20060601 ワオキツネザル
ワオキツネザル$${^{*1}}$$という名前の付いた猿がいる。漢字で書けば「輪尾狐猿」だ。初めてこれを聞いた時、「ワオ」というのがどういう意味なのかさっぱり判らなかった。何かの本で尻尾の模様が環状になっているからとあった。確かにこの猿の尻尾には白黒の縞が付いていて断面で見れば環状になっている。
考えてみると変な日本語だ。キツネザルはいいとして「ワオ」というのはどうも日本語らしくない。他に「ワオ」などという名前を持つ動物がいるのだろうか$${^{*2}}$$。それにワオキツネザルの尻尾の輪は何色なのか。白なのか黒なのか。白地に黒か、黒地に白なのか。どっちが輪なのか分からない。シマウマの縞は黒なのか白なのか$${^{*3}}$$というのとよく似ている。
日本人の普通の感覚ならあの尻尾をみたら「縞」と見る。「シマオキツネザル」と名前を付けるのが普通だろう。どうして「ワオ」になったのか。
英語で「Ring-Tailed Lemur」というらしい。Lemurとはキツネザルそのもので、語源は「悪霊」である。ワオはRing-Tailedの直訳であった。やはり日本語の感覚ではなかった。欧米人は尻尾の縞を輪と見るものだろうか。「Ring-Tailed cat$${^{*4}}$$」「Malagasy Ring-tailed Mongoose$${^{*5}}$$」「Ring-Tailed Coati$${^{*6}}$$」「Ring-Tailed Bassaris$${^{*7}}$$」は皆、縞の尻尾である。
一方、「Ring-Tailed」には「巻き尾の」という意味もある。「Ring-tailed Possum$${^{*8}}$$」は縞ではなく、尻尾の先が巻いている。
ではこの尻尾の先を丸めているワオキツネザルの写真$${^{*9}}$$をどう見ればいいか。
*1 Lemur catta(ワオキツネザル)
*2 インターネット図鑑『自然界』
*3 『シマウマのしまもよう』
*4 Ringtail - Facts, Diet, Habitat & Pictures on Animalia.bio
*5 Ring-Tailed Mongoose - Facts, Diet, Habitat & Pictures on Animalia.bio
*6 Isle of Man Guide - Ring-tailed Coati in the Amazon Rainforest at the Curraghs Wildlife Park
*7 Tailed Bassaris
*8 Ring-tailed Possum
*9 Ring-tailed lemur. Antananarivo Zoo, Madagascar.