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20000717 星の井戸

 星の井戸というものがある。深く掘った井戸を覗き込むと井戸の水面に昼間でも星や月が映って見えるという。弘法大師も井戸を掘って昼間に星を見せた$${^{*1}}$$と言われている。

 クリスマスツリーの天辺にある星は「ベツレヘムの星$${^{*2}}$$」と呼ばれるもので、キリストが生まれた時に輝いた星らしい。西の国に現れた聖人を探しに向かった博士達が途中で水を飲もうとして井戸を覗き込むと水面にこの星が映ったという。

 星の井戸の原理は何か。星からの光は非常に遠方から来るので完全に平行光と見なしてよいのだろう。それに対して青空からの光は散乱光$${^{*3}}$$である。様々な方向から光がやってくる。昼間はその様々な方向からやってくる青空からの光の方が圧倒的に強いので星は実際には空で輝いているのだが肉眼では見えない。

 そこでそのような散乱光を遮ってやれば星が見える筈である。井戸の底や煙突から空を覗けば煙突や井戸に対して斜めに入射してくる散乱光は煙突の壁面に反射したり吸収されたりする。煙突や井戸の長さが十分長ければ散乱光は殆ど目に入ってこない筈である。

 しかし散乱光の中には星から来る光と平行な光も沢山あるだろう。結局は井戸や煙突の穴から空が見えるだけで星は見えないかもしれない。実際に煙突の底から星が見えるか、という実験をNHKのクイズ番組「ウルトラアイ$${^{*4}}$$」で行ったらしい。見えなかったようだ。煙突で見えないのならば星の井戸でも無理であろう。

 煙突を大気圏$${^{*5}}$$よりも高くすれば、見えるようになるかもしれない。井戸の場合はどうか。井戸をブエノスアイレス$${^{*6}}$$まで掘ったとしても見えるのはブエノスアイレスの青空しか見えないのか。 違う。こちらが昼間ならブエノスアイレスは夜中だ。これなら昼間に星が見られる。

*1 柳津虚空蔵尊七不思議
*2 ベツレヘムの星
*3 第10回 空の青・夕焼けの赤
*4 20000404 ウルトラアイ
*5 空はどこまであるの?
*6 素顔のブエノスアイレス

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