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20041210 尾州不二見原

 北斎の「冨嶽三十六景$${^{*1}}$$に「尾州不二見原$${^{*2}}$$」と題された絵がある。底のない巨大な桶の中で作業をする職人とその桶を通して向こうに小さく見える富士山を描いた作品だ。

 尾州だから尾張である。不二見原というのは現在の名古屋市中区富士見町の辺り$${^{*3}}$$しい。江戸時代よりも大気が汚れてしまっている今でも、名古屋よりもっと富士山から遠い伊勢志摩から富士山が見える時がある*4$${^{*4}}$$ようだ。そういえば富士山が見えるという尾張ではなく三河の蒲郡にあるホテル$${^{*5}}$$に泊まったことがある。しかし名古屋の富士見町は都会のど真ん中$${^{*6}}$$なので、どんな気象条件でも今では富士山は絶対に見えないだろう。

 昔の富士見町はどんな様子だったのか。明治十一年に作成された地図$${^{*7}}$$を見てみると北斎の絵そのままである。富士見町の東側は「富士見原」という原っぱが広がっている。

 名古屋は江戸時代、木桶の生産が盛んだった$${^{*8}}$$らしい。一体「尾州不二見原」のような大きな桶は何に使うのだろう。大人数が入れる風呂桶$${^{*9}}$$ではない。

 おそらく$${^{*10}}$$や味噌醤油$${^{*11}}$$の仕込み桶だろう。

*1 Hokusai: 36 Vistas Monte Fuji
*2 Hokusai: Bishu Fujimigahara
*3 Adachi HOME PAGE 浮世絵ギャラリー 【冨嶽三十六景】 尾州不二見原
*4 運がよければ富士山が見える
*5 19991127 富士を見る
*6 「愛知県名古屋市中区富士見町」付近地図
*7 fujimihara.jpg
*8 名古屋の伝統産業・木桶
*9 Grimstadstampen.no - en nytelse for livet...
*10 仕込み桶
*11 ichibiki.jpg

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