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102【過去を振返り未来をつくる】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山市民会館です。1964年竣工という長い歴史があります。
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はじめに


財務コンサルタントの存在意義は今回のブログタイトルに集約されていると考えています。

というのも、年商10億円規模までの中小、零細企業は特に、振り返りが不十分なケースが多く過去の経営分析から未来を戦う材料を拾うことができるからです。

その企業にとってあるべき未来を経営者と一緒に描いていく仕事は心躍る、やりがいの持てる仕事です。実際のコンサル現場から得た知見を今回も発信させていただきます。

過去分析の手法

ご参考までに、弊社のコンサルティング内容について記述した回です。


過去3期分の決算書(付属明細含む)
過去1年の預金通帳
過去36カ月の月別試算表
金融機関借入明細(返済予定表)

コンサルティング開始にあたって分析する資料の例

弊社は財務面を軸に経営改善を行っていくため、上記のような資料からその企業の「過去」を紐解いていきます。

少し種明かしをすれば、その企業の経営状態をつまびらかにするには一つの手法があります。

それは、金融機関の債務者格付制度です。

この制度の導入背景をざっくり言います。90年代にバブル経済が弾けて、北海道拓殖銀行や山一証券、日産生命など、金融機関の破綻が相次ぎました。そこで当時の橋本龍太郎首相が不良債権額を正しく把握するために、アメリカの企業評価システムを導入しました。ちなみにこの時の実務を担っていたのが片山さつき氏だそうです。

この制度は国が金融機関の不良債権額を正しく把握するためにできたものではありますが、これを金融機関は債務者である企業の評価に転用しました。この金融機関からどう見られているかというシビアで客観的な視点での判断軸を企業経営に利用しない手はありません。

詳細は割愛しますが、格付のためのフローは1次評価~3次評価まであり、財務実態分析となる1次評価のプロセスに多くの改善の種が詰まっています。

客観的に振り返ると改善点があらわに

金融機関側からの評価ポイントが低い点が判明し、その原因を突き詰めて行けば、改善していくための「打ち手」(施策)の精度が飛躍的に向上します。

年商10億円規模までの中小、零細企業の経営者は真面目な方がほとんどで、四六時中会社経営のことを気にかけ、思考をひたすら繰り返しています。なので、この債務者格付制度を利用した振り返りをしていくと、頭の中でぼんやり描いていた原因がくっきり判明し、ひとつの確信を得ることがあります。

更に言えば、ここで確信を得たことは、それに対する施策をやり遂げるエネルギーに転換されます。

年商10億円規模までの中小、零細企業の多くは従業員数は多くても30~50名程度であり、大型バス1台におさまるかどうかくらいの規模です。

何が言いたいかと言いますと、経営者一人のハンドリングでどうにか運営できる規模ということです。つまり、業績は経営者のやる気と行動次第ということです。

蛇足かも知れませんが、この点が中小企業経営のやりがいであり、醍醐味と言えるのではないでしょうか。

中堅、大手企業では組織は大きく、自らの判断、権限でコントロールできることはある程度限られてしまい、施策の結果がダイレクトに反映されて充実感を得られることは往々にしてレアケースではないでしょうか。(偏見かも知れません。恐れ入ります・・・。)

生々しいかも知れませんが、施策が成功し、営業利益が増大していけば、役員報酬をとれる幅は広がるわけですから、これも一つのモチベーションとなるはずです。

経営者は個人で金融機関の借入に際し、まだまだ連帯保証を差し入れえているケースがほとんどですので、いざという時に、企業へ資金を個人資産から投入せねばならない立場にあるので、私はいざという時のために、どんどん経営者は役員報酬を取れば良いという考えです。

但し一方で、つつましやかな生活(清貧)を心掛けることも大切です。見えないところで多くの人に尽くし、陰で徳を積んでいくことも重要です。経営危機に陥った場合に思わぬ救いの手を出されたり、スタッフや取引先、地域の方々に助けてもらえるケースもあったりするという類のエピソードはよくあることですね。いつの時代も人として心掛けるべき大切なことは同じということでしょう。

経営者個人の歴史(キャリア)にもヒントあり

大きな視点で企業経営を捉えるならば、自社のあるべき未来像を描く時は、地域の経済史に学ぶ視点も必要になってきます。(いずれこれはスピンオフ的に単独テーマで書きます。)

過去の業績の分析をするということは言い換えるなら、企業の歴史に学ぶという視点です。そこに、かじ取りを担う経営者個人の歴史であるキャリアに内在される強みを洗い出し、施策に活かしていくと尚良し、というイメージです。

例えば、学生時代からの行動から過去分析をしてもらい、新卒~現在の業務経験の中に、戦っていく材料が潜んでいることがよくあります。

自社の置かれた市場において強みとして出せる一点突破になる、積極戦略に経営者のパーソナルな経験値を加え、経営者自身のキャリアから抽出した強みを重ねられると施策の切れ味は必ず増すことでしょう。

弊社のコンサルテーションにおいて軸となるのはクロスSWOT分析です。

戦略と戦術を決定するために、クロスSWOT分析というこの経営学的にも王道のフレームワークを徹底的に活用します。

企業と経営者の過去からあるべき未来をつくるという全体像を何となくでも良いので掴んでいただけたら幸いです。

まとめ

・地域、企業、経営者の過去を分析すれば、あるべき未来への打ち手が見えてくる。

・債務者格付制度を自社の分析に転用することは、改善点を精緻に抽出する術となる。

・経営者自身のキャリアにも一点突破となる積極戦略に活かせる強みが潜んでいることがある。
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今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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nori.nakamuraconsul@gmail.com




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