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20000425 アラーの他神無し

 呉智英の「言葉につける薬$${^{*1}}$$」を読んでいたらこんなことが書いてあった。イスラム教$${^{*2}}$$のアラーの神の「アラー$${^{*3}}$$」とは神そのものを表していて「アラー」という名の神がいるわけではない。そしてアラーAllahのAl-は冠詞でアルコールのアルやアルカリのアルと同じらしい。
 イスラム教では神は一つしかないからわざわざ固有名詞を作る必要が無く一般名詞で十分だそうだ。アラビア語$${^{*4}}$$でも神が唯一であれば固有名詞か一般名詞かを区別する事は出来ない。しかしイスラム教が成立する以前にアラビア語$${^{*5}}$$はあった。「神」という一般名詞はアラビア語にはあるはずだ。

 これに何となく似ているのは日本の天皇家$${^{*6}}$$の名前である。天皇家には名字がない。もともと名字$${^{*7}}$$とは武士が勝手に名のりだしたものだから天皇家に無くて当然である。$${^{*8}}$$がないといった方がいい。姓は天皇に支配されている者が名のる呼称なので天皇自身には付いていない。
 名字や姓は出自を表すものだから、天皇の場合、出自は唯一で明確なので必要がないのだろう。この辺がイスラム教の神を表す言葉が一般名詞で十分というところに似ている。

 日本語の場合、イスラム教のアラーのように特定なものを表すのに一般的な言葉や用法を使って表現する例は「天皇家は名字を持たない」以外にあるだろうか。

 英語にはある。「the City$${^{*9}}$$」はロンドンのテムズ川北岸の一角の金融・商業地域を指す。「the Bank$${^{*10}}$$」はイングランド銀行のことである。「the Zoo$${^{*11}}$$」でロンドン動物園になる。

*1 http://hp.vector.co.jp/authors/VA013051/fuzi/medicineForLogos2.jpeg
*2 宗教関連リンク集
*3 イスラム教について
*4 アラビア語入門
*5 アラビア語入門
*6 宮内庁ホーム
*7 名字見聞録
*8 姓氏の雑学
*9 ABOUT LONDON
*10 Bank of England - About The Bank
*11 Welcome to London Zoo

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