映画評「ザ・クリエイター/創造者」/近未来版「地獄の黙示録」が個人的に刺さる
皆さんにケンワタナベの魅力が伝えられたところで、
10/20公開のケンワタナベ最新作「ザ・クリエイター/創造者」の話をさせてください。
まず言ってしまえば、私はこの映画が大好きです。
なんだろう。
万人にお勧めしたい最高の傑作だ!とか、今年ベスト1だ!
など、そんな声高に叫ぶ気はない。
でも、「死ぬまでにあと2~3回観直す気がするな」と思っています。
完璧な作品では全くないけど、「気に入った」って感じでしょうか。
物語は至極単純。
人類とAIの戦争なんて、数多く同じような内容の作品に触れすぎて、AIが実世界でも盛り上がりをみせる今日でも、新鮮味に乏しい。
AIの破壊のため、潜入ミッションに参加する主人公は、そこで「超進化型AIの少女」と出会い、そこからは逃避行となります。
そこで描かれる少女との絆やら、AIに魂はあるのか?人間の実存とはなんだろうか?てのも、これまた100万回くらいみた展開である。
ただ、このへんは、
・とにかくもAIが人間を攻撃したので戦争になった。
・「人間は死んだら天国に行く」→「じゃ私はロボットだから行けないね」→しみじみとした空気
くらいで簡潔に処理されており、薄口仕上げ。
つまり本作、作品ジャンルとしては、「SF」ってことになっているのですが、別に「SF」としての魅力には乏しいというか、舞台設定上借りただけって感じになっています。
じゃ何がそんなに気に入るポイントなのかというところなのですが、世界観が素晴らしいです。
AI殲滅のため、西側国家側の主人公が潜入する土地は、「ニューアジア」。
これが、結果どこなのかはよくわかりませんが、東南アジア×日本(というか所謂TOKYO)のハイブリッド世界となっています。
水田や山林等の東南アジア的世界と、センター街や新宿の横丁などのネオンTOKYOが融合していて、そこに自律ロボットや近未来ガジェットが多数登場する。
これは非常にフレッシュで、この世界観一発で私は大満足。
これはいろんなところで言われているように、
「ブレードランナー」と「地獄の黙示録」を混ぜたような話でして、言うは易しですが、実際にそんな世界を見せつけられると、なかなかたまげます。
どっちかといえば、「ブレードランナー」の設定だけ借りてきて、本当にやりたいのは、近未来版「地獄の黙示録」ってとこでしょうか。
つまり、最高です。
(そーいや、「地獄の黙示録」も、お話は全然理解できてない割には、今までに4回くらい見たことあり、ああいう感じは私は好みなんでしょう)
高度化している近未来の割に、「地獄の黙示録」よろしく戦闘シーンは泥臭く、見ごたえ抜群。
アクションシーンの尺自体はそこまでないのですが、カットがどれもかっこいいので、尺以上に満腹感があります。
そう、アクションシーンはたくさんあるわけではない。
ただ、世界観の建付け=近未来のニューアジア を観客に信じさせるための映像・演出が多く、世界観表現が十分になされているため、短いアクションシーンでも、画面の「映え」が素晴らしい。
アクションシーン自体は短いのに、「こんな絵が観たい!」という欲求には、バッチリ叶えてくれる絵作りがあって、1シーン1シーン愛でたくなるような感覚があります。
そんな手作り感が、最近のハリウッド超大作では感じられなかった雰囲気があって、それも好き。
そんな感じで、何とか言葉にしてるものの、本当は理屈にできない領域で気に入ってしまったので、正確な評価はできない。
欠点はあります。
我が心の「ニューアジア」から舞台が離れると、一気に物語への興味は薄れちゃったり。
ニューアジア内であっても、主人公と少女の逃避行=ロードムービー的な部分は、若干退屈です。
でも好きだから仕方ないじゃん。
「ロードムービーってちょっと退屈なくらいが良いよね。緩慢な時間を表現してるのかしら。」
と無理のある擁護してしまう始末です。
そして、何といっても皆さんお待ちかねのケンワタナベ!
今回もケンワタナベはケンワタナベ全開。
本作の監督は、ハリウッド版「ゴジラ」のギャレス・エドワード監督で、ケンワタナベとは二作目のタッグ。
ギャレス監督、ゴジラでの経験から、ケンワタナベのことを「こいつはただものではない」と見抜いたに違いない。
・ケンワタナベ演じるは、AIロボット
・彼はAI軍「ニューアジア」の中で、かなり大きな役割を担っている
・主人公のことを「ブラザー」と呼ぶ親密さ
・極秘になってる、AIロボット反乱軍のリーダーとも通じている要人
・なおかつ、反乱軍の現場指揮もとれちゃう人望がある
と盛りだくさんの人物なのですが、あくまで主人公の周りにいるキャラなので具体的な描写はほとんどされない。
ただ、ケンワタナベがこれを演じると、「描写はされないけど、そうなんだな!」という説得力がある。
尺が無くても、ケンワタナベが存在しているだけで物語を深めることに成功しています。
ケンワタナベに甘えないと、できない演出です。
ケンワタナベ以外が演じれば、「あいつ一体なんなんだ」とノイズになるところですが、ケンワタナベにおんぶにだっこで人物造形したのでしょう。
「人物描写してる時間はないけど、もう全部任せるから、よろしく!」
「押忍!」
といった会話があったんじゃなかろうか。
今回のケンワタナベは、いつも以上に雰囲気たっぷりで、説明不足気味な物語背景を補完するスパイスになっており、観ていてとっても心地よいです。
出番は少なめですが、特に中盤以降、いろんなところにケンワタナベは顔を出します。
その都度、怒鳴ったり囁いたり驚いたり悲しんだり。それを、英語だけでなく日本語でも演じる忙しさ。
なんでAIロボットなのに、英語だけで話さないんだろう。日本語を話すんだろう。ケンワタナベ以外は日本語を話さないのに、みんなにほんとうに通じているんだろうか。
そんな疑問はあるのですが、良いのです。
ニューアジアという世界観 × ケンワタナベ
が、全ての疑問を吹っ飛ばしてくれます。
最高だぜ、ケンワタナベ。僕はお前になりたい。
というわけで、
つまんない作品は観たくないけど、ハリウッド謹製の安心安全なアクション大作は飽きたな
という方には、刺さる気がします。
観たことない映像がたくさんあるので、ぜひ劇場でご覧ください。
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