リアル書店で買えた三冊
Amazonの在庫がかなり品薄になっていて、お目当ての本が手に入らない。散髪の帰りに書店に寄った。お昼時、人はまばら、レジ前には飛沫除けの透明ビニール、小さい子を連れたお母さんが立ち読み、外はけっこう人が歩いている。
最近発売された3冊を買った。久々の書店で少々舞い上がって財布の紐が緩んでいた。
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(佐々木孝訳、岩波文庫)
タイムリーな出版。訳者は本書の原稿が完成した後に急逝された。御子息による「訳者あとがきに代えて」を読んでみたが、訳者が東日本大震災の時期をまたいで相馬の地で翻訳を続けてきたことが記されていた。なおさら連休中に読みたくなった。
小川隆『中国禅宗史 「禅の語録」導読』(ちくま学芸文庫)
これは発売を知っていたが完全に不意打ちだった。目に入ってしまったのです。以前、著者の講義を聴いたことがあり、その時も仰っていた「坐禅によって悟りをめざす仏教の一派、という定義では、中国の禅は捉え難い」という問題提起を思い出し復習したくなった。また仕事の関係で中国唐代の禅宗の系譜から南宗・北宗への分派、日本の臨済宗や曹洞宗は南宗の流れを汲むとかさまざま勉強したことがあった。「文庫版あとがき」でコロナ禍に触れている。
岩田健太郎『ぼくが見つけたいじめを克服する方法 日本の空気、体質を変える』(光文社新書)。あとがきと目次がnoteで公開中。
Amazonでは紙は在庫切れ。kindleは始まった。クルーズ船での感染者対応を告発したことで広く知られた岩田さん。この点にも若干触れているが、もともと5年ほど構想を練っていたのが本書とのこと。冒頭「学会会場から消された著作」といい、子供のいじめが減らないのは大人社会がいじめ体質だからだとの指摘はその通りと思う。
ステイホーム週間。3冊同時進行で読もう。連休が明けたらどんな景色が見えるだろうか。
それから紙ではなく電子書籍もあるけれど、ただでさえスマホ画面を見るのが増えそうな状況だから、よりマテリアル感ある紙に触れる効用は、必ずやあるに違いないと言えるかもしれない、きっと、おそらく。■