、前回のDDDホテル以上に「設計苦労しただろうなぁ」というところが見えます。改修前後の建物の様子をGoogleストリートビューと自分の写真で見比べてみましょう。

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改修後写真のとおり、1階の床レベルが高いために、入り口扉の手前に階段があります。過去画像をみるとエントランス部分全体が急勾配のスロープになっていたようですね。なお、改修後はバリアフリー条例をクリアするために、階段右側に車椅子用昇降機が設けられております。(スロープ1/12が取れないため)

また、2階以上が客室となっておりますが、客室間仕切り及び水回りの位置関係で、水平連窓は半分ほどがパネルで覆われています。方立部分に間仕切りを持ってきて、パネルで覆う部分を少なくしたいところですが、その場合は窓付近の防音も問題になってきますので、難しいところですね。。。

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入り口の扉は既存のものを流用しているわけではなく新設ですが、自動扉ではなく開き戸となっています。そして、私のような物好きの人間のためなのか(?)、ホテルの情報のみならず建築計画概要がぎっしり記載されています。扉枠の軽量H鋼と扉面の納まり、方立と無目のガッチリしたガラス窓が「倉庫感」を演出しており、個人的に好きなポイント。

中に入ると、こんな感じ。主にエントランスロビー、カフェ・バーを見ていきます。

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床はコンクリートに塗装材、壁はEP、天井は張らずに設備や配管むき出し、造作家具は木軸を基調したつくりで、正統派リノベ空間という感じです。各アートが納められているストレージ部分はメタルの金網となっており、綺麗ながら、倉庫感が醸し出されています。

地下の宿泊者専用ギャラリー・アートストレージ空間はこんな感じ。

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1階にも増して、大味なリノベです。特にアートストレージ空間は既存の駐車場のラインが残されていたり、廊下の狭さもあって、よりアングラな感じが演出されています。照明計画がとてもうまく、オシャレに仕上がっています。個人的には金網の南京錠、1階エントランスと同じモチーフのガラス間仕切り等、建具廻りのディテールがセンス良いな、と思いました。(アートの内容は次回)

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続いて客室をみていきますが、その前にエレベーター。普通のホテルのエレベータは客室までの動線として宿泊客の気持ちを盛り上げるように鏡張り等凝ったデザイン・特殊な仕様にすることが多々ありますが、そういった定石をガン無視。既存のままでサインのみ追加。人荷用ということで、客室規模に比してとても大きく、倉庫の収蔵品を運搬していた名残がここでも見て取れます

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客室の内装はいたってシンプル。タイルカーペットとEP塗装で、前回のDDDホテルの腰壁のようなアクセントもなく少し物足りない感じですが、機能的には問題なし。元建物の階高が高いため、客室の天井高さ3100mmと非常に高く、客室の狭さを感じさせません

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テーブルはφ500mmということでやや小さいですが、少し書物をしたり、タブレットを開けるくらいなら問題ないかな、という感じ。空気清浄機はしっかりしたサイズのものが入っています。

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最後に水回り。2点セパレートで、ゆったりしています。普通のユニットバスで少しチープな感じはしますが、洗い場のついたお風呂は良いですね。ところで、自立式のトイレットペーパーホルダーはたまに見かけますが、少し無理やり感があるかな、と思います。

懲りずに実測図も掲載します。柱位置は推測ですが、窓位置は外観から判断。外観写真を見るとパネルが入っていますので、おそらく、客室の左側は隣部屋の水回りがきているのでしょう。ちなみに泊まった部屋はスタンダードダブル(18㎡)です。

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今回もリノベーションホテルとして、いろんなデザインの工夫が見られました。特に倉庫のリノベというと、伽藍堂のため自由度は高いように感じますが、どこまで元の記憶を受け継ぐか、ホテルのスタンスが問われる部分で面白いと感じました。リビタのホテルについては、いずれ京都にあるものもチェックしてみたいと思います。

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