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20051103 脱穀

 テレビジョンをたまたま見ていたら、ミャンマーの山岳民族$${^{*1}}$$の紹介をやっていた。その民族は日本人と同じように稲作をして米を食べるらしい。ほんの少ししか見ていないので稲を栽培しているのか自生している稲から米を穫るのかはっきりしなかったが、とにかく日本の稲作と似たようなことをやっていた。

 日本からミャンマーに行った青年と現地の少年とが一緒に籾米$${^{*2}}$$を臼のような物に入れて杵でつく場面が出てきた。その場面の説明の字幕が出た。「脱穀」と出てきた。

 この作業は脱穀ではない。「籾すり」である。脱穀とは稲穂から籾を取り離すこと$${^{*3}}$$である。読んで字の如くだ。籾から籾殻を剥ぐことを籾すり$${^{*4}}$$という。ミャンマーの少年との作業は明らかに籾すりだった。

 何故こんな間違いが発生したのだろうか。放映前に確認できなかったのか。番組製作担当者が稲作を経験したことがないことや知識不足でこういった間違いを犯すこともあるだろう。しかしこれくらいのことに気付く年長者がいなかったのだろうか。番組としては、日本からの青年は農耕民族である日本人の代表のつもりだったろうが、籾すりが「脱穀」では情けない。

 この記事を書く上で見つけたこの写真のページの解説には「臼に籾を入れ杵で搗いて脱穀する$${^{*5}}$$」とある。上の例と全く同じである。

 とここまで書いて念のため「脱穀$${^{*6}}$$」の意味を他の辞書で調べてみた。i第二義として「もみがらを穀粒から取り去ること」という意味もあった。新明解$${^{*7}}$$と広辞苑$${^{*8}}$$とにはそう書いてあった。

 字幕も写真のページも間違ってはいなかった。

*1 ふしぎの国ミャンマー よろず情報局
*2 展示コーナー10月4日から「米」の展示
*3 稲刈り(いねかり)・脱穀(だっこく)
*4 乾草(かんそう)・もみすり
*5 脱穀
*6 だっこく 0 【脱穀】 - goo 辞書
*7 20030528 待てば甘露の日和あり
*8 20040621 安く手に入れた国語辞典

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