同居グモとの暮らし。

あいつらは虫を食べてくれてる益虫だとか守り神だとか聞くので、居候と呼ぶのは悪いしかと言ってルームメイトほど仲良くないので、〝同居〟とした。


おととい、布団を取り込むために開けた窓からクモが侵入した。

とにかく突っ走る系のクモで、物に到達したらスチャッと止まるが、何もなければとにかくまっすぐ突き進む系のクモだった。

あっちに行きなさいと足で床をドンと鳴らしても、進行方向まっすぐ進んでくるようなやつで、危うく踏むところだった。

こういうやつって、いるよなーと思う。
相手がどう出ようがお構いなしでブレない捨て身、憎めないやつ。
私にはない度胸をもったやつ。

さまざまな地点を経由し、ソファの下で行方をくらました。
私はこれを書いている今も、こちらに真っ直ぐ向かってくるかもしれないあいつに怯えている。

家には他にもクモがいる。
たまにシンクで這い上がれなくなったりしている。自分で降りたんだからそんな顔してもダメよと手を貸さずに放っていると、忘れた頃に居なくなっている。
たぶん死んでしまったんだと思う。
亡骸を見たこともある。

それでもまたクモがいる…。


また一昨日の話になるが、出かける準備をしようと洗面所に行くと、別の黒いクモを発見した。家の中でよく見るやつ。

洗面台の側面、プラスチック面をずいずい登っていったかと思えば、何を思ったか鏡面にベタッと飛び移った。
思いの外ツルツルしていたのだろう、ビタッと脚を広げていた。
鏡越しに、そいつの裏側が丸見えだった。

こいつも考えナシだな。
無鉄砲で冒険家で、私がクモならば好みのタイプとして挙げるやつだ。

少ししてまた見に行った時もそこに居た。
根性もある。
ますます気に入った。


リビングに戻ると、また別の黒いクモが床をひょこひょこ歩いていた。
で、あんたは一体どんなクモなんだい?
ぴょんぴょん歩き立ち止まり、触角か手なのかヒゲみたいなやつをチロチロ動かしてモジモジ。
ぴょんとしてボォっとして、ぴょんぴょんチロチロ。
あぁじれったい。うちわですくい上げて、外に放り出したい。

なんだか私みたいなやつ。

そんな感じで、できれば殺さぬよう共存したい願いです。
こちらが殺してしまわない距離を保ってくれるクモには寛大です。
そうね、ふくらはぎがモゾモゾするぅ〜絶対クモやんヒョエーと見たらクモいなかったりするし、やっぱり深層心理でちょっと嫌だは全然あるけど、それでもそこに居るくらいなら、まあね。全然。

人間もこのくらいの距離でやってければよいのだが、チロチロ。

てかねえ…
クモの季節なの?


・・・・おしまい・・・・


たまに赤ちゃんクモがいて…我が家で繁殖しているようです。
で、黒いクモがその赤ちゃんクモを狙って食べようとしたりするのを息を殺して眺めたりしてます。
赤ちゃんかわいいとかないのね、クモって…クモ食うんだ!!!って。

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