『知的複眼思考法』を読んでみた

こんにちは!ざきさんです。
今日は一日オフなのでこれまでのインプットをはきだしていこうと思います。笑
今回紹介するのは、『知的複眼思考法』(苅谷剛彦)です。本書は難解そうな題名ですが、内容は決してとっつきづらいものではありません。ステレオタイプにとらわれるのではなく、自分の視点で物事を考えることができるようになるための方法が述べられており、大学生にはお勧めの一冊です!!


読んだきっかけ

某就活掲示板でお勧めの本として紹介されており、自分の視野を広げたいという思いから気になって手に取りました。

本書のポイント

①作者の立場に立ちプロセスを意識しながら読むことで読書においても考える力を養うことができる
②「疑問」と「問い」は違う
③抽象度を変えることで本質に近づくことができる


①作者の立場に立ちプロセスを意識しながら読むことで読書においても考える力を養うことができる
考える力(複眼思考)は書くことで身に付きますが、読書によっても身につけることができます。
しかし、ただ本を読んでいるだけでは難しいです。読書によって考える力を身に付けるためには、まず著者との関係性を見直すことが重要になります。つまり、主従関係のように著者の意見をありのまま受け入れるのではなく、「なぜ著者はこのように考えたのか」「こういった考え方もあるのではないか」と対等な立場に立って批判的に読書をすることが大切です。
自分でいざ文章を書こうとするとわかると思いますが、一発でよい文章が出来上がることは少なく、文章が完成するまでには何度か書き直しが生じます。本はある程度完成された文章が掲載されていますが、そのまま読んでしまうと考える力はなかなか身に付きません。本は著者の思考プロセスが一切排除されてしまっているため、考える力を付けるためには意識的に批判的読書をすることで思考を追体験する必要があるのです。

ただ、読書といっても様々な形が存在します。
・知識を得るために読むのか
・漠然と視野を広げるために読むのか
・自分の考えを深めるために読むのか
・単に娯楽として楽しむために読むのか
など目的をもって読書をすることが大切だと思います。

②「疑問」と「問い」は違う
考えを深めるためには”問うこと”も重要な役割を担っています。ものごとの本質を知るために「なぜ?」を5回繰り返すトヨタの〈なぜなぜ分析〉も有名ですね。
ただ、単に疑問を持てばよいのかというとそうではありません。「疑問」と「問い」は別のものであり、考えることにつながるかどうかという点で大きな違いがあると述べられています。
「なぜこうなっているのだろう」という疑問は感じるものである一方で、問いは「これは○○なのではないか」というように自分で思考して立てるものです。つまり、疑問は必ずしも思考に結びつかないのです。
こういった意味では、トヨタの〈なぜなぜ分析〉も疑問の先の思考が大きな価値になるのであって、疑問はその先の思考や行動のきっかけに過ぎないとも言うことができます。

さらに、問いも「実態を問うもの」と「因果関係を問うもの」などに分けられます。因果関係を問う問いは必然的に仮説を立てることにつながるためより深い思考を促します。
私自身が研究活動を行う上でも仮設構築はとても重要なプロセスでした。もっと早くこの本にであっておきたかったなと思います。笑


③抽象度を変えることで本質に近づくことができる
目の前の事象だけにとらわれず少し引いてみると新たな問題が見えてきたり、逆にざっくりと眺めていてもよくわからなかったが具体的に調査してみることで原因が明らかになるということはあると思います。つまり、スコープ(抽象度)を変化させることでものごとの本質に近づくことができます。
本書では、広く多角的な視点でものごとを見るといことに重点が置かれているので前者にフォーカスを当てられており、「概念化」という言葉を用いてその重要性が説明されています。個別の問題だけ眺めていても真の解決策を出すことはできないが、いくつかの問題を俯瞰的に見て原因を抽象化し概念のレベルで仮説を構築することで真の解決策にたどりつくことができると述べられています。
少し難しい話になってしまいましたが、これこそが複眼思考の産物だと思うので、気になった方は本書の3章と4章を読んでいただければと思います。


感想・まとめ

インターネットの発達やスマートフォンの普及によって私たちの身の回りには多くの情報があふれており、最近ではフェイクニュースなども問題になってきています。
このような時代に大切なのは、自分が正しいと思えるものを正しく選択できるかということだと思います。人の意見に流されることなく、自分の視点で物事を考え、自ら判断する能力は極めて重要なものであるといえるでしょう。本書のテーマである複眼思考は今を生きるための強力なツールです。

一方で、すべての事象を複眼思考で多角的に見つめ直していたら日が暮れてしまいますし、とても疲れてしまうかもしれません。そこで、重要なのは「単眼思考」と「複眼思考」をうまく使い分けることだと考えています。当然として受け止めてよいものはそれを踏襲し、大事なポイントや論点に対しては、周りの意見に流されるのではなく、自分なりの視点から前提や問題を問い直すことで本質に近づいていくことが大切です。

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