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20010624 エキソ電子

 固体などに応力をかけて変形や破壊させた時に、割れ目などから電子が放出される現象がある。これは金属の疲労$${^{*1}}$$を検出する方法$${^{*2}}$$の一つとして応用される。

 この現象は金属だけではなく花崗岩でも起こる$${^{*3}}$$らしい。地震などで花崗岩が変形したりすると多くの電子が空気中に放出され、空気の分子がその電子によって電離して発光するのではないかと考えられている。これは地震の発光現象$${^{*4}}$$として知られている。

 空気が電子によって発光する現象としてオーロラがよく知られる。空気分子を構成する原子の中の電子が他から飛んできた電子の衝突によって気体原子の中の電子の軌道が変化して、それが元に戻る時に光が出てくる$${^{*5}}$$。

 固体にかかる応力によって発生する電子はそれ程勢いよく飛び出してくるわけではない。針金や鉄板を曲げたくらいで、曲げた付近がボーっと光を放たないのはそのためである。電子は放出されるが、空気は光らない。それが地震になると光るのだから相当多量な電子が放出されるのだろう。沢山放出されれば中には勢いよく飛び出るものもあるに違いない。それが空気を光らせるのかもしれない。

 この応力で発生する電子をエキソ電子exo-electronという。exoとはエキゾチックexoticのエキゾと同じで「外部の」という意味である。

 ついでにフランスにエグゾセという名前のミサイル$${^{*6}}$$がある。exocetとはフランス語で「トビウオ$${^{*7}}$$」という意味だ。やはり「海の外に飛んで出る魚」だから、この場合の「exo」も同源と考えられる。

*1 金属疲労
*2 金属表面絶縁性薄膜に対する放射線応答特性
*3 珪岩・水晶・溶融石英の破壊に伴う発光の色について
*4 静岡新聞/東海地震
*5 TDK Science Museum: オーロラの謎解き
*6 Weapons Exocet
*7 トビウオは「島根県の魚」に指定されている

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