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20040118 確率(4)

 三つの箱の抽選大会$${^{*1}}$$の続き。三つの箱のどれかに景品が入っている。挑戦者はどれかの箱を選ぶ。次に司会者は残りの二つの箱の内、どちらかを開けてその箱が外れであったことを示した。挑戦者に再度箱を選ぶ権利が与えられた時、選び直した方がいいか、最初のままがいいか、どちらでも結果は変わらないか。

 詳細に検討してみる。起こりうる全ての場合を考える。挑戦者が箱を選んで、司会者が外れの箱を開いて、挑戦者が箱を選び直す。この一連の流れの場合の数を全て数える。三つの箱に(イ)(ロ)(ハ)と名前を付ける。挑戦者がまず最初に(イ)の箱を選んだと仮定する。挑戦者が最初にどの箱を選んだかはどれも同等なので、(イ)を選んだ時だけを考えれば十分である。

 挑戦者が(イ)の箱を選んで、司会者が外れの箱を開くのは次の場合が全てである。

(1) (イ)に当たりが入っているので、司会者は(ロ)の箱を開ける。残りの箱は(ハ)
(2) (イ)に当たりが入っているので、司会者は(ハ)の箱を開ける。残りの箱は(ロ)
(3) (ロ)に当たりが入っているので、司会者は(ハ)の箱を開ける。残りの箱は(ロ)
(4) (ハ)に当たりが入っているので、司会者は(ロ)の箱を開ける。残りの箱は(ハ)

 挑戦者は司会者から箱を選び直す権利を与えられたので、それを行使する場合としない場合とを組み合わせれば一連の流れの場合の全てになる。

(1)-1 挑戦者は選択を変えず 選択:(イ) 当たり:(イ)  (1)-2 挑戦者は選択を変えた 選択:(ハ) 当たり:(イ)
(2)-1 挑戦者は選択を変えず 選択:(イ) 当たり:(イ)  (2)-2 挑戦者は選択を変えた 選択:(ロ) 当たり:(イ)
(3)-1 挑戦者は選択を変えず 選択:(イ) 当たり:(ロ)  (3)-2 挑戦者は選択を変えた 選択:(ロ) 当たり:(ロ)
(4)-1 挑戦者は選択を変えず 選択:(イ) 当たり:(ハ)  (4)-2 挑戦者は選択を変えた 選択:(ハ) 当たり:(ハ)

 以上8通りの場合がある。この内、挑戦者が当たりの箱を選択するのは(1)-1、(2)-1、(3)-2、(4)-2の4通りで、外れの箱を選択するのは(1)-2、(2)-2、(3)-1、(4)-1の4通りとなってどちらも確率は4/8となる。これでは変えても変えなくても当たりやすさは同じであると直観的に結論付けるのと同じになってしまう。

 上の説明では(1)(2)(3)(4)がそれぞれ起こることがみな同程度に確からしいとしている。ところが(1)と(2)との(イ)に当たりが入っている場合、司会者は(ロ)か(ハ)の箱のどちらかを開けるので、(ロ)に当たりが入っている(3)や(ハ)に当たりが入っている(4)よりも起こり得る場合がそれぞれ半分になる。

 (イ)(ロ)(ハ)に当たりが入る確率は皆1/3で同じである。(1)(2)はそれぞれ1/6で起こり(3)(4)はそれぞれ1/3の確率で起こる。従って挑戦者が当たりの箱を選択するのは(1)-1、(2)-1、(3)-2、(4)-2の4通りのそれぞれの確率は1/12、1/12、1/6、1/6で合計2/3となり、挑戦者は「箱の選択を変えた方が当たりやすく」なるという結果になる。

 それにしてもこんな面倒なことを考えないと判らないのだろうか。もっと直観的に理解できる方法があるはずだ。

*1 20040117 確率(3)

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