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20051110 地球を温めるもの

 地球が暖かい原因は太陽からの光が絶えず降り注いでいるからである。地熱$${^{*1}}$$の影響も少しはあるかもしれないが、殆どは太陽のおかげだろう。その証拠に夜になると大抵気温が下がる。

 太陽によってどれくらい温められているのか。簡単に計算できることを以前に書いた$${^{*2}}$$。地球に大気がなく地表がむき出しになっていると仮定するとその表面温度は-18℃程度になる。この計算の前提は地球が黒体という仮想の物質でできているとしている。黒体とは全ての電磁波を吸収する性質を持つ。全ての電磁波なので、電磁波の仲間の光も全部吸収してしまう。全ての光を吸収するので黒色に見える。だから「黒体」と呼ばれる。光はエネルギーなので吸収すれば熱になる。物が熱を持てば温度が上がる$${^{*3}}$$。

 実際の地球は宇宙から見ると雲や海があるので黒体ではない$${^{*4}}$$。ある程度の光が反射されているから青く見える$${^{*5}}$$。天体がその表面で光を反射させる度合いをアルベド$${^{*6}}$$と呼ぶ。アルベドが「0」なら光を全部吸収して、「1」なら全部反射する。地球のアルベドは0.3とされているので、太陽の光の30%は反射されていることになる。黒体の状態からこの分を割り引いて計算すると-18℃$${^{*7}}$$になる。

 実際、地球全体はこんなには寒くはなく、平均15℃$${^{*8}}$$ぐらいなので、この差が温室効果と説明される。大気の存在によって地球の温度が上昇していると考える。

 では、地球が本当の黒体だったらどうなるか。全ての光が地球に吸収され、それが熱になるとする。もともと30%だけが反射されているのだからそれ程温度は上がらかもしれない。それでも実際の平均温度よりは高くなりそうな気がする。何故なら地球が黒体だとして太陽の光を全部吸収してそれが全部熱に変わると考えるのだから、それ以上に温度が上がることは考えられない。太陽の光のみで地球が温められると考えているのだから、全部吸収すれば温度が一番高くなるだろう。

 地球が黒体だとして計算すると6℃となる。光を全部吸収するとしても地球の表面温度は6℃にしかならない。光を全部吸収するという究極の状態を考えているにも拘わらず、実際の温度の15℃より低くなってしまった。これは一体どういうことなのか。

 地球は、太陽の光や電磁波の吸収や地表からの赤外線の輻射の機構以外で温度が上昇しているのではないか。つまり黒体輻射のみでは、地球の温度が15℃になっていることの説明ができない。地球の大気成分の大部分は赤外線を吸収したり輻射したりすることはない$${^{*9}}$$。黒体で地球の温度を考える時には、大気の殆どの成分は関係なくなる。関係するのは二酸化炭素や水蒸気だけになる。ところが地球自体を完全な黒体と考えているのだから地球表面に二酸化炭素や水蒸気があろうがなかろうが関係ない。これらを全部ひっくるめて計算して6℃なのである。二酸化炭素が赤外線を吸収するから地球の温度が上昇しているなどということが言えるのだろうか。それではどのように考えればいいのか。

*1 地熱発電の基礎知識(1)
*2 20050603 温室効果(3)
*3 20050730 温度の正体(3)
*4 apollo16_earth_northamerica.jpg
*5 20040721 地球の青
*6 美星町 星のデータベース
*7 地球のエネルギーバランスと黒体放射
*8 地球温暖化解説 8.なぜ地球温暖化が起きるのか
*9 20051109 大気を温めるもの(2)

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