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20060228 車両重量配分

 BMWが製造する自動車の特徴の一つとして「50対50の車両重量配分」というのがある。何と何とが「50対50」かというと前後の車輪にかかる車両の重さが「50対50」$${^{*1}}$$と言われている。BMWが製造している自動車は殆ど全て大体この比になっているらしい。他の会社の自動車はどうか。大抵どちらかに偏っているようだ。車両の前方にエンジンがあり前輪を駆動$${^{*2}}$$して走行する自動車は前輪に重量が集中$${^{*3}}$$する。逆に後方にエンジンがあり後輪を駆動する自動車は後輪に重量が集中$${^{*4}}$$する。前方エンジン後輪駆動$${^{*5}}$$だと後輪に動力を伝えるための軸や歯車が後ろの方に配置されるので重量が前後均等にし易くなる。BMWはこのエンジン配置と駆動方式を主としている。家の自動車$${^{*6}}$$の車検証を見ると車両重量が1440kg、前軸重が740kg、後軸重が700kgとなっている。大体51対49なので、確かに50対50になっている。

 ところが疑問が出てくる。車検証の車両重量$${^{*7}}$$とは、ガソリンは満タンだが、スペアタイヤとか工具類は搭載しない状態である。「運行に必要な装備をした状態における自動車の重量$${^{*8}}$$」だから乗員は乗っていない。乗員が乗っていない状態で「50対50」になっている。これで意味があるのだろうか。

 自動車の雑誌などを読むと重量配分が50対50$${^{*9}}$$になっているところがいいとよく書いてある。何故か。半々なら何でもいいのか。考えてみれば地面と全車輪とが接しているから自動車はちゃんと走ることが出来るのである。タイヤが滑り出さない最大の摩擦力や動いている時の摩擦力は接触面に加わる力に比例$${^{*10}}$$するから、全車輪に作用する摩擦力が均等になっていれば走る時も止まる時も都合が如何にも良さそうである。

 車検証に記載されている「50対50」は乗員が含まれていない。止まっている時の状態なのである。少なくとも走るためには人間一人60kg程度が乗らなければならない。人間が乗っていない状態で50対50だから、この状態を維持しながら人が乗るには前輪と後輪との丁度真ん中に乗らなければならない。運転席は前輪よりなので運転者が乗れば均衡は崩れる。実際の比率は「51対49」なので更に50対50から離れてしまう。

 左右の配分はどうなのだろう。運転席は片側なので何らかの配慮がなければどうしても左右どちらかに重量配分は偏るだろう。ドイツ産の自動車なので元々左ハンドルで設計されている。従ってエンジン室内の部品の配置も左ハンドルを基本に重量配分をしているかも知れない。バッテリーは右側に配置されている。しかも前後の重量配分を考えて後ろのトランクに設置されている。

 右ハンドル車はバッテリーが左側になるかと言えばそうなっていない。右側のままである。こうなると左右の重量配分もかなり怪しくなりそうだ。更に後部座席に大人が二人乗ると真ん中よりも後ろが100kg以上増えるので50対50は完全に崩れるだろう。この場合、むしろ「エンジン前置き前輪駆動$${^{*2}}$$」の方が50対50に近づくかも知れない。

 こうやっていろいろ考えてみると路上で自動車競争をするわけではないので重量配分は大して重要でないということが判ってくる。これは重量配分だけではなくエンジン出力なども同様である。それを言い出すとどんな自動車でも良くなってくるので、やはり形が良くて$${^{*11}}$$幻想ではあるが性能や仕様が良いのがいい、ということになってくる。

*1 BMW Japan
*2 FF方式(フロントエンジン・フロントドライブ)
*3 摩耗を均一にして有効に使い切る タイヤのローテーション - [カーメンテナンス]All About
*4 CanadianDriver: Test Drive - 2004 Porsche 911 Carrera 2 Tiptronic
*5 FR方式(フロントエンジン・リヤドライブ)
*6 20040820 自動車の故障
*7 車両重量と車両総重量の違いとは?
*8 法律第八十九号(昭四六・五・三一)◎自動車重量税法
*9 SANSPO.COM-グルメ・情報-カーグラフィティ 7年ぶりモデルチェンジ 洗練されたBMWニュー3シリーズ
*10 20000424 摩擦
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