見出し画像

20020714 食品の成分表示

 紙パック$${^{*1}}$$入りの野菜ジュースを飲んでいて気付いた。成分表示$${^{*2}}$$に「ナトリウム」と書いてある。ナトリウムとは塩化ナトリウム$${^{*3}}$$のナトリウムのことだろう。塩分がどれだけは言っているか、と言う意味で「ナトリウム」と表示されているらしい。

 平成8年5月からこの「ナトリウム」表示$${^{*4}}$$になったらしい。塩分の取りすぎがよくないとされるのは含まれるナトリウムが高血圧の原因の一つ$${^{*5}}$$とされているために、食塩含有量を表示するよりもナトリウム含有量を表示した方が栄養管理がし易いという理由だろう。ナトリウムは食塩だけではなくグルタミン酸ナトリウムなどの化学調味料と称されるもの$${^{*6}}$$にも含まれている。

 確かに食塩とか塩分と表示するよりもナトリウムと表示した方が表記の方法としては正しい。しかし一般的にナトリウムが高血圧に影響しているという知識は浸透しているのだろうか。塩分が高血圧に関係があるというのは大抵の人は知っている。食塩は塩素とナトリウムとの化合物であると言うことは学校で習うが、完全に忘れている人も多いのではないだろうか。そして「ナトリウム」という表示を見て塩分を連想することが出来るのだろうか。

 ナトリウム量から食塩含有相当量は求めることが出来る。ナトリウムと塩素とが結合する時の重さの割合は常に一定$${^{*7}}$$なので、ナトリウム量にある定数を掛ければ求めることが出来る。

 高血圧即ち塩分が原因、という図式が多くの人々の頭の中で出来上がっているので、いちいち換算しないと実際に塩分がどれだけ入っているのか感覚がつかめない。

 かつての塩分量表示の時よりもナトリウム表示の方がその量が少なく表示される。ナトリウムの量に2.5を掛けると大体の食塩に相当する量になる。多く入っていては困る成分なので、表示方法が変わることにより絶対値が少なくなるのは誤解を生む原因になる。どうも欺瞞を感じる。

 表示切り替え当時は「食塩相当量」という表記が併せて書いてあったかもしれないが、現在は「ナトリウム」だけである。食塩と高血圧との関係を記載したサイトの中で「ナトリウム」という語句を使用していないのがまだ沢山存在する$${^{*8}}$$ようであれば「ナトリウム」と「食塩相当量」との併記が望ましいのではないだろうか。

*1 テトラパックの食品および飲料の加工処理と包装のソリューション
*2 健康ジュース
*3 20000304 塩化ナトリウム
*4 ナトリウムと食塩の違いは?
*5 高血圧Q&A
*6 「味の素」の原料は何ですか。また、どのようにして作られるのですか?
*7 プルーストのデータ
*8 食塩と高血圧について

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?