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20051028 個体識別番号

 今年の七月下旬に生の牛肉を買ってきて調理して食べた。牛肉の包装容器には「個体識別番号$${^{*1}}$$」が貼ってあった。個体識別番号$${^{*2}}$$は国内での狂牛病$${^{*3}}$$の蔓延を防ぐために購入した牛肉の出所を管理するためのものである。インターネットを使えば、どこのどんな牛の肉だったかがその番号で判るようになっている。滅多に牛肉を食べることがないので個体識別番号に気付いたのはこの時が初めてであった。因みに牛肉を滅多に食べないのは狂牛病騒ぎがあったからではない。経済的な理由により高級な食材を食する機会は昔から少ない。

 その番号は「1180550729」である。この番号を検索ページ$${^{*4}}$$に入力すると肉の素性が判る。

 平成十四年十二月二十八日生まれの雄牛(去勢)だった。岐阜県大垣市出身。 屠殺されたのは今年の六月三十日。二年半の命だった。こうやって書くと生々しい。全ての食材にはこういった履歴があるのだが、記録がなかったり、天然物ならばいつどこで生まれたのか誰も知らないだけである。

 それにしてもこの個体識別番号の保存期間はどれだけなのだろう。殺されてから四ヶ月経過しているが、まだ掲載されている。缶詰めなど加工品$${^{*5}}$$の賞味期限は三年程度だからこれくらいは保存されるのだろう。

 牛と牛肉とが同一であることが確認できるよう、屠殺時に採取された肉片が保存されている$${^{*6}}$$らしい。DNA鑑定によって精肉とそれに付けられていた個体識別番号の牛とが同じであるかどうか確認できる$${^{*7}}$$ようになっている。こうすれば肉と牛とをすり替えても調べようと思えば調べられる。そして一定の割合で小売店の精肉と牛との照合を行うので、すり替えられた牛の肉の流出もある程度防ぐことができる仕組みになっている。

 肉片の保存も三年ぐらいだろうか。

*1 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法による個体識別情報の公表
*2 牛個体識別台帳について
*3 厚生労働省:「牛海綿状脳症(BSE)関係」ホームページ(Q&Aなど)
*4 家畜個体識別システム 情報提供
*5 川商フーズ 株式会社
*6 鑑定用サンプルの採取紹介ページ
*7 鑑定用サンプルの採取紹介ページ (問1)DNA鑑定はどのように行うのですか、また、結果は何に使われるのですか?

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