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20060907 切るなの根から金の生る木(3)

 先日、錬金術機械について考えた$${^{*1}}$$。錬金術機械とは、鉄や鉛などの安い金属から金や白金などの貴金属が作れる仮想の機械である。ただしこの機械はいつ壊れるか判らない。この機械の値段は市場原理$${^{*2}}$$によってどのように決められるのだろう。

 これは株価がどのように決まるかを例えた話である。株式を所有すれば、その会社が儲かっている時は配当がもらえる。その権利は会社が存続する限り有効だ。つまり株式という錬金術機械が金(かね、きん)を生み出している。ところがその会社はいつ潰れるか判らない。錬金術機械もいつ壊れるか判らないのと同じである。また短時間でどれだけ金を生み出すのか$${^{*3}}$$も重要である。高い錬金術機械を買っても百年かかって十円分の金しか作れなければ意味がない。株式でも同じである。

 こういった中で錬金術機械の値段はどのように決まっていくか。更に転売できるとなるといろいろな思惑が出てくるので、値段の決まり方は複雑になる。ただ、値段を決める考え方が複雑になるだけで、それを決める仕組みとしては単純明快である。市場で誰かがある値段で売り出す。それを誰かがその値段で買う。それしかない。

 錬金術機械は仮想だからもっと現実味のある機械を考えた。合法的に使用できる紙幣を印刷する機械はどうか。錬金術機械よりも現実味があるが、やはり仮想的である。と思ったが、実際にそういう機械が存在していることに気付いた。

 国立印刷局$${^{*4}}$$にある。そしてその印刷機を製造する業者$${^{*5}}$$もある。紙幣を印刷する機械の値段は何らかの価値基準によって決まっているはずである。それは「使える本物の紙幣が自由に印刷できる」という価値ではなく、国立印刷局が要求する仕様を満たすかどうかで決まっている。当然なことだが、紙幣印刷機もやはり完全に仮想的な機械である。

 紙幣の印刷の話で、映画の「新・黄金の七人$${^{*6}}$$」を思い出した。

*1 20060822 切るなの根から金の生る木(2)
*2 「市場原理主義」が日本で根づかないもう一つの理由
*3 配当利回り - [マネー用語集]All About
*4 独立行政法人 国立印刷局 - お札の紹介
*5 紙幣印刷機 (Banknote) Series - 株式会社 コモリコーポレーション
*6 新・黄金の七人 7×7|MOVIE WALKER PRESS

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