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20050423 人体の標本

 今から八年前(※1997年頃)に人体の不思議展$${^{*1}}$$というのを見に行った。人体標本$${^{*2}}$$を眺めるのも面白かったが、人体標本を見に来る人々の表情を見ているのも面白かった。

 若い男女の二人組に目が留まった。女性が男性の人体標本の股間を真剣な目つきでしげしげと見つめていたのが印象的だった。その時、男性の方はそっぽを向いていた。

 この人体標本$${^{*3}}$$は本当の人間の死体を利用して作る。組織を樹脂化して半永久的に保存できるようにするのだが、どうやって作るのかさっぱり解らない。展示会場に製造方法の説明があったかも知れないが、読んだ憶えが全くない。特に解らないのは動脈と静脈とが色分けられている標本$${^{*4}}$$である。どうやって色が別れるのだろう。

 調べてみたらあっさりと解った。大雑把に言うと二つの工程で製造されるようだ。第一段階で組織内の水分をアセトンで置き換えて、第二段階で置き換えたアセトンを樹脂で置き換えて固めてしまう$${^{*5}}$$。樹脂は水に溶け難いので、一旦水にも色んな有機物にも溶けやすいアセトン$${^{*6}}$$で水と置き換えるのだろう。学校の理科室でもある程度の標本は簡単にできる$${^{*7}}$$ようだ。

 それでは動脈と静脈とを色分けするのはどうやるのだろう。自動的に赤い樹脂が動脈に浸透し、青い樹脂が静脈に浸透するとはとても考えられない。

 全て樹脂化した後、動脈と静脈とを取りだして、改めて示したい色で染めて、元に組み戻すのだろう。この標本の写真$${^{*8}}$$を見るといかにもそんな感じがする。

*1 科学博物館での人体標本の展示について
*2 人体の不思議展
*3 Plastination at Vienna University Austria
*4 呼吸器系標本
*5 The SILICONE S 10 - Standard Procedure
*6 アセトン
*7 Plastination
*8 Special

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