アブダクションとは結局なんなのか?→概念の拡大適用(拡延)であり、応用の過程なんじゃね? CSパースが元ネタ
アブダクションとは何か?
論文なり知人の意見なりを聞いてまとめた、アブダクションの性質はコレ↓
◯アブダクションの性質
・蓋然的な文脈(当たり前)を導く
・暗黙のルールを想定していると思われる
・新ルール(原理・原則)の導入、当て嵌め
・概念の適用範囲(=外延)を拡張・拡大して当て嵌める推論→アブダクション
※外延を拡大する→『拡延』と造語する
※論文はコレ
アブダクションに関する一考察 : 探究のための推論の分類↓
拡延という用語はこの論文要旨から↓
蓋然的な文脈(当たり前)を導くってのはQOさんに教えてもらった
と色々書いたけど、そもそもアブダクションとは?が気になると思うから、ネットから引用しとく
で、上の説明を、論文「アブダクションに関する一考察〜」を元に噛み砕いてわかり易くすると↓
1暗黙の前提から外れた、驚くべき事実Cがある(事象の発見)
2しかし、Hというルールを当て嵌めれば、事実Cを導き出すことができる(新しいルールの当て嵌め)
3よって、Hは真であると考えられる。
この推論の肝は
・事実の発見→事実を説明できるルールの当て嵌め という推論の順序
・暗黙の前提(≒既にあるルール)に当て嵌まらない事実を見つけたとき、新しいルールを導入して説明しようとする推論(説明探し、ともいえる)
まず事物を観察することから思考し始める。
次に、事実をうまく説明できる原理が閃く・思いついている
観察、原理の当て嵌め、推論順序、の3つの要素が特徴的な推論だと言えそうです。
ところで、
一般的にアブダクションは、何か新しい発見を見つけるために、仮説を創り出す推論(仮説形成推論)として知られています。
ただ、論文を読むかぎり、注目すべきなのは仮説を作るうんぬんではなく、
・目の前の事実に何かしらのルールを当て嵌めている
・ルールを適用する範囲、領域を広げている→ルールの拡大解釈
という2点なのではないか?という気がしています。
さて、以下は私の思いつき。
これまでの話を考えて閃いたことがあります。
アブダクションって、応用のことでは?
定義をみる限り、「何かしらの原理を目の前の事柄に当て嵌める」という点がアブダクションと共通しています。
つまり
応用の過程を、論理的推論の形式として定式化したものが、アブダクションなのでは?
と考えることもできると思います。
急な主張になるので、一度応用の過程を形式的に書いてみます
応用とは、原理を事例に当て嵌めて用いること
→原理をもとにして当たり前の結論を導く
と考えると、その過程はこうなる
1何かの事実Cが目の前にある
2何かのルールHを当て嵌めれば事実Cを導き出せる
3よってルールHで事実Cを説明することができる
この、当たり前の結論を導くという推論の形は、アブダクションと同型になってる
とはいえ、この↑のケースは演繹法でも説明はできそうではある。
ただ、事実の観測から思考し始める点にフォーカスを当てると、アブダクションと同じだと思われるので、応用=アブダクションだと捉えてみました。
※演繹とアブダクションの区別を、事実の観測から思考をスタートさせる必要があるかどうかで分けました。
○演繹法→思考実験のように、前提を並べることで思考できる。思考の順序はあまり考慮せずに、前提から必然的に導かれる結論を出す。
○アブダクション→事実を観測するのが、思考のスタート地点になり、何かしらの原理原則を事実に適用している
まとめ
アブダクションは
・事実の観察から思考をスタートさせる
・何かのルールを当て嵌めている
・ルールを適用する範囲を拡張してる≒原理の拡大解釈
という性質のある推論であり、応用と非常に似通っている。
だから
応用を実践する過程を、推論形式として形にしたものがアブダクションである
という説明ができそうです。