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20070118 ペンローズの三角形

 「ペンローズの三角形$${^{*1}}$$」と名付けられた図形がある。エッシャー$${^{*2}}$$の絵に登場する図形としても知られている。

 この図形は平面では描画が可能であるが、実際に立体模型にしようとすると不可能$${^{*3}}$$である。考えてみると立体物を平面で描こうとすること自体に無理があるので、ある約束事に基づいて表現されているだけであろう。おそらく洞窟の中で壁画を描いていた太古の昔$${^{*4}}$$には、こういった立体を平面で表す技法はまだ確立していなかったのではないか。いつしか人間が立体物の様子を平面画で伝えるためにあみ出した技法なので、無茶と言えば無茶な約束事である。だから時々矛盾$${^{*5}}$$が出てくる。そのうち$${^{*6}}$$の一つがこのペンローズの三角形$${^{*7}}$$ということだろう。

 「ペンローズの三角形$${^{*8}}$$」という言葉の響きから、これは中世ヨーロッパの修道僧$${^{*9}}$$が考えた図形だと勝手に思っていた。エッシャー$${^{*10}}$$はこの図形を基にしてあの「$${^{*11}}$$」という絵を描いたと想像していたのだ。

 違っていた。ペンローズは現代の人$${^{*12}}$$で、物理学者であり数学者$${^{*13}}$$らしい。ただ、この図形の最初はペンローズではないようだ。Oscar Reutersvardと言う芸術家がペンローズの三角形の二十年以上前に切手の図柄として発表$${^{*14}}$$していた。

*1 不可能な物体Xにかんする事情 Penrose.gif
*2 M. C. Escher
*3 不可能物体の研究
*4 Prehistoric Sites and Decorated Caves of the Ve´ze`re Valley - UNESCO World Heritage Centre
*5 Ambihelical Hexnut -- from Wolfram MathWorld
*6 Impossible Figure -- from Wolfram MathWorld
*7 立体感の錯視
*8 Penrose Triangle -- from Wolfram MathWorld
*9 monk-at-workwl.jpg
*10 20030725 エッシャー(3)
*11 Escher: Waterfall
*12 Participants in the IMA Public Lecture: Does Mathematics Rule the World? by Professor Sir Roger Penrose, October 5, 2004
*13 Oxford Mathematics Professor to Give 2003 UK Blazer Lecture
*14 Art of Reutersvard

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