見出し画像

20030811 カノン

 歌音と書いて「かのん」と読ませる場合$${^{*1}}$$があるらしい。人名ならそれをどのように読むかは命名者や本人に任されているので、問題はない。戸籍法$${^{*2}}$$では読み仮名をどのようにしなければならないという規定はない。戸籍には「氏名」を記載しなければならないが、その読み仮名は記入する必要はない。「イチロウ$${^{*3}}$$」と書いて「じろう」と読むと主張しても何ら問題はない、筈である。

 人名の場合は上に書いた通りだが、固有名詞として「歌音」を「かのん」と読んで欲しいというのはいささか$${^{*4}}$$無理がある。人名と違ってそれ以外の固有名詞はある程度一般の常識を基準にしていないと受け入れられない。受け入れられなければ名前を付ける意味がない。

 おそらく「観音」を「かんのん」と読むので、「音」は「のん」と読んでも間違いはないと言うつもりなのだろう。

 間違いである。「観音」は「観」の「ん」と「音」の「お」とを連続して発音するので「かんのん」と読んでいるだけであって、「音」を「のん」と読むからではない。「安穏(あんのん)」「陰陽(おんみょう)師」などの「穏」「陽」はそれぞれ単独もしくは他の場合では「のん」「みょう」と絶対読まないのと同じである。

 「歌音」だから音楽の作曲技法の「カノン」$${^{*5}}$$を想定しているのだろう。パッヘルベルの「カノン」$${^{*6}}$$かもしれない。何れにしてもカノンと「歌」とは直接関係ないので、読み方だけではなく意味もずれていることになる。

 原理原則を無視すれば、単に無教養と思われるだけである。自らも気を付けなければならない。

*1 Google 検索: "歌音 カノン"
*2 戸籍法 戸籍の記載
*3 20030816 太郎次郎
*4 キャスト紹介 伊佐坂難物
*5 対位法
*6 d-score.com - パッヘルベル

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?