20050709 ガスタンク爆発
知人に勧められて「半島を出よ$${^{*1}}$$」を読み出した。面白い。よく考えられた小説である。まだ前半の途中までしか読んでないが、気になったことがあった。
内閣危機管理センター$${^{*2}}$$でテロリストの行動予測する場面が出てくる。市内の一部を占拠するテロ集団が天然ガス貯蔵施設$${^{*3}}$$にロケット弾を打ち込み、ガスを漏洩させ、続いてロケット弾か手榴弾を爆発させ漏洩したガスを爆発させるかもしれない、と自衛隊の対テロ専門家が報告をする。更に、ガス管は市内を縦横無尽に走っているので貯蔵施設のみの爆発にとどまらず市内は火の海になって吹っ飛んでしまうと予測する。
ガスタンク$${^{*4}}$$が爆発すれば、炎などがガス管を伝わって市内全体が燃えてしまうということである。
本当にそうなるだろうか。昔から、ガスコンロ$${^{*5}}$$の炎がなぜガス管を逆流しないかという話がある。ガスが燃えるための酸素$${^{*6}}$$がガス管の中にはないから逆流しない。だからガスタンクが燃えてもガス管を通じて炎が各戸に伝搬するということはあり得ないのではないか。
爆発は燃焼だけで起こる現象ではない$${^{*7}}$$。燃焼するための酸素がなくても爆発は起きる。カセットボンベを100℃にすると爆発する$${^{*8}}$$らしい。これはボンベの中のガスが燃えるわけではない。中のガスが膨張してボンベを破壊する。近くに火気ががあれば引火して更に爆発が大きくなるだろう。
ガス管の中をタンクの爆発の圧力が伝搬していく可能性はどうか。その圧力によってガスコンロから突然大きな炎が噴き出して火事に至ることはないだろうか。
都市ガスの主成分はメタンガス$${^{*9}}$$である。メタンガスは加圧によって分解して爆発に至ることはない。つまり連鎖的に管内の圧力が上昇して配管が破裂することも管内のガス圧が急激に上昇することもないだろう。例えば衝撃などによって急激に分解するアセチレンガス$${^{*10}}$$であれば爆発が酸素のない配管内を伝搬することも考えられる。アセチレンは炭素原子の三重結合を含む$${^{*11}}$$ので単結合しか持たないメタン$${^{*12}}$$に比べ不安定で分解し爆発しやすい$${^{*13}}$$のである。
家庭でガスコンロを使用している時にガスタンクが爆発$${^{*14}}$$したらどうなるか。ガスの供給圧力が低下してコンロの火が消えて終わりのような気がする。
*1 半島を出よ : 書評 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
*2 組織図
*3 [防災対策って? / 安全なガス設備:ガスを作るLNG基地]
*4 ガスタンク2001
*5 20050104 飛騨こんろ
*6 東京ガス:ガスご利用ガイド/都市ガスの燃焼と付臭
*7 20011204 ニトログリセリン
*8 社団法人 日本ガス石油機器工業会
*9 都市ガスの種類・熱量・圧力・成分|東京ガス
*10 ホームページ アクセス回数を増やす 汎用ガスの取扱い方
*11 アセチレンガスの物性、化学的性質、取扱注意事項、用途
*12 Methane - The Encyclopedia of Earth
*13 E-2-1.ガス溶接作業の基礎
*14 東京ガス : 安全と防災/防災について/“地震に強いガス設備”から始まる予防対策の第一歩<
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