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20061124 「々」(2)

 「$${^{*1}}$$」という字がある。漢和辞典に載っているが、漢字ではなく、漢字専用の繰り返し「符号$${^{*2}}$$」とされている。「同の字点(どうのじてん)」「ノマ点(々を分解するとノ+マ$${^{*3}}$$)」などと呼ばれる。

 「々」は「同」の異体字「仝」が基になっているらしい。日本独自の字$${^{*4}}$$だ。いつ頃からあるのか。「明治以降現在の活字印刷とともに生まれたのではないか$${^{*5}}$$」と考えられている。明治時代に作られた辞典の「言海」の本文中には見当たらない。「人人」「時時」「猩猩$${^{*6}}$$」「赫赫$${^{*7}}$$」「渺渺$${^{*8}}$$」など皆「々」を用いずに書かれている。ただし、明治二十四年四月に書かれた奥書き$${^{*9}}$$には数ヶ所「々」が使われている。「濟々」「一々」「去々年」「夜々」「人々」「綽々」「事々」。他の符号の「ゝ」「ゞ」「くの字点$${^{*10}}$$(くを長く伸ばしたもの)」は至る所で使われている。

 符号である「々」を使った表記法$${^{*11}}$$は略式だから、この符号が使われ出した頃は、ちゃんと書きたい時にはこれを使わないようにしていたのかもしれない。辞書の本文は厳密な言葉の定義集なのだから「々」のような符号の使用を避けたのだろう。

*1 20011022 「々」
*2 編集部だより 辞典編集部 Q 「佐々木」の「々」は,なんと読む?
*3 20010120 与太郎
*4 20020218 乞々仲象
*5 「々」「ゝ」「ゞ」などの読み方を知りたい。 | レファレンス協同データベース
*6 しょうじょう しやうじやう 3 1 【 ▼ 猩 ▼ 猩】の意味 国語辞典 - goo辞書
*7 かくかく 0 【 ▼ 赫 ▼ 赫】の意味 国語辞典 - goo辞書
*8 びょうびょう べうべう 0 【 ▼ 渺 ▼ 渺】の意味 国語辞典 - goo辞書
*9 大槻文彦 ことばのうみのおくがき
*10 くのじてん 3 【くの字点】の意味 国語辞典 - goo辞書
*11 くりかへし符号の用い方(をどり字法)(昭和21年3月)画像 odoriji


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