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20090426 超光速のつけ

 光速は不変か。そもそも光速とは何か。現在、長さの基本である「1m$${^{*1}}$$」は光が1秒間に進む距離を基にして定義$${^{*2}}$$されている。光の速度が長さの基準になったのは、「宇宙のどこでも光速は不変であるという仮定を基にすれば普遍的な基準になる$${^{*3}}$$」
ということで採用されている。これにより、光の速度はどこで測定しても「299792458m/s」となり、1mmも誤差はない$${^{*4}}$$。そもそも定義だから誤差と言う考え方はない。「299792458」ポッキリ$${^{*5}}$$なのである。

 だから光速は不変と言えるのか。光は屈折する。空気中からガラスや水の中に光が入射すると、光は直進する性質があるにも拘らず、進路が曲がってしまう。この原因は光が伝搬する空間の様子が変化することに依る。光が今まで空気中を進行していたのに突然、ガラスの中に入ると光の何か$${^{*6}}$$が変化する。この光の何かは光の勢いの様な物を表す量なのである。

 光は波だから山と谷との繰り返しだ。山と山、もしくは谷と谷との間隔が波長、1秒間に何回この繰り返しが通過するかが周波数である。波長と周波数とを掛け合わせれば1秒間に進む光の長さになる。つまりこれが光の速度になる。

 一方、光が屈折する時には光の周波数は変わらない。変わってしまうと光が空気とガラスとの境界を通過する前後で時間当りに進行する山や谷の数が合わなくなってしまい、光の波の山もしくは谷が溜まってしまったり足りなくなったりしてしまう。光が伝搬する空間の様子が変って、それによって光の何かが変わる。その「何か」とは波長や光速なのである。ガラスや水は分子でできている。分子は原子で構成され、原子は原子核と電子とでできている。原子核と電子とはそれぞれ電気を帯びている。光は電気と磁気と組み合わせの波$${^{*7}}$$だ。それが電気を帯びた空間を通過するのだからどうしても影響を受ける。目に見える光の場合は、水やガラスの中では光速が真空中よりも遅くなっている$${^{*8}}$$。逆に波長が極端に短くなった光の一種でもあるX線は金属中では真空中よりも速くなっている$${^{*9}}$$。光の速度が遅くなったり速くなったりするので、その変化点で光の行程が曲がったりするのである。

 つまり光速は不変ではない。前述したように時には真空中の速度よりも速くなることがある。それでは相対性理論における光速不変$${^{*10}}$$とはどういうことなのか。相対性理論で光速不変とは「真空中」と言うことであろう。では「光の速度を超えられない$${^{*11}}$$」のはどう説明すればいいのだろう。金属の中ではX線は光の速度を超える。

 光の速度を超えたX線と言うのは、その波の山や谷が移動する速さが真空中の光速よりも速いのであって、波全体の移動の速度ではないらしい。光が届いたかどうかを区別する為には光の波が途切れないと判らない。つまり光の波全体の始まりがないと波の位置がはっきりしない。位置が判らないと全体の速度が決め難い。この波の始まりの部分を波頭といい、その伝搬速度を波頭速度$${^{*12}}$$と言うらしい。この速度は真空中の光の速度「299792458m/s」を超えないらしい$${^{*13}}$$。X線も例外ではない。これがよく判らない。山や谷の移動速度が速くなれば、つられて先頭も速くなるのではないか。否、つられるのではなく、まず先頭の山と谷とが境目で速くならないと光の波が渋滞するではないか。だが、真空中の光速を超えれば相対性理論で言う因果律が崩れてしまう。どう考えればいいのか。

 恐らく渋滞しているのだろう。空気中から金属中に入射したX線の最先端の波長は縮まり、前述の「光の何か$${^{*14}}$$」が変化して熱に変わっているのかも知れない。

*1 20041221 メートル原器
*2 BIPM - metre
*3 産総研・サイエンス・タウン 世の中の基準を創って守るために 「"ものさし"のふるさと!?」
*4 20991002 光の速度
*5 20010528 ポッキリ
*6 2 光子一個当たりの角運動量と運動量
*7 電磁波の基礎知識
*8 理科の基礎理論
*9 Mirror-Primer
*10 1-2/相対性理論
*11 1-4-2、だから光の速さも超えられない
*12 光速をめぐって
*13 OYO BUTURI, Vol.74, No.06 (2004)
*14 1-5、光と質量

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