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106【金利は最大の節税!?】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山駅地下街通路に掛けられている岡山県内の自治体ごとの名所の看板です。岡山工場を持つキリンビールの粋な広告施策と私は捉えています。
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はじめに

タイトルをきいて「何のこっちゃ?」と思われる方も多いのではないでしょうか?

しかしながら一方で「ふむふむ。言わんとすることは分かるよ。」であったり、「たぶん、なんとなくこういうオチかな?」なんて感じる方もおられると思います。

今回は年商10億円規模までの中小零細企業の経営者が知るべき、「銀行融資のセオリー」ともいうべき基礎知識の分野をテーマに書いてみようと思います。

近いジャンルの過去のブログをご参考までに。(初級且つダイジェスト版のイメージで書いています。)


銀行借入を起こしてビジネスをされている方々にはご一読いただきたい内容です。

金利が節税となる理由

話がややこしくなってはならないので結論を先に言います。

金利が節税となる理由は明確。

「金利は費用であるため法人税の基準となる課税所得が下がります。」

更に言うと、株主であるオーナー経営者と債権者(銀行などの取引金融機関)が得られるキャッシュフローは金利が無い場合と比べると多くなります。

簡単ですが図示したものが以下です。

ご存知でしたか?

筆者作

忘れてはならない、ここでお伝えしたい点。それは…。

意図的に無駄にダンピングせず、適正な金利を払って仲間となり得る銀行を勝たせて信頼関係を得る。好調な時は案件毎に柔軟に対応してもらう。そして、万が一経営がバックギアに入った時にも下支えしてもらう。

「そんなの理想論だよ。」

という方も当然、おられると思います。

例えばの話。本当のエピソードです。

とある創業者が経営している企業で、不動産関係で地域では知名度の高い企業があります。創業期から融資してもらったことを恩義に感じていて、社長曰く、いまだに金利交渉はしない!とのことでした。そして、外部からの視点で私が見ている限り、その企業に対してはその金融機関は、金利以外の部分はできる限り柔軟に融資条件などをその企業に有利になるように設定しています。これは強固な信頼関係があってこそなせる業だと感じます。

一つのあるべき姿をあらわした話ではないでしょうか。

金利をちゃんと払うと得られるかも知れない大きいメリット

年商10億円規模までの中小零細企業の金融においては特に、この点を言いたいがために今回のブログを書いていると言っても過言ではありません。

以下の様なケースはよくある話。

A銀行から資金的に多少余力があるタイミングで、運転資金借入の売り込みがあった。この場合は、「借りてあげる」という立場にあるので当然、売り込まれた経営者は金利交渉に入る。そしてB銀行に「A銀行から低利での売り込みがあった」と伝え、既存の融資金利を下げたり、B銀行からも更なる借入の提案があった。その結果、既存融資の金利が下がり、経営者は満足いく結果を得られた。

筆者作:例話

この話の盲点を言いますと…。

①資金繰り計画に基づく調達になっていない(場当たり的調達)
②期間、約定返済額などの借入の返済条件がどうなっているのか不明
③プロパーなのか保証協会なのかも不明

などが挙げられます。

①~③の点が考慮されたうえで、その企業にとって現状、最適な調達ができたのか?というのは甚だ疑問が残ります。

「経営者あるある」の一つですが、調達金利自慢というものがあります。

「〇〇銀行から0.5%で借りたよ。」
「0.8で売り込みきたけど0.6%に下げてやったよ。」
なんておっしゃる方も時にはおられます。

あくまで、必要なタイミングで必要なだけ、自社の返済計画に基づき、希望の返済期間で、担保・保証条件も自社の希望通りで、プロパーで借りられるということが重要ではないでしょうか?

生命保険での節税について

テーマが少しだけ広くなってしまいますが、乗り掛かった舟で、節税というキーワードで書いているので、今なおよくある、生命保険での節税(利益繰り延べ効果)についても軽く触れます。

ざっくりのトレンドを言えば、生保業界では俗に言う「バレンタインショック」なんて言葉があり、数年前から「節税・利益の繰り延べ効果」をうたって募集行為をしてはならない、という状況になっています。

生命保険の最大の強みは何と言っても「保障」につきると考えています。

貯蓄性、つまり実質的に簿外で現金を分別してプールしていく、保険料の一部が経費としての算入、契約者貸付機能、といった点はあくまで付随的な項目です。

とにかく目先の税金を減らしたいんだ!というニーズは存在し続けると思います。

しかし、結局金融商品である以上は、生命保険会社側は顧客にとって全てバラ色の商品設計をしているわけではありません。長期定期保険(いわゆる俗に言う役員保険)で数年で解約時に100%の返戻率がある商品なんて皆無です。結局は虎の子の現金は目減りします。創業者が経営する若い企業は特に、潤沢な個人資産が無い場合、債務超過に陥ると、死へのカウントダウンが始まってしまいます。

「生命保険への加入はあくまで万が一の保障確保が目的」

があるべき姿です。

目先の節税(利益の繰り延べ)に安易に走らず、自社の経営力をストレートに反映したお化粧無しの当期純利益を出し、きちんとしかるべき金額を納税し、貸借対照表の純資産を厚くしていくことが経営の王道です。

業歴と利益の積み重ねである純資産部分をきちんと評価した上で、信頼関係のある金融機関ならば、その経営努力を認めた上で希望条件で融資を実行し、その企業を発展させていく施策を手助けしてくれることでしょう。(私はわりと性善説です。笑)

まとめ

・当然ながら金利は費用計上されるため、支払うべき税額が減少する。

・大前提は経営計画に基づく借入であること。金利を払って借入することは、事業に投入できる資金が増加する。その資金を活かし、事業投資を行い、資金量を増やしていくことが本来の経営の本来の目的。

・税金を払う事を否定しているわけではない。ただ、経営のパートナーとなり得る金融機関の取り分も冷静に考える。仲間を勝たせることは、結局自らが勝利することにも繋がる。

・ただやみくもに借金しなさいと言っているわけではない。計画無し場当たり的に調達し、不毛な金利ダンピング競争に陥らないように注意すること。金利以外にも、返済期間、プロパーか保証協会か、保証・担保、貸金の種類、他行とのシェアなど、総合的に判断しなければ、最適な借入にはならない。

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今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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