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20061103 三人写真の俗信

 私が幼少の頃は、三人で写真を撮ると真ん中の人が早死にすると言われていた。仲間内でも相当恐れられていた俗信である。こういう俗信の本当の由来は調べても殆ど解らないだろう。

 web上には、昔の写真機は真ん中付近だけがピントが合って、ピントが合うと魂を抜かれると思われていたため三人の中で一番ピントが合うのは真ん中だから魂を抜かれて早く死ぬと言う説$${^{*1}}$$、三人で写す時は年長者が真ん中になるので順番から言って先に死ぬのは真ん中だと言う説、棺桶を担ぐ姿を横から見ると真ん中は既に死んでいる$${^{*2}}$$と言う説などがあった。

 俗信の由来を説明しようとして、その説明がとんちんかんではどうしようもない。

 まず最初の説。ピントが合うと何故、魂を抜かれることになるのか。全く説明がつかない。ピンボケなら大丈夫なのか。魂が抜かれると思いたくなる原因は印画紙にまさしく自分の顔が映し出されているからだろう。だったら何故、鏡は問題がないのだろう。そんな点が俗信たる所以ではある。

 次の年長者説。これも間抜けと言うか何と言うか。「早死に」とは「先に死ぬ」ことではない。「若くして死ぬ」ことだ。年長者が先に死ぬこととは全く違う。先に死ぬのは当たり前だ。年長者が先に死ぬのを「早死にする」と勘違いするぐらい、昔の人は阿呆だったのか。これなどは言葉を知らぬ最近の人$${^{*3}}$$が作った説明だろう。

 最後の説はどうか。三人で撮る写真と棺桶担ぎとがどうして関連するのか。連想すらできない。

 俗信の由来説明の検証には意味がない。俗信を論理的に説明しようとすること自体に無理がある。非論理的だから俗信と言われるのだ。

 幼少の頃のある日、完全にこの俗信から解放された。それは日曜日の夕方六時半頃である。テレビジョン漫画の「サザエさん$${^{*4}}$$」でこの俗信が主題となっていた。最後にこれを完全否定する事例が、確かワカメによって披露された。オリンピックの表彰台では皆喜んで三人並んで写っているではないかと。

*1 写真 - 知泉Wiki
*2 暮らしの中で  差別と迷信
*3 20010328 無洗米
*4 サザエさん - フジテレビ

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