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20070715 温室効果ガス

 それにしても何故、未だに「温室効果ガス$${^{*1}}$$」と呼ぶのだろう。温室効果ガスというのは大気中に含まれると地球温暖化の原因になると考えられている気体のことである。最もよく知られているのは二酸化炭素$${^{*2}}$$、メタンガスなどで、あまり知られておらず身近な気体としては水蒸気などがある。

 温室効果というのは温室が暖かくなる現象を指している。しかし温室の温度が上昇するしくみ$${^{*3}}$$と現在考えられている地球温暖化のしくみ$${^{*4}}$$は全く違う。前者は温室内に温室効果ガスが一切なくても温度は上昇する。温室内の地面が温められ、地面からの熱伝導によって温室内の空気が暖められる。これは実験で簡単に確認できるだろう。後者は温室効果ガスが地表から発せられた赤外線を一部吸収することによって大気全体の温度が上昇すると考えられている。大気中に赤外線を吸収する気体があればそれがない時よりも温度が上昇しやすいのは間違いないだろう。一般的に大気の温度は、この温室効果ガスの存在が要因である$${^{*5}}$$とされている。こちらは全地球規模の現象なので実験で確認するというのは難しい。

 本当の温室では地面からの熱伝導、温室効果では地面から発せられた赤外線の吸収なので、全然違う。原理が全く異なるのに、温度が上昇する点が同じだからと言って言葉をそのまま流用するのは科学的態度ではない。誤解が生じやすい。それに根本が解っていないような感じがして少し間抜けでもある。英語の「greenhouse gas$${^{*6}}$$」というのも的確ではないし、「greenhouse$${^{*7}}$$」でイギリスの片田舎の庭を連想してしまい緊迫感がない。

 名前を変えるべきだ。そもそも地球温暖化とこれらのガスとの因果関係が明確になっていない$${^{*8}}$$ので「温暖化ガス$${^{*9}}$$」というのも変である。少し長くなるが、「赤外線吸収ガス」でいいのではないか。英語ならば「infrared$${^{*10}}$$ absorption$${^{*11}}$$ gas」でいいだろう。

*1 温室効果ガスによる地球温暖化とは
*2 温室効果ガスとは?
*3 20050601 温室効果
*4 EICネット[環境用語集:「温室効果」]
*5 JCCCA / 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム
*6 Greenhouse Gases, Climate Change, and Energy
*7 Greenhouse Gallery Winney from Hartley Botanic
*8 20050609 地球温暖化(5)
*9 温暖化のしくみ
*10 in・fra・red - goo 辞書
*11 ab・sorp・tion - goo 辞書

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