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20050306 郡に属さない町村

 東京都の島嶼$${^{*1}}$$の住所には「郡」がない。が地方公共団体として存在しているのに「$${^{*2}}$$」がないのである。例えば大島は「東京都大島町$${^{*3}}$$」である。檜原村は「東京都西多摩郡檜原村$${^{*4}}$$」である。なぜだろう。

 単なる表記の有無の問題ではない。「郡」の表記が田舎臭いのでそれを嫌がって書かない$${^{*5}}$$時もあるが、そうではない。

 最初から「郡」がないようだ。それでは郡というのは一体何なのか。

 大化改新で制定された国郡制$${^{*6}}$$に端を発する。$${^{*7}}$$に次ぐ行政区画として郡ができた。数郡もしくは十数郡で一国を形成する。

 明治11年の郡区町村編制法$${^{*8}}$$で施行された。これによって府県の下に郡、区、町村という行政区画が設置された$${^{*9}}$$。ところが第七条には「此編成法ヲ施行シ難キ島嶼ハ其制ヲ異ニスルヲ得」とある。多くの島嶼はこの編成法が適用されなかったらしい。明治二十一年には市制が設けられ$${^{*10}}$$、郡とは別の行政区画ができた。

 郡制が大正十二年に廃止されるまで$${^{*11}}$$に、壱岐、対馬、沖縄、伊豆諸島等の多くの島嶼に町村制が敷かれた$${^{*12}}$$らしい。どういうわけか伊豆諸島には郡は設置されなかった$${^{*13}}$$。そして昭和二十二年に地方自治法$${^{*14}}$$が制定されて現在に至るまで郡は設置されていない。北海道もそれまで郡はなかった$${^{*15}}$$が、この時設定されたようである。

 こういった経緯で伊豆諸島、小笠原諸島では「郡」という言葉が住所には入らない$${^{*1}}$$のであった。それにしてもなぜ郡が置かれなかったのだろう。

*1 市町村の姿 - 東京都島嶼
*2 20030901 郡(3)
*3 東京都大島町公式サイト【基本情報】
*4 Tokyo 檜ひの原はら村
*5 20020106 郡
*6 郡の変遷
*7 20000724 廃藩置県
*8 郡区町村編成法
*9 郡の変遷 [ 解 説 ]
*10 地方自治制
*11 地方自治の歴史 <大正時代>
*12 《特定外周領域》の淵源とその系譜
*13 市町村合併に関する検討指針
*14 地方自治法
*15 郡の変遷・北海道

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