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ドイツ語をうまく話せない同僚とロシア語をうまく話せない私

いつもニコニコ笑いかけてくれるオムスク出身のロシア人同僚。昨日はスポーツ担当だったので、ホール担当だった彼女とは同じシフトには入っていなかった。ウクラナイ人同僚と歩いていると、すれ違い様に珍しく元気のない様子だったので思わず声をかけた。

どうしたの?また何かあった?

すると、彼女はウクライナ人同僚に矢継ぎ早にあれこれぶちまけ始めた。やっぱり何かあったんだろうな。よくよく聞いてみると、ロシア語を話さない同僚たちは知らん顔で何もせずに座っているだけ。ロシア語話者なので揉め事の間に立たされ、何が起こっているのか状況を説明しなければいけなかったのだけれどドイツ語がイマイチ伝わらない。チームリーダーはイラついた様子だったという。

ロシア語話者にだけ降りかかるいつものパターンである。ロシア語もドイツ語もできない同僚がなぜ現場にいるのかは謎なんだけれど、全く興味のない様子で平気な顔をしているのを見ているとさすがにイラッとすることがある。私のようにロシア語が母語ではない場合、ドイツ語でチームリーダーに状況を説明することは難なくできるのだが肝心のロシア語がイマイチわからない、という逆の状況に陥るわけだ。

ただ、ロシア語に関しては母語話者ではない、というのとドイツ語での意思の疎通ができる、というのが有利に転じることが多く、今のところ際どい感じで問題回避はできているような気がする。ただ、ウクライナ語でアクセントが強くなるとお手上げなので、その場合はゲストにはっきりと「ロシア語でないと理解できない」と先に伝えるようにしている。残念ながら、ロシア語話者であれば拾えるところが全く拾えなくなるのだ。これはドイツ語でも地方のアクセントが強いと拾えなるのと良く似ている。ザクセン訛りや強いバイエルン訛り、スイスドイツ語などがそれに当たる。撮影の際にもドイツ人音声に一旦標準ドイツ語に言い直してもらったのを訳して事なきを得ていた。

自分が通訳で苦労してきたので、ロシア人同僚が置かれた状況は手に取るようにわかる。チームリーダーの苛立つ気持ちもわかるがロシア語ができないから通訳に入ってもらっているわけなので、そこはやはりもう少し寛容になって頂きたいし、実際にほとんどのリーダーは寛容な方だと理解している。たまたまそうでないリーダーに当たってしまったのだろう。何とも気の毒なことだ。

変な話だがロシア語を学べば学ぶほど、仕事の難易度は高くなる。なぜなら駆り出される確率が格段に上がるからだ。当然ながら、ロシア語が全くわからない同僚たちには住人たちも話しかけようとはしない。

ロシア語話せる人いますか?

はい、少しは。

一旦、そう言って引き受けるようにはしているが話の内容が複雑だとわかるとロシア語話者に交代してもらうようにしている。揉め事が起こった時にロシア語話者がいないときはリーダーに駆り出されることもある。

Mariko、ちょっと一緒にきて!

迷っている暇もない。とりあえず現場に行ってできるだけ状況を把握するように努力をする。わかる範囲でリーダーに伝えると最終的な判断はリーダーが行うことになる。チームワークが必須なのだ。だからできる範囲で最適解を見つけてリーダーの信頼を得ることにしている。そこで役に立つのはやはり共通言語であるドイツ語になってくるわけだ。一番いいのはロシア語話者とタグを組んで揉め事の現場に入ること。それがまぁなかなかそんなにタイミングよく行かないのが現実なので、今回のロシア人同僚のような目に会うことになるわけだ。

弱いところはお互い補いつつ問題解決!と行きたいところなんだけどなぁ。せっかくロシア語話者に囲まれているので、何とか少しずつ語彙を増やせるようにしたい。




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